羅生門のテスト対策|予想問題50問・解答解説と記述問題

高校国語・言語文化|無料テスト対策

『羅生門』テスト対策
まず10問、解いて確認。

芥川龍之介『羅生門』のテスト予想問題50問と解答・解説を無料で公開。下人の心理変化、老婆の論理、「ある勇気」、漢字・語句を確認できます。記述問題6問は、解答例と採点の観点まで用意しました。

WEB TEST|テスト予想問題50問 登録不要。選択肢を押すと正解・解説を表示。10問ずつ進め、未回答の続き・まちがい直しにも取り組めます。
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『羅生門』で最初に押さえる3点

1

下人は最初から悪人ではない

ただし、善を積極的に選んでいたわけでもありません。「盗人になる」ことを肯定できず、飢え死にとの間で決断を止めています。

2

「勇気」は同じ方向ではない

盗人になる勇気、老婆を捕らえる勇気、老婆の言い分を聞いて生まれた勇気。それぞれ何へ向かう力なのかを区別します。

3

老婆の論理を下人が利用する

老婆の説明が正しいと証明されたわけではありません。下人は「生きるためなら仕方がない」という論理を、自分の引剥ぎへ転用します。

テスト前の使い方:選択問題10問で苦手を確認 → 解説で理由を確認 → 記述6問を自分の言葉で書く。時間がないときは10の論点から復習できます。

50 QUESTIONS

羅生門のテスト予想問題50問【解答・解説つき】

あらすじ・心理・老婆の論理・漢字・表現を確認

50問を10問ずつ解けます。解答記録は保存が許可された同じブラウザに残ります。選択肢の並び順は毎回変わるため、答えの記号ではなく内容を確かめてください。

全50問

全50問の問題・解答・解説一覧

分野名を押すと問題が開きます。まず自分で解き、「解答・解説を見る」で答え合わせをしましょう。LOGIQAオリジナル問題であり、学校の過去問や出題の保証ではありません。

全5分野・50問
あらすじ・人物10問

問1『羅生門』の冒頭で、下人が羅生門の下にいる時刻と天候の組み合わせとして正しいものはどれか。

  1. 暮方で、雨が降っている
  2. 真夜中で、雪が降っている
  3. 明け方で、霧が出ている
  4. 昼過ぎで、強い日差しがある
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正解:A. 暮方で、雨が降っている

解説:作品は「ある日の暮方」から始まり、下人は羅生門の下で雨やみを待っている。夕暮れ・雨・荒廃した門という設定が、行き場を失った下人の重苦しい状況を支えている。

問2羅生門の下に、下人以外の人がいない理由として最も適切なものはどれか。

  1. 都の人々が祭りへ出かけていたから
  2. 門が荒れ、死人まで捨てられ、日暮れ後は誰も近づかなくなったから
  3. 羅生門が役所によって通行止めにされていたから
  4. 下人が人々を門から追い払ったから
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正解:B. 門が荒れ、死人まで捨てられ、日暮れ後は誰も近づかなくなったから

解説:京都の衰微によって羅生門は修理されず、狐狸や盗人がすみ、引き取り手のない死人まで捨てられる場所になった。そのため日が暮れると、人々は気味悪がって近づかない。

問3下人が主人から暇を出された背景として、本文に合うものはどれか。

  1. 下人が主人の金を盗んだから
  2. 下人が病気で働けなくなったから
  3. 災害が続いて京都が衰微したことの小さな余波を受けたから
  4. 主人が地方へ転居することになったから
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正解:C. 災害が続いて京都が衰微したことの小さな余波を受けたから

解説:地震・辻風・火事・飢饉などによって京都全体が衰えていた。下人の失業も、その大きな社会的衰微が個人の生活へ及ぼした「小さな余波」として説明される。

問4語り手が「下人が雨やみを待っていた」という説明を言い直した内容はどれか。

  1. 雨がやんだら主人の家へ戻ろうとしていた
  2. 雨の中で盗人を待ち伏せしていた
  3. 羅生門を修理する職人を待っていた
  4. 雨に閉じ込められ、行き所がなく途方に暮れていた
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正解:D. 雨に閉じ込められ、行き所がなく途方に暮れていた

解説:下人には、雨がやんだ後に帰る場所がない。語り手は表面的な行動を訂正し、「行き所がなくて、途方にくれていた」という生活上・心理上の危機を示す。

問5門の下で下人が考えていた問題として正しいものはどれか。

  1. 飢え死にするか、盗人になるか
  2. 主人へ謝るか、都を出るか
  3. 老婆を助けるか、役人を呼ぶか
  4. 門の上で眠るか、雨の中を歩くか
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正解:A. 飢え死にするか、盗人になるか

解説:手段を選んでいれば飢え死にし、選ばないなら盗人になるしかない、と下人は考える。しかし、この時点では盗人になることを積極的に肯定する勇気がない。

問6下人が羅生門の楼へ上ろうとした直接の目的は何か。

  1. 捨てられた財宝を探すため
  2. 雨風と人目を避けて、一晩を明かせる場所を得るため
  3. 門の上から主人の家を探すため
  4. 死人を埋葬するため
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正解:B. 雨風と人目を避けて、一晩を明かせる場所を得るため

解説:下人は、雨風の心配がなく、人目にもかからず、一晩眠れそうな場所を探す。楼上には死人しかいないと思っていたため、そこを一時の寝場所にしようとした。

問7下人は楼上に誰がいると予想していたか。

  1. 盗人の一団
  2. 検非違使の役人
  3. 死人だけ
  4. 主人とその家来
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正解:C. 死人だけ

解説:下人は、楼上に人がいたとしても「どうせ死人ばかり」だと考えていた。ところが火が動くのを見て、生きた何者かがいることを知り、警戒しながら上る。

問8出来事の順序として正しいものはどれか。

  1. 老婆の説明→下人の失業→羅生門へ上る→着物を奪う
  2. 羅生門へ上る→主人から暇を出される→老婆を捕らえる→雨が降る
  3. 着物を奪う→老婆を発見する→門の下で迷う→夜へ逃げる
  4. 主人から暇を出される→門の下で迷う→老婆を発見する→老婆の着物を奪う
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正解:D. 主人から暇を出される→門の下で迷う→老婆を発見する→老婆の着物を奪う

解説:下人は失業して行き場を失い、羅生門の下で生き方を決められずにいる。楼上で老婆を見つけ、説明を聞いた後、その着物を奪って逃げる。

問9老婆が死人の髪を抜いていた目的は何か。

  1. 鬘にするため
  2. 死人の身元を確かめるため
  3. 呪いの儀式に使うため
  4. 役所へ証拠として届けるため
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正解:A. 鬘にするため

解説:老婆は、死人の長い髪を抜き、鬘にしようとしていたと答える。下人は、その答えが予想外に平凡だったため失望し、冷やかな侮蔑を抱く。

問10物語の結末として本文に合うものはどれか。

  1. 下人は老婆を役所へ連れて行く
  2. 下人は老婆の着物を奪って闇へ逃げ、その行方は語られない
  3. 老婆と下人は協力して門を出る
  4. 下人は飢え死にする決意をして門の下へ戻る
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正解:B. 下人は老婆の着物を奪って闇へ逃げ、その行方は語られない

解説:下人は老婆の着物を剥ぎ取り、急な梯子を駆け下りる。老婆が門の下をのぞいた時、外には暗い夜があるだけで、最後は「下人の行方は、誰も知らない」と閉じられる。

冒頭・情景10問

問11京都の衰微をもたらした災いとして本文に挙げられている組み合わせはどれか。

  1. 洪水・噴火・戦争・疫病
  2. 大雪・雷・津波・干ばつ
  3. 地震・辻風・火事・飢饉
  4. 内乱・台風・落雷・洪水
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正解:C. 地震・辻風・火事・飢饉

解説:本文では、地震、辻風、火事、飢饉などが続いたと説明される。これらは都の荒廃を具体化し、下人が職を失う社会的背景にもつながっている。

問12仏像や仏具を壊し、薪として売っていたという説明が示すものは何か。

  1. 都で仏教が法律によって禁じられたこと
  2. 羅生門の修理費を集めていたこと
  3. 職人の技術が高かったこと
  4. 信仰の対象まで生活のために売られるほど、都が衰えていたこと
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正解:D. 信仰の対象まで生活のために売られるほど、都が衰えていたこと

解説:丹や金銀の箔がついた仏像・仏具の木まで薪として売られる描写は、文化や信仰を守る余裕も失われた都の深刻な衰微を表す。

問13昼間、羅生門の上に烏が集まる目的は何か。

  1. 捨てられた死人の肉をついばむため
  2. 門の上に巣を作るため
  3. 下人の持つ食物を狙うため
  4. 夕焼けを避けて休むため
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正解:A. 捨てられた死人の肉をついばむため

解説:烏は楼上に捨てられた死人の肉をついばみに来る。烏が飛び回る姿や石段に残る白い糞は、羅生門が死と荒廃に支配された場所であることを示す。

問14剥げた丹塗り、夕焼け、烏の白い糞などの色彩描写の効果として最も適切なものはどれか。

  1. 宮廷の華やかさを印象づける
  2. 門の荒廃と死の気配を、色の対照によって鮮明にする
  3. 雨がすぐにやむことを予告する
  4. 下人の身分の高さを表す
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正解:B. 門の荒廃と死の気配を、色の対照によって鮮明にする

解説:赤い夕焼けを背景にした烏、剥げた丹塗り、石段の白い糞などが視覚的な印象を強める。色だけを暗記せず、修理されない門や、死骸を求めて来る烏という文脈と結びつけて読む。

問15「夕闇は次第に空を低くして」という表現がもたらす効果はどれか。

  1. 空が晴れ、開放感が広がる様子を示す
  2. 下人が門の高さに感動する様子を示す
  3. 暗さと重苦しさが迫り、下人を圧迫するような情景を作る
  4. 都に朝が近づいていることを示す
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正解:C. 暗さと重苦しさが迫り、下人を圧迫するような情景を作る

解説:夕闇が空を低くするという擬人的な表現により、暗い雲が下人の上へ重くのしかかる感覚が生まれる。将来を見通せない下人の閉塞感とも響き合う。

問16「作者はさっき」と語り手が自分の説明を訂正する効果として適切なものはどれか。

  1. 作品が下人自身の日記であることを示す
  2. 下人の本名を隠す理由を説明する
  3. 物語の時代が現代であることを示す
  4. 語り手の存在を表面化させ、下人の状況をより正確に読み直させる
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正解:D. 語り手の存在を表面化させ、下人の状況をより正確に読み直させる

解説:語り手は「雨やみを待つ」という表面的な説明を自ら言い直す。読者に直接語りかけることで、下人が実際には行き場を失い、途方に暮れていることへ注意を向けさせる。

問17雨や空模様が下人の「Sentimentalisme」に与えた影響として最も適切なものはどれか。

  1. 憂鬱で、とりとめのない思考を続ける気分を強めた
  2. 盗人になる決意をすぐに固めさせた
  3. 主人への感謝を思い出させた
  4. 都を再建しようという希望を与えた
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正解:A. 憂鬱で、とりとめのない思考を続ける気分を強めた

解説:降り続く雨と暗い空は、失業して行き場のない下人の感傷的で沈んだ気分を強める。下人は明日の暮らしをどうにかしようと、同じ考えを繰り返す。

問18「どうにもならない事を、どうにかしようとして」という表現が示す下人の状態はどれか。

  1. 解決策をすでに見つけ、実行を待っている
  2. 生きなければならないが、正当な手段が見つからず思考が行き詰まっている
  3. 羅生門の修理方法を考えている
  4. 雨を止ませる方法を考えている
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正解:B. 生きなければならないが、正当な手段が見つからず思考が行き詰まっている

解説:下人は明日から生きる必要があるが、職も帰る場所もない。生存の必要と、選べる手段のなさが衝突し、解決できない問題を考え続けている。

問19下人の考えの中で「すれば」が、いつまでも「すれば」のままだったとはどういうことか。

  1. 条件文の文法を理解できなかった
  2. 誰かが命令するのを待っていた
  3. 手段を選ばないという仮定から、盗人になるという実行の決断へ進めなかった
  4. 飢え死にを積極的に選んでいた
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正解:C. 手段を選ばないという仮定から、盗人になるという実行の決断へ進めなかった

解説:下人は、手段を選ばないなら盗人になるしかないと論理上は分かっている。しかし、その結論を自分の行動として積極的に肯定する勇気がなく、仮定の段階で止まっている。

問20楼上で動く「濁った、黄色い光」と蜘蛛の巣のある天井の描写が示すものはどれか。

  1. 楼上で宴会が開かれていること
  2. 門が修理され始めたこと
  3. 朝日が差し込んでいること
  4. 生きた何者かの存在と、不穏で異様な空間
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正解:D. 生きた何者かの存在と、不穏で異様な空間

解説:死人しかいないと思っていた場所で、濁った黄色い火が動いている。暗い天井や蜘蛛の巣と結びつき、下人が警戒する異様な空間を作る。

下人の心理10問

問21下人が「猫のように」「守宮のように」身を動かす比喩が示すものは何か。

  1. 未知の相手を恐れ、気づかれないよう慎重に近づく様子
  2. 楼上へ急いで飛び込む大胆さ
  3. 老婆を見下す余裕
  4. 死人に親しみを感じる様子
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正解:A. 未知の相手を恐れ、気づかれないよう慎重に近づく様子

解説:下人は息を殺し、足音を盗み、体を低くして楼上をのぞく。猫や守宮の比喩は、恐怖と警戒の中で静かに接近する身体の動きを具体化する。

問22老婆を初めて見た下人を動かした感情の割合はどれか。

  1. 恐怖四分・好奇心六分
  2. 恐怖六分・好奇心四分
  3. 憎悪六分・侮蔑四分
  4. 同情六分・恐怖四分
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正解:B. 恐怖六分・好奇心四分

解説:本文は「六分の恐怖と四分の好奇心」と数値で示す。恐れているだけでなく、何をしているのか確かめたい気持ちもあり、下人はその場から逃げずに観察する。

問23老婆が髪を一本ずつ抜くにつれて、下人の心理はどのように変化したか。

  1. 好奇心が消え、同情が強まった
  2. 恐怖が増し、逃げたい気持ちが強まった
  3. 恐怖が減り、悪への憎悪が強まった
  4. 盗人になる決意がすぐに固まった
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正解:C. 恐怖が減り、悪への憎悪が強まった

解説:髪が抜けるにつれて、下人の恐怖は少しずつ消え、代わりに激しい憎悪が動き始める。心理変化が老婆の反復動作と並行して描かれている。

問24老婆への憎悪を「松の木片のように燃え上がる」と表した時、下人が憎んでいるものは何か。

  1. 老婆の外見だけ
  2. 自分を解雇した主人だけ
  3. 羅生門に集まる烏だけ
  4. 老婆個人を越えた、あらゆる悪
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正解:D. 老婆個人を越えた、あらゆる悪

解説:語り手は「老婆に対する」と言うのは語弊があると訂正し、下人の反感が「あらゆる悪」へ広がったと説明する。火の比喩は、その急激な高まりを示す。

問25悪への憎悪が最も強い時、下人が再び「飢え死にか盗人か」を問われたら、どちらを選ぶとされているか。

  1. 何の未練もなく飢え死にを選ぶ
  2. 迷わず盗人を選ぶ
  3. 主人の家へ戻る
  4. 老婆に判断を任せる
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正解:A. 何の未練もなく飢え死にを選ぶ

解説:この時の下人は、老婆の行為を許せない悪とみなしている。そのため、門の下で盗人を考えていた自分を忘れ、悪を行うより飢え死にを選ぶほどの状態にある。

問26下人が老婆の行為を「許すべからざる悪」と決めた判断の特徴はどれか。

  1. 老婆の事情を十分に調べた上で判断した
  2. 理由を知らず、合理的に善悪を決められないのに、行為の異様さだけで悪と断定した
  3. 役所の法律に従って判断した
  4. 死人の女の遺言を確認して判断した
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正解:B. 理由を知らず、合理的に善悪を決められないのに、行為の異様さだけで悪と断定した

解説:下人は、老婆がなぜ髪を抜くのか知らず、合理的には善悪を判断できない。それでも雨の夜に死人の髪を抜く行為そのものを、許せない悪と感じている。

問27下人が老婆へ飛びかかり、太刀を向けた直接の心理として最も適切なものはどれか。

  1. 老婆の財産を最初から奪う計画があった
  2. 検非違使の命令を受けていた
  3. 燃え上がった悪への反感に押され、老婆の行為を止めて問いただそうとした
  4. 老婆を助けて楼上から下ろそうとした
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正解:C. 燃え上がった悪への反感に押され、老婆の行為を止めて問いただそうとした

解説:この段階の下人は、盗人になるためではなく、悪への憎悪に動かされて老婆を捕らえる。後に生まれる「ある勇気」とは方向が反対である。

問28老婆への激しい憎悪が冷めたきっかけは何か。

  1. 老婆が泣いて謝ったこと
  2. 下人が疲れて動けなくなったこと
  3. 役人が楼上へ来たこと
  4. 老婆の生死が自分の意志に支配されていると意識したこと
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正解:D. 老婆の生死が自分の意志に支配されていると意識したこと

解説:太刀を向けられた老婆が黙り続けるのを見て、下人は相手の生死を支配していると自覚する。その優位の意識が、燃えていた憎悪を冷ます。

問29憎悪が冷めた後、下人の心に残ったものは何か。

  1. 仕事を成し遂げた時のような、安らかな得意と満足
  2. 老婆への深い同情と後悔
  3. 自分が捕まることへの恐怖
  4. 主人への忠誠心
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正解:A. 仕事を成し遂げた時のような、安らかな得意と満足

解説:下人は老婆を制圧したことを、一つの仕事が円満に成就したように感じる。正義感の高まりが、相手より優位に立った得意と満足へ変化している。

問30老婆が髪を抜く目的を答えた時、下人の心に起きた変化として正しいものはどれか。

  1. 答えの高尚さに感動した
  2. 答えが平凡で失望し、憎悪と冷やかな侮蔑が戻った
  3. 老婆をすぐに許した
  4. 自分の盗人になる考えを告白した
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正解:B. 答えが平凡で失望し、憎悪と冷やかな侮蔑が戻った

解説:下人は、老婆の答えが意外に平凡だったため失望する。その失望と同時に、前の憎悪が冷やかな侮蔑とともに心へ戻る。

老婆の論理10問

問31老婆の発言に出てくる「鬘」は、本文では何と読むか。

  1. かんざし
  2. かつらぎ
  3. かずら
  4. まげ
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正解:C. かずら

解説:青空文庫の本文では「鬘」に「かずら」のルビが付く。髪を補うために用いるもの。「かつら」という一般的な読みもあるが、この設問では本文の読みを答える。学校のテストでは使用教科書のルビに従う。

問32老婆の話によると、髪を抜かれている女は生前どのようなことをしていたか。

  1. 盗んだ着物を市場で売っていた
  2. 死人の髪で鬘を作っていた
  3. 役人から金を盗んでいた
  4. 蛇を干魚だと偽って太刀帯の陣へ売っていた
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正解:D. 蛇を干魚だと偽って太刀帯の陣へ売っていた

解説:老婆は、女が蛇を四寸ほどに切って干し、それを干魚だと偽って太刀帯の陣へ売っていたと語る。これは老婆が自分の行為を正当化するために出す例である。

問33老婆が、死んだ女の行為を悪いと思わない理由は何か。

  1. 飢え死にを避けるため、仕方なくしたと考えるから
  2. 女が高い身分だったから
  3. 蛇を売ることが当時の法律で認められていたから
  4. 太刀帯たちが真実を知っていたから
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正解:A. 飢え死にを避けるため、仕方なくしたと考えるから

解説:老婆は、女も生きるために仕方なく人をだましたのであり、悪とは思わないと述べる。「生存のための行為だから仕方がない」という論理である。

問34老婆が自分の行為を正当化する説明として最も適切なものはどれか。

  1. 死人には所有権がないので何をしてもよい
  2. 自分も髪を抜かなければ飢え死にするため仕方がなく、同じ事情を知る女なら許すだろう
  3. 髪を抜くことは死者への供養になる
  4. 役人から髪を集めるよう命じられた
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正解:B. 自分も髪を抜かなければ飢え死にするため仕方がなく、同じ事情を知る女なら許すだろう

解説:老婆は、自分も飢え死にを避けるため仕方なく髪を抜いていると説明する。さらに、同じ「仕方がない」事情を知っていた女なら、自分の行為を大目に見るだろうと推測する。

問35老婆の論理に含まれる自己正当化として最も適切な説明はどれか。

  1. 自分の行為だけは生存と関係なく正しいと主張する
  2. 死人の女が実際に許可した証拠を示す
  3. 女の過去と生存の必要を利用し、女なら自分も許すはずだと都合よく推測する
  4. すべての悪は無条件に許されると明言する
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正解:C. 女の過去と生存の必要を利用し、女なら自分も許すはずだと都合よく推測する

解説:女本人はすでに死んでおり、老婆を許したとは確認できない。老婆は女の過去の行為と「仕方がない」という事情を使い、自分の行為も許されるはずだと推測している。

問36下人が「検非違使の庁の役人ではない」「旅の者だ」と告げた目的として最も適切なものはどれか。

  1. 自分の身分を誇るため
  2. 老婆を都の外へ案内するため
  3. 老婆と一緒に盗みをするため
  4. 逮捕するつもりはないと示し、何をしていたのか説明させるため
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正解:D. 逮捕するつもりはないと示し、何をしていたのか説明させるため

解説:下人は、縄をかけて処罰する役人ではないと伝え、老婆の行為の理由だけを話せばよいと言う。相手の恐怖を和らげ、説明を引き出そうとする場面である。

問37老婆の話を聞いて生まれた「ある勇気」の説明として正しいものはどれか。

  1. 門の下で欠けていた、盗人になる決断を実行する勇気であり、老婆を捕らえた時とは反対方向の勇気
  2. 老婆を役所へ連行する勇気
  3. 飢え死にを受け入れる勇気
  4. 死人を丁寧に埋葬する勇気
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正解:A. 門の下で欠けていた、盗人になる決断を実行する勇気であり、老婆を捕らえた時とは反対方向の勇気

解説:門の下では、盗人になる結論を積極的に肯定できなかった。老婆の説明を聞いた後、その論理を自分に利用し、老婆から着物を奪う方向へ動く勇気が生まれる。

問38下人の右手が、にきびから老婆の襟上へ移る動作が示すものとして最も適切なものはどれか。

  1. 下人が老婆の病気を確かめたこと
  2. にきびを気にしていた右手が、着物を奪うための動作へ移ったこと
  3. にきびの痛みがなくなったこと
  4. 老婆を助け起こそうとしたこと
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正解:B. にきびを気にしていた右手が、着物を奪うための動作へ移ったこと

解説:老婆の話を聞く間、右手はにきびを気にしている。決断すると、その手を離して老婆の襟上をつかむ。心理上の迷いが、具体的な犯罪行為へ移る瞬間が動作で示される。

問39下人の「きっと、そうか。」という言い方の働きとして最も適切なものはどれか。

  1. 老婆の話が聞き取れず、もう一度説明を求める
  2. 老婆へ感謝し、その論理に心から賛同する
  3. 嘲るように老婆の論理を確認し、自分の引剥ぎへ利用する準備をする
  4. 役人が来る時刻を尋ねる
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正解:C. 嘲るように老婆の論理を確認し、自分の引剥ぎへ利用する準備をする

解説:本文は「嘲るような声」と明示する。下人は老婆の立場を理解して共感するのではなく、その言い分を確認し、同じ理屈を老婆自身へ突き返そうとしている。

問40「己もそうしなければ、飢え死にをする体なのだ」という下人の言葉が示すことは何か。

  1. 老婆の髪抜きを手伝う決意
  2. 老婆の行為を無条件に許す決意
  3. 飢え死にを選ぶ決意
  4. 老婆の「生きるためなら仕方がない」という論理を、自分が着物を奪う根拠に転用したこと
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正解:D. 老婆の「生きるためなら仕方がない」という論理を、自分が着物を奪う根拠に転用したこと

解説:下人は老婆の論理を公平な原則として受け入れたのではない。自分も生きるためだとして、老婆から着物を奪うことを正当化するために利用する。

語句・表現・総合10問

問41「高を括っていた」の意味として最も適切なものはどれか。

  1. 大したことはないと見くびり、そうだと決め込む
  2. 高い場所へ登る準備をする
  3. 細かく計算して見積もる
  4. 危険を大げさに恐れる
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正解:A. 大したことはないと見くびり、そうだと決め込む

解説:下人は、楼上には死人しかいないと「高を括って」いた。実際には火を動かす生きた人物がいたため、その予想は外れる。

問42「下人の考えは、何度も同じ道を低徊した」の「低徊」の意味はどれか。

  1. 急いで結論へ進むこと
  2. 同じ考えの周りを行き来し、決断できずにいること
  3. 身を低くして歩くこと
  4. 過去の記憶を完全に忘れること
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正解:B. 同じ考えの周りを行き来し、決断できずにいること

解説:「低徊」は行きつ戻りつすること。ここでは、飢え死にか盗人かという問題を繰り返し考えながら、結論を行動へ移せない状態を表す。

問43「やっとこの局所へ逢着した」の「逢着」の意味として正しいものはどれか。

  1. 危険を避ける
  2. 偶然人と再会する
  3. ある考え・地点へ行き着く
  4. その場から逃げ出す
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正解:C. ある考え・地点へ行き着く

解説:「逢着」は行き着くこと。下人の思考は、手段を選ばないなら盗人になるしかない、という局面へようやく到達する。

問44「この老婆に対すると云っては、語弊がある」の「語弊」の意味はどれか。

  1. 言葉の発音を間違えること
  2. 古い言葉を使うこと
  3. 言葉を省略すること
  4. その言い方では誤解を招き、正確でないこと
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正解:D. その言い方では誤解を招き、正確でないこと

解説:下人の憎悪は老婆個人だけに向いているのではなく、「あらゆる悪」への反感へ広がっている。そのため、老婆への憎悪と言い切るのは正確でない。

問45老婆の話を「冷然として」聞く下人の態度として最も近いものはどれか。

  1. 冷たく落ち着き、感情を表に出さない態度
  2. 激しく泣きながら聞く態度
  3. 親しみをもって相づちを打つ態度
  4. 恐怖で耳をふさぐ態度
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正解:A. 冷たく落ち着き、感情を表に出さない態度

解説:「冷然」は冷ややかで落ち着いている様子。下人は太刀を収め、相手より優位な立場から、老婆の自己正当化を冷たく聞いている。

問46「頭身の毛も太る」ように感じた、という表現の意味として適切なものはどれか。

  1. 髪が急に伸びたように感じること
  2. 全身の毛が逆立つほど、恐ろしく感じること
  3. 寒さで体が大きくなること
  4. 怒りで顔が赤くなること
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正解:B. 全身の毛が逆立つほど、恐ろしく感じること

解説:旧記の表現を借り、恐怖で全身の毛が逆立つような感覚を示す。六分の恐怖と四分の好奇心に動かされた下人の強い緊張を具体化する。

問47死骸を「土をこねて造った人形」のようだとする比喩の効果はどれか。

  1. 死骸が美しく飾られていることを示す
  2. 死者が生き返りそうな気配を示す
  3. かつて生きていた人間らしさが失われ、物のように転がる不気味さを強める
  4. 老婆が人形師であることを示す
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正解:C. かつて生きていた人間らしさが失われ、物のように転がる不気味さを強める

解説:口を開け、手を伸ばした死骸は、人間だった事実さえ疑われるほど物体化して描かれる。羅生門が生命の尊厳を失った場所であることを印象づける。

問48下人が「夜の底」へ駆け下り、老婆の外に「黒洞々たる夜」があるという結末の効果として最も適切なものはどれか。

  1. 朝が近いことを明るく示す
  2. 下人が都の中心へ戻ったことを説明する
  3. 老婆が下人を追いつけることを示す
  4. 暗い空間への下降と、盗人となった下人の不確かな未来を重ねる
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正解:D. 暗い空間への下降と、盗人となった下人の不確かな未来を重ねる

解説:「夜の底」は梯子を下りる物理的な動きと、下人が盗人として闇へ進む印象を重ねる。ただし、闇の意味を一つの象徴に固定せず、行方を語らない結末と結びつけて読む。

問49『羅生門』の主な典拠として、教科書の読み比べで扱われる作品はどれか。

  1. 『今昔物語集』巻二十九「羅城門登上層見死人盗人語」
  2. 『平家物語』「木曽の最期」
  3. 『宇治拾遺物語』「児のそら寝」
  4. 『徒然草』「仁和寺にある法師」
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正解:A. 『今昔物語集』巻二十九「羅城門登上層見死人盗人語」

解説:芥川の『羅生門』は、『今昔物語集』巻二十九の「羅城門登上層見死人盗人語」を主な典拠とする。現行の教科書でも、元になった古典作品との読み比べが学習活動に置かれている。

問50原典との比較で、芥川の『羅生門』に加えられた要素として最も重要なものはどれか。

  1. 羅生門という場所そのもの
  2. 失業した下人の生存危機、決断の迷い、老婆の自己正当化をめぐる詳細な心理描写
  3. 老婆が死人の髪を抜く出来事
  4. 男が老婆の着物を奪う出来事
解答・解説を見る

正解:B. 失業した下人の生存危機、決断の迷い、老婆の自己正当化をめぐる詳細な心理描写

解説:出来事の骨格は原典に由来するが、芥川作品では下人の社会的状況、盗人になることへの迷い、感情の反転、老婆の論理とその転用が詳しく描かれる。説話の出来事が、人間心理を問う近代小説へ作り替えられている。

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BASIC INFORMATION

作者・作品・舞台の基本情報

作者
芥川龍之介
初出
1915年
ジャンル
短編小説
舞台
荒廃した平安京
門の下

仕事も行き先も失った下人

京都は災害や飢饉などで荒れ、羅生門も放置されています。主人から暇を出された下人は、飢え死にするか、盗人になるかを考えながらも決断できません。

重要:問題は「雨がやんだ後の行き先」ではなく、明日からどう生きるか。
門の上

老婆を見て、心理が何度も反転する

下人は死骸の髪を抜く老婆を見つけ、恐怖・好奇心・憎悪・得意・侮蔑へと揺れます。老婆の説明を聞いた後、「盗人になる」方向へ決断します。

重要:楼上では、下人の感情と立場が一度ではなく段階的に変わる。
門の外

下人は夜の闇へ消える

老婆の着物を奪った下人は、急な梯子を駆け下ります。物語は、その後の行方を説明せず、暗い夜だけを残して終わります。

重要:結末の省略が、下人の未来と悪の広がりを読者に考えさせる。
CHARACTERS

登場人物は少ない。だから関係の反転を見る

RED CORNER

下人

主人から解雇された若い男。生きる手段を決められない状態から、老婆を裁く側に立ち、最後には老婆から着物を奪う側へ移ります。

BLUE CORNER

老婆

死骸の髪を抜き、鬘にしようとしていた女性。自分も飢え死にを避けるためだと説明し、その論理を下人に利用されます。

死

髪を抜かれていた女

生前、蛇を干魚と偽って売っていたと老婆が語ります。ただし、その人物像は老婆の説明を通してのみ示されます。

語

語り手

「作者はさっき」と、自分の説明を言い直します。読者へ直接語りかけながら、下人の状況や心理を解説する存在です。

STORY

『羅生門』のあらすじを7ステップで整理

  1. 1

    下人が羅生門で雨やみを待つ

    京都は荒廃し、羅生門には人が寄りつきません。主人から暇を出された下人には、雨がやんでも帰る場所がありません。

  2. 2

    飢え死にか盗人か、決められない

    手段を選ばなければ盗人になるしかないと考えますが、それを積極的に肯定する勇気は出ません。

  3. 3

    一夜を明かすため楼上へ上る

    雨風と人目を避けられる場所を探し、死人だけがいると思っていた門の上へ向かいます。

  4. 4

    死骸の髪を抜く老婆を見つける

    下人は六分の恐怖と四分の好奇心に動かされます。髪が抜かれるにつれて恐怖は消え、悪への憎悪が強まります。

  5. 5

    老婆を捕らえ、優位に立つ

    下人は老婆をねじ倒し、太刀を突きつけます。老婆の生死が自分の意志に支配されていると知ると、憎悪は冷め、得意と満足が残ります。

  6. 6

    老婆が「生きるための悪」を説明する

    老婆は、髪を抜かれている女も、生きるために人をだましていたと話します。自分の行為も飢え死にを避けるためで、仕方がないと正当化します。

  7. 7

    下人が老婆の着物を奪う

    下人は老婆の論理を自分へ適用し、引剥ぎを実行します。着物を抱えて夜の闇へ消え、その行方は語られません。

PSYCHOLOGY

下人の心理変化を一本につなぐ

定期テストでは、気持ちの名前だけでなく、どの表現・出来事を根拠に変化したのかが問われます。

門の下途方に暮れる
決断できない
老婆を発見恐怖
好奇心
髪を抜く姿恐怖が消える
悪への憎悪
老婆を制圧憎悪が冷める
得意と満足
説明を聞く冷やかな侮蔑
盗人になる決断
心理の変化は「善から悪へ」の一段階ではありません。 下人は、老婆の行為への怒りによって一時的に「悪を裁く側」へ立ち、相手を支配した満足を経て、最後には老婆の論理を使って「悪を行う側」へ移ります。
ASSIGNMENT PREP

課題対策は、短いからこそ3回読む

授業前の予習、授業後の課題、読書レポートにも使える作品ですが、一度読んであらすじを追うだけでは記述問題まで届きません。目的を変えて三回読むと効率的です。

1回目流れを読む門の下→楼上→夜の底
2回目心理を追う感情が変わる表現に線
3回目論理を比べる老婆の説明と下人の行動

読みながら1|下人の右手を見る

下人は頬のにきびを気にしていた右手を、最後に老婆の襟上へ動かします。手の動作を、決断の変化と結びつけます。

読みながら2|光と闇を分ける

楼上の松の火、赤い膿、白い髪、黒い夜。色彩と明暗は、不気味な場面だけでなく心理の緊張を強めます。

読みながら3|誰の説明かを書く

死んだ女の行為は、老婆の発言によって示されます。語り手が事実として保証している情報と区別しましょう。

読みながら4|同じ言葉の方向を見る

「勇気」「仕方がない」は、場面によって働きが変わります。言葉だけ暗記せず、誰のどの行動を支えるかを確認します。

感想文・レポートは「悪い人になった」で終わらせない

下人はなぜ老婆の説明を聞いて盗人になる決断ができたのか、老婆の論理はどこまで通用するのか、自分が追い詰められたときにも同じ判断をするのか。本文の一場面と自分の考えを結びつけると、あらすじの写し直しになりません。

TEST POINTS

定期テストで押さえたい10の論点

論点確認する内容答案の中心
荒廃した京都災害・飢饉・町の衰微と羅生門の荒廃下人の失業と、生存の危機を生む社会状況
語り手の言い直し「雨やみを待つ」から「行き所がなく途方に暮れる」へ表面的な行動より、下人の置かれた状況を正確に示す
「すれば」の停滞盗人になる結論を積極的に肯定できない手段を選ばない理屈と、実行する決断の間で止まる
六分と四分老婆を見た直後の恐怖と好奇心逃げるだけでなく、正体を確かめたい気持ちがある
悪への憎悪老婆個人から「あらゆる悪」への反感へ広がる行為の理由を知らないまま、悪と決めて裁こうとする
憎悪が冷める理由老婆の生死を支配できると意識する正義感より、優位に立った得意と満足へ変化する
老婆の論理生きるために仕方なくする悪は許される死んだ女と自分の行為を同じ論理で正当化する
「ある勇気」門の下で欠けていたものが生まれる悪を止める勇気ではなく、盗人になる方向の決断
にきびと右手にきびを気にする手が老婆の襟上へ移る迷いから実行へ移る動作上の目印として読む
結末下人の行方を説明しないその後の生き方を限定せず、読者に考えさせる
KEY EXPRESSIONS

重要表現は「場面で何を変えたか」まで

「作者はさっき」

語り手が自分の説明を訂正し、読者へ直接話しかけます。語り手の存在を意識させる表現です。

「六分の恐怖と四分の好奇心」

感情を数字で示すことで、恐れながらも老婆を観察し続ける下人の複雑な状態を具体化します。

「松の木片のように」

燃え上がる火と、下人の悪への憎悪を重ねます。ただし、その激しさは老婆を支配した瞬間に冷めます。

「ある勇気」

立派さを保証する言葉ではありません。ここでは、老婆の論理を利用して盗人になる決断を指します。

「夜の底」

梯子を下りる動きを、暗い世界へ落ちていくように描きます。下人の決断と夜の闇が重なります。

「行方は、誰も知らない」

その後を説明しない終わり方です。物語を閉じる一方、下人が向かう先を読者の想像へ開きます。

WORDS & KANJI

羅生門の漢字・語句14項目|読み方と意味

読み方を隠して答え、次に意味を自分の言葉で説明しましょう。書き取り・抜き出しでは教科書の字体と送り仮名を確認してください。

漢字・語句読み方本文での意味・注意点
下人げにん身分の低い者。作品では主人に仕えていた男。
検非違使けびいし都の治安維持や犯罪の取り締まりなどを担った役人。
衰微すいび勢いや活力が衰えること。
饑饉(飢饉)ききん食物が不足し、人々が飢えること。
逢着ほうちゃくある事態や問題に出会うこと。
大儀たいぎ面倒で、気が進まないこと。本文の「大儀そうに」に対応。
語弊ごへい誤解を招くような言い方。
憎悪ぞうお強く憎むこと。
侮蔑ぶべつ相手を見下し、さげすむこと。
存外ぞんがい思っていたのと違って。予想に反して。
鬘かずら髪を補うためのもの。本文のルビに注意。
未練みれん思いを残して、あきらめきれないこと。
引剥ひはぎ人の着物などをはぎ取って奪うこと。
行方ゆくえ行った先。所在。
WRITTEN ANSWERS

羅生門の記述問題6問|解答例と採点の観点

下人の気持ちだけでなく、「何がきっかけで、どう変わったか」まで説明します。字数・採点の観点はLOGIQAの練習用です。学校の問題では、設問条件と授業で扱った読み方を優先してください。

記述1|なぜ下人の「すれば」は、いつまでも「すれば」のままだったのか。60字以内で説明しなさい。

解答例を見る前に、本文の根拠を確認して書いてみましょう。

解答例・採点の観点を見る

解答例:下人は、手段を選ばなければ盗人になるしかないと分かりながら、その悪を自分で選んで実行する勇気を持てなかったから。 (56字)

採点の観点:

  • 盗人になるという結論は分かっていた
  • 悪を積極的に肯定する勇気がなかった
  • 理由を「から」で結んでいる

誤答との違い:「どうすればよいか分からなかったから」だけでは、結論は分かっているのに実行できない葛藤を説明できません。

記述2|老婆を捕らえた後、下人の憎悪が冷めたのはなぜか。60字以内で説明しなさい。

解答例を見る前に、本文の根拠を確認して書いてみましょう。

解答例・採点の観点を見る

解答例:老婆を制圧し、その生死を自分の意志で左右できると知って、悪を憎む気持ちが得意と満足に変わったから。 (49字)

採点の観点:

  • 老婆の生死を支配できるという自覚
  • 得意と満足への心理変化
  • 老婆の説明を聞く前の場面として説明

誤答との違い:「老婆がかわいそうになったから」は不適切です。本文の根拠は同情ではなく、相手の生死を支配する自覚です。

記述3|老婆はどのような理屈で、髪を抜く自分の行為を正当化したか。80字以内で説明しなさい。

解答例を見る前に、本文の根拠を確認して書いてみましょう。

解答例・採点の観点を見る

解答例:死んだ女も生きるために人をだましていたのだから、飢え死にを避けるために髪を抜く自分の行為も許すはずだと考えた。 (55字)

採点の観点:

  • 死んだ女が生きるために人をだましたという説明
  • 老婆自身も飢え死にを避けるためだという理由
  • 女も自分を許すはずだという推測

誤答との違い:「悪いことをした女だから、罰を与えてよい」では、生活のための悪は仕方がないという老婆の論理とずれます。

記述4|老婆の話を聞いて生まれた「ある勇気」とは何か。60字以内で説明しなさい。

解答例を見る前に、本文の根拠を確認して書いてみましょう。

解答例・採点の観点を見る

解答例:飢え死にを避けるためなら悪も仕方がないという老婆の理屈を利用し、着物を奪って盗人になることを決断する勇気。 (53字)

採点の観点:

  • 飢え死にを避けるためという理由
  • 老婆の理屈の利用
  • 自分が盗人になる方向の勇気

誤答との違い:「老婆の悪を止める勇気」では反対です。老婆を捕らえた時と、その説明を聞いた後を分けて考えます。

記述5|下人は老婆の論理をどのように利用したか。60字以内で説明しなさい。

解答例を見る前に、本文の根拠を確認して書いてみましょう。

解答例・採点の観点を見る

解答例:生きるための悪は仕方がないという老婆の論理を自分にも当てはめ、飢え死にを避けるために着物を奪う行為を正当化した。 (56字)

採点の観点:

  • 生きるための悪は仕方がないという論理
  • 老婆の行為から下人自身の行為への転用
  • 着物を奪うことの正当化

誤答との違い:「老婆の考えに納得した」だけでは不足です。納得した内容と、それを自分の引剥ぎに利用したことまで書きます。

記述6|下人の行方を明らかにせずに物語を終える効果を、60字以内で説明しなさい。

解答例を見る前に、本文の根拠を確認して書いてみましょう。

解答例・採点の観点を見る

解答例:下人が闇へ消えた印象を強めるとともに、盗人になった後の生き方を限定せず、その行く末を読者に想像させる。 (51字)

採点の観点:

  • 闇へ消えた印象
  • 下人のその後を限定しないこと
  • 読者の想像に委ねる効果

誤答との違い:「その後も悪事を続けたと分かる」は断定しすぎです。本文は行方を明らかにしていません。

COMMON MISREADINGS

よくある読み違い

× 下人は善人から悪人になった

冒頭の下人は善を選んでいるのではなく、盗人になる決断を実行できずに止まっています。

× 老婆の理屈を作品が正しいと認めた

老婆の説明は自己正当化です。下人が利用したからといって、語り手が倫理的に承認したわけではありません。

× にきびには一つの決まった象徴がある

若さ・未熟さ・自意識などの読みはあり得ますが、まず本文での右手の動作と心理変化を根拠に説明します。

ORIGINAL STORY

『今昔物語集』との違いは、追加された心理を見る

教科書では、芥川作品と元になった古典作品を読み比べる活動が設定されることがあります。題材が同じというだけでなく、芥川が何を加えて近代小説へ作り替えたかを確認します。

原典で確認すること

羅城門の上、死人の髪を抜く老婆、着物を奪って逃げる男など、物語の骨格となる要素。

芥川作品で深まること

失業した下人の生存危機、決断できない心理、老婆の自己正当化、論理を利用して悪へ進む過程、語り手の働き。

比較問題では「原典より詳しい」で終えない。
下人の迷いと心理変化を加えたことで、出来事中心の説話が、「人は追い詰められた時に何を根拠として行動するか」を問う小説になった、と説明できると強いです。
FINAL CHECK

テスト直前の最終チェック

ここまで説明できれば、心理の反転がつながる

  • 京都と羅生門が荒廃した背景
  • 下人が主人から暇を出された状況
  • 盗人になる決断ができなかった理由
  • 恐怖と好奇心の割合が示す状態
  • 老婆への憎悪が生まれた理由
  • 憎悪が得意と満足へ変わった理由
  • 老婆の「仕方がない」という論理
  • 「ある勇気」が向かう方向
  • にきびを気にする右手の変化
  • 行方を語らない結末の効果
REPORT IDEAS

読書感想文・レポートのテーマ例

THEME 01

追い詰められたら悪は許されるのか

老婆と下人は、どちらも生きるためだと説明します。二人の行為に違いがあるか、本文を使って考えます。

THEME 02

人は理屈で決断するのか

下人は老婆の説明を聞いて行動しますが、そこには感情、力関係、侮蔑も関わっています。

THEME 03

正義感が消える瞬間

悪への憎悪は、老婆を制圧した瞬間に冷めます。下人が本当に守ろうとしたものは何かを考えます。

気になった場面→本文の表現→なぜ気になったか→自分の考え→読み終えた後の変化
学校の教科書・授業プリントを最優先にしてください。
教科書によって漢字・仮名遣い・ルビ・段落分け・注釈が異なることがあります。内容理解には全文を使えますが、漢字の書き取り、語句の抜き出し、段落番号は学校で使用している教材に合わせましょう。
CONTINUE STUDYING
FAQ

『羅生門』のよくある質問

羅生門のテスト問題は無料で解けますか?
このページの選択問題50問・記述問題6問と解答解説は、登録不要で利用できます。Webテストが動かない場合も、問題・解答・解説一覧を開いて学習できます。
テスト前に何から勉強すればよいですか?
まず選択問題を10問解き、間違えた問題の解説を確認します。続いて、下人の心理変化と老婆の論理を説明し、記述問題の解答例と比べましょう。漢字・語句は教科書の表記でも確認します。
『羅生門』の定期テストで最も重要なところはどこですか?
下人の心理変化です。門の下で決断できない状態、老婆への恐怖と憎悪、相手を支配した満足、老婆の説明を聞いて生まれた「ある勇気」を、本文の根拠とセットで確認します。
下人はなぜ盗人になったのですか?
単に空腹だったからではありません。生きる手段を失っていたことに加え、老婆が「生きるためなら悪も仕方がない」と自分を正当化したため、下人はその論理を自分の引剥ぎにも使えると判断しました。
老婆の言い分は正しいのですか?
作品は正しいと確定していません。老婆は自分の行為を正当化するため、死んだ女の行為を例に出します。下人はそれを公平な倫理としてではなく、自分が老婆から着物を奪うための理屈として利用します。
「ある勇気」と、老婆を捕らえた時の勇気は同じですか?
反対方向です。老婆を捕らえた時は悪を憎み、止めようとする方向です。説明を聞いた後の「ある勇気」は、盗人になることを決断し、自分が悪を行う方向へ働きます。
下人のにきびにはどんな意味がありますか?
若さや未熟さ、自意識などの解釈がありますが、一つの意味に固定しない方が安全です。テストでは、にきびを気にしていた右手が老婆の襟上をつかむ動作へ移ることを、決断の変化と結びつけて説明します。
青空文庫と教科書で表記が違う場合はどうすればよいですか?
内容確認には青空文庫の全文を使えますが、漢字、仮名遣い、ルビ、段落番号、抜き出し問題は学校の教科書と授業プリントを優先してください。
NEXT STEP

作品を読む力を、大学の小論文・推薦入試へ

本文を根拠に説明する力や、異なる立場の論理を比べる力は、大学の課題文読解や記述の基礎になります。文学への関心が深まったら、大学別の対策もご覧ください。『羅生門』が各大学で出題されるという意味ではありません。

定期テストの先にある、評定と推薦対策へ

現代文の定期テストで、本文の根拠を使って説明する練習は、小論文・志望理由書・面接でも役立ちます。総合型選抜・学校推薦型選抜に向けて、今から何を優先するか相談できます。

本文・教科書範囲について
問題・解答・解説はLOGIQAのオリジナルです。本文の出来事と表現は青空文庫『羅生門』を基本としています。解釈が分かれる表現は本文の根拠を確認し、記述の解答例は一例として示しています。学校の教科書・授業プリントと表記や解釈が異なる場合は、授業での指示を優先してください。以下に本文と授業づくりの参考資料を掲載します。
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