「山月記」テスト対策・課題対策|あらすじ・テスト予想問題|第3段落・第5段落・漢字・李徴の詩・臆病な自尊心・中島敦

高校現代文・文学国語/定期テスト対策

中島敦「山月記」テスト対策|第3段落・漢字・李徴の詩・問題

あらすじ、李徴と袁傪の人物像、虎になった理由、「臆病な自尊心」「尊大な羞恥心」、第3段落、漢字・語句、李徴の漢詩、最後の咆哮まで、定期テストに出る形で確認します。

WEB TEST|Webでできるテスト予想問題50問このページ上で10問ずつ解答できます。解答記録は同じブラウザに保存され、未回答の続きやまちがい直しにも進めます。 問題を解く →
中島敦「山月記」の高校現代文テスト対策。月夜の虎と黒・黄色の縦縞を描き、第3段落・第5段落・李徴の詩・漢字を学べるLOGIQAのアイキャッチ画像。
まずはここだけ

「山月記」で最初に押さえる3点

1

李徴はもともと優秀だった

若くして難関試験に合格した秀才です。しかし、自分の才能への自信と、才能の限界を知られる恐怖を同時に抱えていました。

2

虎は李徴の内面を表す

怪奇現象だけを描いた話ではありません。李徴自身が、育て続けた尊大な羞恥心こそ「猛獣」「虎」だったと分析します。

3

第3段落と第5段落が中心

第3段落は人間の心が失われる恐怖、第5段落は虎になった心理的原因を語る場面。心情・比喩・記述問題が集中します。

基本情報と人物

作者・作品・李徴と袁傪の関係

作品
『山月記』
作者
中島敦
初出
1942年「文学界」
典拠
唐代伝奇「人虎伝」

李徴(りちょう)

  • 博学才穎で、若くして進士に合格した
  • 狷介で、自分の才能を強く頼みにしていた
  • 役人を辞めて詩人を目指すが、名声を得られない
  • 再び役人となった後に発狂し、虎になる
同年に合格した旧友
性格と人生は対照的

袁傪(えんさん)

  • 李徴と同じ年に進士に合格した親友
  • 温和な性格で、李徴と衝突しなかった
  • 監察御史として順調に出世している
  • 李徴の告白・詩・妻子への願いを受け止める
名前に注意:袁傪は「えんさん」と読みます。「袁惨」ではありません。教科書の字体によって見慣れない字に見えることがあります。
3分で全体を確認

「山月記」のあらすじを7ステップで整理

1

秀才の李徴が役人を辞める

低い役職で俗悪な上司に仕えることを嫌い、故郷に戻って詩人として名を残そうとします。

2

詩人として成功せず、役人に戻る

名声は上がらず生活も苦しくなり、妻子を養うため再就職します。かつて見下した同輩の命令を受け、自尊心を傷つけます。

3

発狂し、姿を消す

旅先の汝水のほとりで、李徴は夜中に叫びながら走り去り、二度と戻りません。

4

翌年、袁傪が虎と出会う

人食い虎が袁傪に襲いかかろうとして思いとどまり、人間の声を発します。声の主は李徴でした。

5

李徴が虎になった経緯と恐怖を語る

人間の心が戻る時間は次第に短くなっています。やがて友さえ認識できず、食い殺す虎になることを恐れます。

6

詩を託し、自分の弱さを告白する

李徴は詩を記録させ、「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」が才能を空費させ、自分を虎にしたと語ります。

7

妻子を頼み、月に向かって咆哮する

袁傪に妻子の世話を頼み、最後に虎の姿を見せます。月を仰いで二声三声ほえると、叢へ消えます。

段落から探す

教科書で使われる主な7段落構成

出版社や版によって改行、表記、ページ番号が異なる場合があります。ここでは高校の授業・テスト対策で広く使われる七つのまとまりで整理します。

第1段落|李徴の過去

官吏を辞めて詩人へ。失敗して復職し、発狂するまで。

第2段落|袁傪との再会

人食い虎との遭遇、声による李徴の確認、叢越しの会話。

第3段落|虎化と人間の心

虎になった経緯、人間性が消える恐怖。
詳しく確認

第4段落|詩の伝録

詩人として生きた証しを後世に残したいという願い。

第5段落|虎になった理由

臆病な自尊心、尊大な羞恥心、才能の空費。
詳しく確認

第6・7段落|別れと咆哮

妻子への願い、自己批判、虎の姿、月への咆哮。

第3段落が検索される理由:変身の過程だけでなく、「人間の心が消えるなら楽になるのに、それを人間の心が恐れている」という矛盾が書かれています。抜き出し・心情・比喩・表現効果を作りやすい、出題の中心です。
第1段落

李徴はなぜ役人を辞め、なぜ戻ったのか

役人を辞めた理由

下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとした。

言い換え:低い役職で気に入らない上司に頭を下げ続けるより、詩人として後世に名を残したいと考えました。

人物像:向上心はありますが、現実の立場を受け入れられない高い自尊心も表れています。

役人に戻った理由

貧窮に堪えず、妻子の衣食のために遂に節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏の職を奉ずることになった。

言い換え:詩では生活できず、妻子を養うため、誇りを曲げて再び役人になりました。詩業への半ばの絶望もあります。

心情:かつて見下していた同輩が上司になっていたことが、李徴の自尊心をさらに傷つけます。
最重要①/第3段落

虎になった経緯と「人間の心」が消える恐怖

第3段落は、単なる変身シーンではありません。李徴の中で人間の理性・記憶と虎の本能が入れ替わっていく恐怖を追います。

1|気づかないうちに虎になっていた

知らぬ間に自分は左右の手で地を攫んで走っていた。……谷川に臨んで姿を映して見ると、既に虎となっていた。

流れ:名を呼ぶ声を追う → 山林へ入る → 四つ足で走る → 毛が生える → 水面で虎の姿を確認する。

注意:李徴を呼んだ声の正体は本文中で説明されません。誰かを断定するのではなく、理由の分からない運命へ導かれる不気味さを読みます。

2|人間の心と虎の本能が交代する

眼の前を一匹の兎が駈け過ぎるのを見た途端に、自分の中の人間は忽ち姿を消した。

言い換え:死のうと考えていた人間の理性が、獲物を見た瞬間に消え、虎の本能が李徴を支配しました。理性が戻った時、口は兎の血で汚れています。

3|人間に戻れる時間が短くなる

人間にかえる数時間も、日を経るに従って次第に短くなって行く。

恐怖:やがて人間だった過去を忘れ、袁傪を友と認めず食い殺しても後悔しない虎になることを予感しています。

比喩:人間の心が消える過程を、「古い宮殿の礎が土砂に埋没する」ことにたとえています。土台は残っていても、外から見えなくなるイメージです。

4|「しあわせ」と「恐ろしい」の矛盾

己の中の人間の心がすっかり消えて了えば、恐らく、その方が、己はしあわせになれるだろう。だのに、己の中の人間は、その事を、この上なく恐しく感じているのだ。

答案:人間の心が完全に消えれば、虎としての行為を振り返って苦しむこともなくなる。しかし、まだ残っている人間の心は、自分の記憶・理性・人格が失われることを恐れている。

5|「誰にも分らない」の反復

この気持は誰にも分らない。誰にも分らない。

効果:同じ言葉を繰り返し、理解者のいない孤独と、言葉で伝え切れない切迫感を強めています。

最重要②/第5段落

「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」とは何か

臆病な自尊心

  • 自分には才能があると思いたい
  • 本気で努力して、才能不足が判明するのが怖い
  • 師に学び、詩友と切磋琢磨することを避ける
  • 傷つかないために挑戦を避ける、自信と臆病さの結合

尊大な羞恥心

  • 未熟な自分を人に見られるのが恥ずかしい
  • 凡人の中に混じり、地道に努力することを見下す
  • 「自分は特別である」という態度で弱さを隠す
  • 羞恥心が、外からは倨傲・尊大に見える

珠と瓦の比喩

己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。

意味:自分が宝石ではないと判明するのが怖くて磨かなかった。一方で、自分は宝石かもしれないと思うため、平凡な人々と同じ場所で地道に努力することもできませんでした。

猛獣使と虎の比喩

人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。

意味:人は自分の性格を制御しながら生きる存在です。李徴は羞恥心と自尊心を制御せず、逆に育てたため、その性情が自分や周囲を傷つける虎になりました。

才能を空費した本当の理由

才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己の凡てだったのだ。

答案:才能が全くなかったのではなく、才能の限界を知られる恐怖と努力を避ける怠惰によって、持っていた才能を十分に磨かなかったためです。

月への咆哮と涙

己の毛皮の濡れたのは、夜露のためばかりではない。

意味:毛皮は夜露だけでなく、理解者のいない孤独、空費した人生への後悔、人間性を失う恐怖による涙で濡れています。

李徴の漢詩

詩の意味と、袁傪が感じた「欠けるところ」

偶因狂疾成殊類 災患相仍不可逃 今日爪牙誰敢敵 当時声跡共相高 我為異物蓬茅下 君已乗軺気勢豪 此夕渓山対明月 不成長嘯但成嗥

大意:狂気によって異類となり、重なる災いから逃れられない。今は爪と牙に敵う者はいないが、昔は君と名声を競った。私は草むらの下の獣、君は車に乗る高官。今宵、明月に向かって詩人らしく長く吟じることもできず、ただ獣のほえ声となる。

部分押さえる対比テストポイント
偶因狂疾成殊類人間だった過去/異類となった現在狂疾によって虎になった不運を述べる
今日爪牙誰敢敵虎としての強さ/人間としての無力肉体は強くても、詩人として表現できない
我為異物/君已乗軺草むらの李徴/高官となった袁傪同年合格の二人の現在の境遇を対照させる
不成長嘯但成嗥人間の詩的表現/虎の咆哮伝えたい心はあるのに、他者には獣の声としてしか届かない
袁傪の評価:李徴の詩には第一流の素質が感じられます。しかし、第一流の作品になるには微妙に欠ける点があると袁傪は感じます。才能はあったが、他者と学び合い、作品を磨く過程を避けた李徴の生き方と重なります。
第6・7段落

妻子への願いと、最後の咆哮

妻子のことを詩より後に頼む

本当は、先ず、この事の方を先にお願いすべきだったのだ、己が人間だったなら。

意味:妻子の生活より自分の詩業を先に頼んだことを、李徴自身が「人間らしさを欠く自己中心性」の表れとして批判しています。

なぜ虎の姿を見せるのか

勇猛さを誇るためではありません。自分の醜悪な姿を見せ、袁傪が再びこの道を通って会おうとしないようにするためです。友を襲う危険から遠ざける、最後の配慮です。

白く光を失った月

虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。

効果:夜明けとともに月の光が失われる様子が、人間としての李徴が消え、虎へ戻っていく時間と重なります。咆哮は、言葉にできない別れ・悲しみ・自己表現です。

漢字・語句

定期テストで狙われやすい読み方と意味

語句読み本文での意味
博学才穎はくがくさいえい広く学問に通じ、才能が非常に優れていること
狷介けんかい自分の考えを固く守り、他人と協調しにくいこと
自ら恃むみずからたのむ自分の才能・力を頼みにする
賤吏せんり身分の低い役人
歯牙にもかけないしがにもかけない問題にせず、相手として扱わない
怏々おうおう不満で心が晴れない様子
畏怖嫌厭いふけんえん恐れ、嫌う気持ち
久闊を叙するきゅうかつをじょする久しく会わなかった間のことを語り合う
伝録でんろく言葉を伝えて書き記すこと
記誦きしょう記憶して、そらで唱えること
倨傲きょごうおごり高ぶること
切磋琢磨せっさたくま互いに励まし合って学問・技術を磨くこと
憤悶ふんもん腹を立て、悩み苦しむこと
慟哭どうこく声を上げて激しく泣くこと
咆哮ほうこう獣が大声でほえること
記述問題対策

よく出る問いと、答案に入れる要素

よく出る問い答案に入れる要素
李徴が虎になった理由を説明せよ超自然的には原因不明だが、李徴自身は、臆病な自尊心と尊大な羞恥心を育て、努力や他者との交流を避けた性情が虎になったと考える
「臆病な自尊心」とは何か自分に才能があると思いたい一方、本気で努力して才能不足が明らかになることを恐れ、挑戦や研鑽を避ける心
「尊大な羞恥心」とは何か未熟な自分を人に見せる羞恥心を、他人を見下す尊大な態度で隠す心
人間の心が消えれば「しあわせ」なのに恐ろしいのはなぜか消えれば虎としての行為を悔やまずに済むが、現在残る人間の心は、記憶・理性・人格が失われることを恐れるため
袁傪は作品でどのような役割を持つか李徴の告白を引き出して記録し、李徴と対照的な人生を示し、理解者・証人として人間の李徴を最後につなぎ止める
最後の咆哮にはどのような意味があるか袁傪との別れ、理解されない悲しみ、人間として残る思いを、言葉ではなく虎の声で表したもの
テスト直前

「山月記」最終チェック

  • 李徴は博学才穎だが、狷介で自尊心が強い。
  • 詩人として成功せず、妻子のために役人へ戻る。
  • 袁傪は温和な旧友で、李徴とは対照的に順調に出世している。
  • 第3段落では、人間の心が虎の習慣に埋もれて消える恐怖を語る。
  • 「しあわせ」とは、虎の行為を人間の心で悔やまずに済む状態。
  • 第5段落では、臆病な自尊心と尊大な羞恥心が虎の心理的原因として語られる。
  • 珠と瓦、猛獣使と猛獣、宮殿の礎などの比喩を説明できるようにする。
  • 李徴の詩は、人間だった過去と虎になった現在、袁傪との境遇の差を対比する。
  • 妻子より先に詩を頼んだことを、李徴自身が人間性の欠如として批判する。
  • 最後の月と咆哮は、人間の李徴が消えていく時間と、言葉にならない悲しみを表す。
問題の前に、ちょっとだけ

「朝起きたら虎になっていた件」だけでは終わらない

『山月記』は、ざっくり言えば、元エリート官僚、詩人を目指して退職 → 売れない → 復職 → 発狂 → 虎化の話です。「ラノベみたいでしょ?」と生徒に言ったら、「超ウケるんだけど。朝起きたら虎になっていた件、みたいな?」と言われました。

今読んでも入口は強烈ですから、発表当時の読者にもかなりインパクトのある設定だったでしょう。でも、虎にはならないまでも、プライドが高すぎて人に教わるのを避けたり、失敗して実力が分かるのが怖くて本気を出さなかったりすることは、今の世の中にもあります。李徴の話が長く読まれるのは、笑える設定の奥に、ちょっと笑えない自意識があるからかもしれません。

仕上げ問題

「山月記」定期テスト対策問題50問

あらすじ・人物、第3段落、第5段落、漢字・語句、李徴の詩・総合問題を各10問。上のWebテストでは10問ずつ解答でき、下の一覧では全50問の選択肢・正解・解説を確認できます。

問題を読み込んでいます。
50問の一覧・解答解説カテゴリを開き、各問題の「解答を見る」から正解・解説・戻るポイントを確認できます。
あらすじ・人物10問
問1 若いころの李徴の説明として最も適切なものはどれですか。
  1. 博学才穎で、若くして進士に合格した。
  2. 詩作だけを学び、官吏になることを拒み続けた。
  3. 武芸に優れ、将軍として名を上げた。
  4. 家が貧しく、科挙を受ける機会がなかった。

正解:A.博学才穎で、若くして進士に合格した。

李徴は広く学問に通じ、才能に優れ、若くして進士に合格した人物です。最初から落ちこぼれていたのではなく、能力と自負があったからこそ、その後の挫折と自尊心の傷が深く描かれます。

戻るポイント:冒頭の「博学才穎」「若くして名を虎榜に連ね」を確認。

問2 李徴が最初に官職を退いた主な理由はどれですか。
  1. 袁傪から詩人になるよう強く勧められたから。
  2. 低い役職で俗悪な上司に仕えるより、詩人として名を残したいと考えたから。
  3. 妻子が故郷に戻ることを望んだから。
  4. 人食い虎の出る土地への赴任を拒んだから。

正解:B.低い役職で俗悪な上司に仕えるより、詩人として名を残したいと考えたから。

李徴は賤吏として大官に膝を屈することを潔しとせず、詩家として死後に名を残そうとしました。向上心だけでなく、低い地位を受け入れられない自尊心も読み取れます。

戻るポイント:第1段落の「下吏」「俗悪な大官」「詩家としての名」を結び付ける。

問3 李徴が再び地方官吏になった理由として、本文に合うものはどれですか。
  1. 詩人として名声を得たので、官職でも力を試そうとしたから。
  2. 袁傪の部下として働くことが決まったから。
  3. 貧窮に耐えられず妻子を養う必要があり、詩業にも半ば絶望したから。
  4. 虎になった自分を人間に戻す方法を探すため。

正解:C.貧窮に耐えられず妻子を養う必要があり、詩業にも半ば絶望したから。

生活が苦しくなり、妻子の衣食のために誇りを曲げて復職しました。本文は同時に、詩業への半ばの絶望も理由として示しています。

戻るポイント:「貧窮」「妻子の衣食」「詩業に半ば絶望」の三点。

問4 袁傪が李徴にとって最も親しい友であった理由として本文に近いものはどれですか。
  1. 袁傪だけが李徴より試験成績が低かったから。
  2. 二人が同じ詩の師に長年学んでいたから。
  3. 袁傪が李徴の妻子と親族だったから。
  4. 温和な袁傪の性格が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかったから。

正解:D.温和な袁傪の性格が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかったから。

二人は同年に進士に合格した旧友です。袁傪の温和さが、鋭く人と衝突しやすい李徴の性格を受け止めたため、友人の少ない李徴にとって最も親しい存在になりました。

戻るポイント:李徴=峻峭、袁傪=温和という対照を押さえる。

問5 虎となった李徴が叢から姿を現さない理由はどれですか。
  1. 醜い姿を友にさらす羞恥と、袁傪に恐怖・嫌悪を抱かせる不安があるから。
  2. 袁傪を驚かせて試そうとしているから。
  3. 夜明けまでは虎の姿が見えない決まりだから。
  4. 袁傪が自分の声を忘れていると思ったから。

正解:A.醜い姿を友にさらす羞恥と、袁傪に恐怖・嫌悪を抱かせる不安があるから。

李徴は自分を「異類の身」と呼び、醜悪な外形を旧友に見せることを恥じます。また、姿を見せれば袁傪に畏怖嫌厭の情を起こさせると考えています。

戻るポイント:第2段落の「愧赧」と「畏怖嫌厭」の二方向。

問6 李徴の「虎としての最初の経験」は何ですか。
  1. 袁傪に襲いかかろうとして、声を聞いて思いとどまったこと。
  2. 兎を見た瞬間に人間の心が消え、理性が戻った時には兎を食べた後だったこと。
  3. 谷川に映った姿を見て、自分から虎として生きると決めたこと。
  4. 山の獣たちを率いて人里を襲ったこと。

正解:B.兎を見た瞬間に人間の心が消え、理性が戻った時には兎を食べた後だったこと。

死を考えていた李徴ですが、兎を見た瞬間に虎の本能が人間の心を押しのけます。人間の心が戻った時、口は血にまみれ、兎の毛が散っていました。

戻るポイント:第3段落の「兎」「人間は忽ち姿を消した」を確認。

問7 李徴が袁傪に最初に頼んだことは何ですか。
  1. 自分を捕らえて都へ連れ帰ってほしいということ。
  2. 妻子に今の虎の姿を見せてほしいということ。
  3. 記憶している自作の詩を、後代に残るよう書き取ってほしいということ。
  4. 虎を人間に戻す医者を探してほしいということ。

正解:C.記憶している自作の詩を、後代に残るよう書き取ってほしいということ。

李徴は生涯執着した詩を一部でも後世に伝えたいと願い、袁傪の部下に伝録させます。妻子の依頼より詩を先にした点は、後で本人が厳しく自己批判します。

戻るポイント:第4段落の「詩数百篇」「伝録」と、第6段落の自己批判をつなぐ。

問8 李徴が袁傪に妻子について頼んだ内容として適切でないものはどれですか。
  1. 自分はすでに死んだと妻子に告げてほしい。
  2. 妻子が飢え凍えないよう世話をしてほしい。
  3. 今日の出来事は妻子に明かさないでほしい。
  4. 自分が虎になった経緯を詳しく妻子に伝えてほしい。

正解:D.自分が虎になった経緯を詳しく妻子に伝えてほしい。

李徴は虎になった事実を妻子には伏せ、自分は死んだと伝えるよう頼みます。さらに、残された妻子が生活に困らないよう袁傪に世話を願います。

戻るポイント:「決して今日のことだけは明かさないで欲しい」が鍵。

問9 李徴が袁傪に、帰途は同じ道を通らないよう頼んだのはなぜですか。
  1. その時には人間の心を失い、友と認めず襲うかもしれないから。
  2. 官吏の一行が虎を捕らえてしまうから。
  3. その道が夜明け後に通行禁止になるから。
  4. 袁傪が妻子への依頼を忘れると困るから。

正解:A.その時には人間の心を失い、友と認めず襲うかもしれないから。

李徴は人間に戻れる時間が短くなっており、次に会った時には袁傪を友と認識できない可能性を恐れています。友を危険から遠ざけようとする最後の配慮です。

戻るポイント:第3段落の「人間の心が消える恐怖」と第6段落の依頼をつなぐ。

問10 作品の最後に李徴が取った行動はどれですか。
  1. 袁傪の一行を追って都まで走った。
  2. 月を仰いで二声三声咆哮し、叢へ戻って姿を消した。
  3. 人間の姿に戻り、妻子のもとへ帰った。
  4. 谷川へ身を投げ、自ら命を絶った。

正解:B.月を仰いで二声三声咆哮し、叢へ戻って姿を消した。

本文上確実なのは、李徴が白く光を失った月を仰いで二声三声咆哮し、元の叢へ戻ったことです。咆哮の意味は、別れ、悲しみ、人間の言葉を失いつつある状態などと関連づけて問われますが、まず行動と情景を正確に押さえましょう。

戻るポイント:最終文の「月」「二声三声」「叢」の三語。

第3段落10問
問11 李徴が虎になった時の出来事の順序として正しいものはどれですか。
  1. 谷川で虎を見る→声を追う→兎を食べる→山林へ入る。
  2. 兎を追う→発狂する→袁傪と会う→虎の姿になる。
  3. 名を呼ぶ声を追う→山林へ入る→四つ足で走る→谷川で虎の姿を知る。
  4. 山林へ入る→袁傪に呼ばれる→人間の姿を捨てる→谷川へ行く。

正解:C.名を呼ぶ声を追う→山林へ入る→四つ足で走る→谷川で虎の姿を知る。

変身は李徴の意志的な選択として描かれません。正体不明の声を追ううち、身体が徐々に虎へ変わり、水面で初めて外形を確認します。

戻るポイント:第3段落前半の動作を時系列で追う。

問12 李徴を戸外へ呼んだ声について、本文から確実に言えることはどれですか。
  1. 袁傪が李徴を助けるために呼んだ声である。
  2. 李徴の妻が帰宅を促した声である。
  3. 虎の群れの長が仲間を集める声である。
  4. 声の正体は本文中で明かされていない。

正解:D.声の正体は本文中で明かされていない。

本文は「誰かが我が名を呼んでいる」とだけ記し、声の主を明かしていません。したがって、袁傪・妻・虎など特定の存在を正解として補うことはできません。

戻るポイント:根拠のない人物名を補わず、本文で明示された範囲を答える。

問13 虎の姿を見た李徴が最初に「夢に違いない」と考えたのはなぜですか。
  1. 現実には起こり得ない変身をすぐ受け入れられず、以前に夢だと自覚する夢を見た経験があったから。
  2. 袁傪が夢の中で会おうと約束していたから。
  3. 虎になる薬を飲んだ記憶がなかったから。
  4. 谷川の水面は必ず幻を映すと知っていたから。

正解:A.現実には起こり得ない変身をすぐ受け入れられず、以前に夢だと自覚する夢を見た経験があったから。

李徴は目を疑い、次に夢だと考えます。しかし夢ではないと悟ると、どんなことでも起こり得ることを深く恐れます。

戻るポイント:「眼を信じなかった→夢と思った→夢でないと悟った」の三段階。

問14 「理由も分らずに押付けられたものを…生きて行くのが、我々生きもののさだめだ」とは、どのような認識ですか。
  1. 努力すれば、どのような運命も必ず自分で選び直せるという認識。
  2. 生き物は自分の境遇の理由を理解できないまま、それを受け入れて生きるほかないという認識。
  3. 虎になった理由は袁傪がすべて知っているという認識。
  4. 生き物には過去の記憶が一切ないという認識。

正解:B.生き物は自分の境遇の理由を理解できないまま、それを受け入れて生きるほかないという認識。

李徴は変身の直接原因を理解できず、存在そのものが理由の分からない運命を押し付けられて生きるものだと一般化します。後の第5段落では、心理的には思い当たる原因を語ります。

戻るポイント:第3段落の「原因不明」と第5段落の「自己分析」を区別する。

問15 兎を見た瞬間に起きたこととして正しいものはどれですか。
  1. 人間の姿が完全に戻り、兎を助けた。
  2. 袁傪の声が聞こえ、虎の本能が止まった。
  3. 死を考えていた人間の理性が消え、虎の捕食本能が李徴を支配した。
  4. 自分が夢の中にいることを確信した。

正解:C.死を考えていた人間の理性が消え、虎の捕食本能が李徴を支配した。

「自分の中の人間は忽ち姿を消した」という表現で、人間の意志が虎の本能に取って代わられます。理性が戻った後に残る血と毛が、行為の残酷さを示します。

戻るポイント:人間の心と虎の本能が交代する構造。

問16 李徴が最も「情なく、恐しく、憤ろしい」と感じるのはどのような時ですか。
  1. 虎の力で他の獣に勝った時。
  2. 袁傪の官位が自分より高いと知った時だけ。
  3. 人間の言葉を完全に忘れている時。
  4. 人間の心が戻り、虎として行った残虐な行為と自分の運命を振り返る時。

正解:D.人間の心が戻り、虎として行った残虐な行為と自分の運命を振り返る時。

虎の本能に支配されている間ではなく、人間の理性が戻った時に苦しみます。自分の行為を認識し、後悔できる人間性が残るからこそ苦痛が生じます。

戻るポイント:「人間の心で、虎としての己の残虐な行のあとを見る」。

問17 人間の心が消える過程を「古い宮殿の礎が土砂に埋没する」ことにたとえた効果はどれですか。
  1. 人間性の土台が残っていても、獣の習慣に徐々に覆われ、見えなくなる様子を具体化する。
  2. 虎の住む洞窟が宮殿に変化する様子を示す。
  3. 袁傪の官邸が荒廃する未来を予告する。
  4. 李徴の詩が古典として保存されることを祝う。

正解:A.人間性の土台が残っていても、獣の習慣に徐々に覆われ、見えなくなる様子を具体化する。

本文では、人間だった記憶や理性が残る状態を古い宮殿の礎に、日ごとに重なる虎の習慣を土砂にたとえています。一度に消えるのではなく、土台が徐々に覆われて見えなくなる過程を具体化した比喩です。

戻るポイント:比喩では「何が何に対応するか」をセットで答える。

問18 李徴が「人間の心が消えれば、しあわせになれる」と考える理由は何ですか。
  1. 再び詩人として名声を得られるから。
  2. 虎の残虐な行為を人間の心で振り返り、悔やみ苦しむことがなくなるから。
  3. 虎の姿のまま妻子と暮らせるから。
  4. 袁傪より高い官位につけるから。

正解:B.虎の残虐な行為を人間の心で振り返り、悔やみ苦しむことがなくなるから。

ここでの「しあわせ」は積極的な幸福ではなく、苦痛を感じる主体そのものが消える状態です。しかし残る人間の心は、自分の消滅をこの上なく恐れています。

戻るポイント:「苦しまなくなる」と「人間性を失う恐怖」の逆説。

問19 「この気持は誰にも分らない。誰にも分らない。」という反復の効果として最も適切なものはどれですか。
  1. 袁傪の聞き間違いを訂正する。
  2. 李徴が同じ詩句を暗唱していることを示す。
  3. 理解者のいない孤独と、感情の切迫を強調する。
  4. 虎の鳴き声が山に二回反響したことを表す。

正解:C.理解者のいない孤独と、感情の切迫を強調する。

同じ文を重ねることで、同じ境遇でなければ理解されないという孤独と、感情の切迫を強めています。後の「誰かにこの苦しみが分って貰えないか」という訴えにもつながります。

戻るポイント:反復法は内容の強調と感情の高まりを見る。

問20 第3段落の李徴が最も恐れている未来はどれですか。
  1. 詩が袁傪より高く評価されること。
  2. 妻子が自分の詩を読んで悲しむこと。
  3. 再び低い官職に戻されること。
  4. 人間だった記憶を失い、袁傪を友と認めず食い殺しても悔やまない虎になること。

正解:D.人間だった記憶を失い、袁傪を友と認めず食い殺しても悔やまない虎になること。

恐怖の中心は外形が虎であることだけではありません。記憶・理性・友情・後悔する心を失い、自分が自分でなくなることです。

戻るポイント:「どうして以前、人間だったのか」と考え始めた変化に注目。

第5段落10問
問21 第5段落で李徴が、自分を虎にした心理的原因として挙げるものはどれですか。
  1. 臆病な自尊心と尊大な羞恥心。
  2. 袁傪への嫉妬と妻子への憎しみ。
  3. 詩の師から受けた厳しい指導。
  4. 進士試験に不合格だった劣等感。

正解:A.臆病な自尊心と尊大な羞恥心。

変身の直接原因は第3段落で「分からぬ」とされています。ここで答えるのは、後に李徴自身が行う心理的な自己分析です。李徴は臆病な自尊心と尊大な羞恥心を育てたことを、自分が虎になった運命と結び付けています。

戻るポイント:第3段落=直接原因不明、第5段落=心理的自己分析。

問22 本文中の行動との対応から、「臆病な自尊心」を説明したものとして最も適切なのはどれですか。
  1. 自分の能力を完全に否定し、何も望まない心。
  2. 自分の才能を信じたいが、努力して才能不足が明らかになることを恐れる心。
  3. 他人の才能だけを無条件に尊敬する心。
  4. 失敗しても気にせず何度でも挑戦する心。

正解:B.自分の才能を信じたいが、努力して才能不足が明らかになることを恐れる心。

李徴は自分を「珠」かもしれないと思う一方、「珠ではない」と判明することを恐れ、師に就くことや詩友との研鑽を避けました。自尊心を傷つけられる恐怖が、努力から逃げる臆病さと結び付いています。

戻るポイント:自信と恐怖が同時にある矛盾した心。

問23 本文中の行動との対応から、「尊大な羞恥心」を説明したものとして最も適切なのはどれですか。
  1. 人前で失敗しても全く恥じない心。
  2. 身分の高い人にだけ従う礼儀正しい心。
  3. 未熟さを人に見られる恥を、他者を見下す尊大な態度で隠す心。
  4. 自分より優れた人を積極的に褒める心。

正解:C.未熟さを人に見られる恥を、他者を見下す尊大な態度で隠す心。

李徴は未熟な自分を人に見せることを恥じ、人との交わりを避け、外からは倨傲・尊大に見える態度を取りました。羞恥心を尊大さで覆うという、本文の行動に即した整理です。

戻るポイント:外から見える尊大さ/内側の羞恥心を分ける。

問24 李徴が師に就いたり、詩友と切磋琢磨したりしなかった理由は何ですか。
  1. 唐代には詩を教える師が存在しなかったから。
  2. 袁傪が詩友との交流を禁止したから。
  3. すでに第一流の詩人として認められていたから。
  4. 批評や比較によって自分の才能不足が明らかになることを恐れたから。

正解:D.批評や比較によって自分の才能不足が明らかになることを恐れたから。

本気で学ぶことは、自分の作品を他者の評価にさらすことでもあります。李徴は自尊心を守るため、その成長に必要な過程を避けました。

戻るポイント:「珠に非ざることを惧れる」が理由。

問25 李徴が「俗物の間に伍する」こともできなかったのはなぜですか。
  1. 自分は平凡な人々とは違う、珠であるはずだと半ば信じていたから。
  2. 虎になる前から人間の言葉を話せなかったから。
  3. 官吏の仕事が法律で禁止されていたから。
  4. 妻子が人との交流を嫌っていたから。

正解:A.自分は平凡な人々とは違う、珠であるはずだと半ば信じていたから。

自分が宝石ではないと知るのは怖い一方、自分は宝石かもしれないという意識もあります。そのため、瓦にたとえられる平凡な人々と同じ場所で努力できませんでした。

戻るポイント:珠=特別な才能、瓦=平凡な人々。

問26 「人間は誰でも猛獣使である」という比喩で、「猛獣」に当たるものは何ですか。
  1. 社会で出会う上司や同僚。
  2. 各人が内側に持つ性情。
  3. 実際に山林に住む野生動物。
  4. 詩人が用いる難しい言葉。

正解:B.各人が内側に持つ性情。

李徴が用いる比喩では、猛獣使いが人間、猛獣が各人の性情に当たります。李徴は、自分の場合は尊大な羞恥心を飼い太らせ、それに支配されたと自己分析します。

戻るポイント:猛獣使=人間、猛獣=性情の対応。

問27 李徴自身の自己分析では、虎という外形はどのように説明されていますか。
  1. 李徴が昔から虎を飼育していたから。
  2. 進士合格者を全員虎と呼ぶ慣習があったから。
  3. 尊大な羞恥心という性情を飼い太らせた結果、内心にふさわしい猛獣の外形になった。
  4. 袁傪が虎の姿を最も美しいと思っていたから。

正解:C.尊大な羞恥心という性情を飼い太らせた結果、内心にふさわしい猛獣の外形になった。

これは語り手が変身の客観的原因を確定した箇所ではなく、李徴自身が自分の運命を受け止めるために示した答えです。「なぜ虎になったか」の唯一の答えを決めるより、李徴が虎化をどう解釈したかを読むことが大切です。

戻るポイント:「外形を内心にふさわしいものに変えた」という自己分析。

問28 李徴が才能を「空費」した理由として本文に合うものはどれですか。
  1. 詩をすべて袁傪に盗まれたから。
  2. 官吏の仕事が忙しく、詩を一度も作れなかったから。
  3. 妻子が詩作を禁止したから。
  4. 才能不足が露呈する恐れと、苦しい努力を嫌う怠惰によって、才能を磨かなかったから。

正解:D.才能不足が露呈する恐れと、苦しい努力を嫌う怠惰によって、才能を磨かなかったから。

李徴自身が挙げるのは、才能不足が明らかになるかもしれないという「卑怯な危惧」と、刻苦を嫌う「怠惰」です。才能の有無を断定する問題ではなく、持っていた才能を磨かなかったことへの自己批判です。

戻るポイント:「卑怯な危惧」と「刻苦を厭う怠惰」の二点。

問29 「人生は何事をも為さぬには余りに長いが…」という警句を、李徴自身が批判する理由は何ですか。
  1. 立派な言葉を口にしながら、実際には努力せず行動しなかったから。
  2. 警句の文法が誤っていたから。
  3. 袁傪が同じ言葉を先に発表していたから。
  4. 人生は実際には無限に長いと分かったから。

正解:A.立派な言葉を口にしながら、実際には努力せず行動しなかったから。

李徴は立派な警句を口にしながら、現実には失敗を恐れて刻苦を避けました。そのため自分の反省の言葉さえ、実行を伴わない「口先ばかりの警句」だったと自嘲しています。

戻るポイント:「口先ばかりの警句」と、その後の行動不足を対比。

問30 李徴は、月に向かって咆える自分の行為をどのように説明していますか。
  1. 自分の縄張りに袁傪を呼び戻すため。
  2. 空費した人生への後悔と苦しみを、誰かに分かってもらえないかと思って咆えている。
  3. 詩の拍子を取る練習をするため。
  4. 他の虎に官位を知らせるため。

正解:B.空費した人生への後悔と苦しみを、誰かに分かってもらえないかと思って咆えている。

李徴は、胸を焼かれるような悔いを訴える相手も手段もないため、月へ咆えるのだと自分で説明します。周囲の人には怒る虎の声としか聞こえない点が、理解されない孤独を深めています。

戻るポイント:「誰かにこの苦しみが分って貰えないか」。

漢字・語句10問
問31 「博学才穎」の読み方はどれですか。
  1. はくがくさいよう
  2. はくがくざいえい
  3. はくがくさいえい
  4. ひろがくさいえい

正解:C.はくがくさいえい

「才穎」は才能が抜きん出ていることです。李徴の若いころの優秀さを示す冒頭の重要語句です。

戻るポイント:作者名・人物名と同様、漢字と読みをセットで。

問32 「狷介」の意味として最も近いものはどれですか。
  1. 気が弱く、何でも他人に従うこと。
  2. 学問が広く、記憶力が高いこと。
  3. 物事をすぐ忘れてしまうこと。
  4. 自分の考えを固く守り、他人と協調しにくいこと。

正解:D.自分の考えを固く守り、他人と協調しにくいこと。

李徴の性格を表す語です。自分の信念に固執し、人と交わりにくい性質が、その後の孤立につながります。

戻るポイント:「狷介」と「倨傲」は近い場面で問われやすい。

問33 「自ら恃む」の「恃む」の意味はどれですか。
  1. 頼みにする。
  2. 恐れる。
  3. 捨てる。
  4. 疑う。

正解:A.頼みにする。

「自ら恃むところ頗る厚く」は、自分の能力を非常に強く頼みにしていた、という意味です。

戻るポイント:「恃」は「頼る」の意味。

問34 「歯牙にもかけない」の意味として適切なものはどれですか。
  1. 歯を食いしばって我慢する。
  2. 問題にせず、相手として扱わない。
  3. 言葉をはっきり発音できない。
  4. 相手の意見を細かく検討する。

正解:B.問題にせず、相手として扱わない。

李徴は昔、同輩を鈍物として相手にもしませんでした。その相手の命令を受ける立場になったことが、自尊心を傷つけます。

戻るポイント:本文の前後関係と一緒に意味を覚える。

問35 「怏々として楽しまず」の「怏々」の読み方と意味の組み合わせはどれですか。
  1. えんえん/長く泣き続ける様子。
  2. ようよう/ようやく落ち着く様子。
  3. おうおう/不満で心が晴れない様子。
  4. おうこう/横柄に命令する様子。

正解:C.おうおう/不満で心が晴れない様子。

復職した李徴が満たされず、不機嫌で楽しくない状態を表します。読みと意味の両方が出題されやすい語です。

戻るポイント:「怏々=おうおう=不満」。

問36 「畏怖嫌厭」の読み方はどれですか。
  1. いけいけんお
  2. いふけんあく
  3. おそれぎらい
  4. いふけんえん

正解:D.いふけんえん

畏怖は恐れること、嫌厭は嫌って避けることです。李徴は姿を見せれば、袁傪にこの感情を抱かせると考えます。

戻るポイント:畏怖と嫌厭を二語に分けて覚える。

問37 「久闊を叙する」とはどういう意味ですか。
  1. 久しく会わなかった間のことを語り合う。
  2. 長い詩を声高く朗読する。
  3. 官職を辞める事情を説明する。
  4. 虎の姿を詳しく描写する。

正解:A.久しく会わなかった間のことを語り合う。

久闊は長く会わないこと、叙するは述べることです。再会した旧友同士が近況を語る場面に使われます。

戻るポイント:袁傪が馬を下り、叢の李徴と話す場面。

問38 「伝録」の意味として適切なものはどれですか。
  1. 昔の記録を焼き捨てること。
  2. 言葉を伝えて書き記すこと。
  3. 詩を暗記して声に出すことだけ。
  4. 自分の作品を批評すること。

正解:B.言葉を伝えて書き記すこと。

李徴は記憶している詩を声で伝え、袁傪の部下が書き取ります。この行為が伝録です。

戻るポイント:記誦=暗記、伝録=伝えて記録、を区別。

問39 「切磋琢磨」の本文での意味はどれですか。
  1. 宝石を売って生活費を得ること。
  2. 官吏同士が出世を争うことだけ。
  3. 詩友と互いに励まし合い、作品や能力を磨くこと。
  4. 虎が爪と牙を研ぐこと。

正解:C.詩友と互いに励まし合い、作品や能力を磨くこと。

李徴は成長に必要な師や仲間との研鑽を避けました。「珠を磨く」比喩ともつながる語です。

戻るポイント:切磋琢磨をしなかったことが、才能の空費につながる。

問40 「慟哭」の意味として最も近いものはどれですか。
  1. 怒って大声で命令すること。
  2. 長く黙り込むこと。
  3. 獣が獲物を追うこと。
  4. 声を上げて激しく泣くこと。

正解:D.声を上げて激しく泣くこと。

妻子への依頼を語った後、叢の中から慟哭の声が聞こえます。単なる涙ではなく、声を上げて激しく泣くことです。

戻るポイント:慟哭=人の激しい泣き声、咆哮=獣のほえ声。

詩・総合10問
問41 李徴が自作の詩を伝録してほしいと願った最も大きな理由は何ですか。
  1. 生涯執着した詩を一部でも後代に残さなければ、死んでも死に切れないと思ったから。
  2. 袁傪の詩より優れていることを証明し、官職を得るため。
  3. 妻子に詩を売らせて莫大な財産を作るため。
  4. 虎の言葉を人間に翻訳する方法を研究するため。

正解:A.生涯執着した詩を一部でも後代に残さなければ、死んでも死に切れないと思ったから。

李徴は、生涯を懸けた詩を一部でも後代に伝えなければ死んでも死に切れないと述べます。詩への執着は人間の李徴が残る証しですが、妻子の依頼より先にした順序は、後に本人が自己批判します。

戻るポイント:詩への執着の肯定面と批判面の両方を見る。

問42 袁傪が李徴の旧詩を聞いて感じたことは何ですか。
  1. 詩として読む価値が全くない。
  2. 素質は第一流だが、作品が第一流になるには微妙に欠けるところがある。
  3. すでに唐代最高の詩人を超えている。
  4. 内容は優れるが、李徴本人の作ではない。

正解:B.素質は第一流だが、作品が第一流になるには微妙に欠けるところがある。

本文が確実に示すのは、袁傪が「素質は第一流だが、第一流の作品となるには非常に微妙な点で欠ける」と感じたことです。何が欠けるのかには複数の読みがあるため、この問題ではその中身を一つに断定しません。

戻るポイント:「才能がない」ではなく「素質はあるが作品に欠ける」。

問43 李徴が即席の漢詩を作る目的として最も適切なものはどれですか。
  1. 袁傪に虎退治を依頼する暗号を送るため。
  2. 妻子の居場所を地図として示すため。
  3. 虎の中に、かつての詩人李徴がまだ生きている証しを示すため。
  4. 進士試験をもう一度受けるため。

正解:C.虎の中に、かつての詩人李徴がまだ生きている証しを示すため。

李徴自身が「虎の中に、まだ、かつての詩人李徴が生きているしるし」として即席の詩を作ります。詩の目的は本文に明示されているため、推測ではなくその言葉を根拠に答えられます。

戻るポイント:即席詩の前の「この虎の中に、まだ…李徴が生きているしるし」。

問44 「我為異物蓬茅下/君已乗軺気勢豪」で対比されるものは何ですか。
  1. 李徴の妻と袁傪の妻の暮らし。
  2. 昔の袁傪と未来の袁傪。
  3. 人里の虎と山奥の虎。
  4. 草むらに潜む虎の李徴と、車に乗る高官の袁傪の現在。

正解:D.草むらに潜む虎の李徴と、車に乗る高官の袁傪の現在。

同年に進士へ合格した二人の人生が大きく分かれたことを示します。李徴は異類として草むらに隠れ、袁傪は官吏として堂々と旅をしています。

戻るポイント:人物・場所・社会的立場の三つの対照。

問45 「不成長嘯但成嗥」が対比しているものとして最も適切なのはどれですか。
  1. 詩人として声を長く吟じることと、虎としてただ咆えること。
  2. 李徴が漢詩の読み方を完全に忘れたこと。
  3. 袁傪が詩を聞かずに立ち去ったこと。
  4. 月が雲に隠れて詩を書けなかったこと。

正解:A.詩人として声を長く吟じることと、虎としてただ咆えること。

「長嘯」は人間・詩人として声を長く発すること、「嗥」は獣がほえることです。人間の詩心を残しながら、外形と声は虎になっている李徴の現在を対比しています。

戻るポイント:人間の内面/虎の外形、表現したい思い/伝わらない声。

問46 「残月、光冷やかに」「白露」「冷風」という情景描写が最もはっきり示すものはどれですか。
  1. 真夏の暑さと李徴の怒りを強める。
  2. 夜明けが近づき、李徴が人間の心で話せる時間と袁傪との別れが迫っていること。
  3. 都の華やかな宴会を想像させる。
  4. 妻子が安全に暮らす場面を明るく示す。

正解:B.夜明けが近づき、李徴が人間の心で話せる時間と袁傪との別れが迫っていること。

残月・白露・冷風は夜明け前の時間と冷気を示します。夜明けが近づくほど李徴が虎へ戻る時間も迫るため、情景が会話の終わりと別れの切迫を支えています。

戻るポイント:自然描写は時間の進行と人物の心情に結び付ける。

問47 李徴自身は、妻子の依頼を詩の依頼より後にしたことを、どのように受け止めていますか。
  1. 妻子の存在を完全に忘れていたこと。
  2. 袁傪が妻子の話を禁止していたこと。
  3. 人間だったなら妻子のことを先に頼むべきであり、順序を誤った自分を批判している。
  4. 詩の依頼は妻子を守るためだけだったこと。

正解:C.人間だったなら妻子のことを先に頼むべきであり、順序を誤った自分を批判している。

李徴は「本当は、先ず、この事の方を先にお願いすべきだったのだ、己が人間だったなら」と述べます。妻子への愛情がないと単純化するのではなく、詩業への執着が先に出た自分を本人が責めている点を押さえます。

戻るポイント:李徴を単純な悪人・家族思いのどちらか一方にしない。

問48 李徴が最後に虎の姿を袁傪へ見せた理由は何ですか。
  1. 虎としての強さを袁傪に誇るため。
  2. 自分を捕らえて都へ連れて行かせるため。
  3. 詩の身振りを実演するため。
  4. 醜悪な姿を見せ、袁傪が再び会おうとして危険な道を通らないようにするため。

正解:D.醜悪な姿を見せ、袁傪が再び会おうとして危険な道を通らないようにするため。

李徴は「勇に誇ろうとしてではない」と明確に否定し、醜悪な姿を見れば袁傪が再び会おうとは思わないだろうと説明します。同じ道を通らせず、友を襲う危険を避けるための行動です。

戻るポイント:否定表現「勇に誇ろうとしてではない」に注目。

問49 「己の毛皮の濡れたのは、夜露のためばかりではない」が暗示するものは何ですか。
  1. 李徴が孤独・後悔・悲しみのために流した涙。
  2. 谷川を泳いだ時についた水。
  3. 袁傪が虎へ水をかけたこと。
  4. 雨が激しく降り始めたこと。

正解:A.李徴が孤独・後悔・悲しみのために流した涙。

本文は「涙」と直接書かず、「夜露のためばかりではない」と別の原因を読ませます。直前の悔い・悲しみ・孤独を受け、毛皮を濡らした涙を婉曲に暗示する表現です。

戻るポイント:「ばかりではない」が、別の原因を読ませる合図。

問50 第5・第6段落で李徴が行う自己分析を、最も正確にまとめたものはどれですか。
  1. 努力さえすれば、誰でも必ず第一流の芸術家になれるという成功物語。
  2. 傷つくことを恐れて努力や他者との交流を避け、自分の性情に支配されて才能を空費し、妻子や友人も傷つけた。
  3. 虎は人間より自由で幸福であるという動物賛美。
  4. 官吏として出世することだけが人生の目的だという教訓。

正解:B.傷つくことを恐れて努力や他者との交流を避け、自分の性情に支配されて才能を空費し、妻子や友人も傷つけた。

これは作品の主題を唯一の一文に固定する問題ではなく、李徴自身の自己分析をまとめる問題です。李徴は臆病な自尊心と尊大な羞恥心、努力を避けた怠惰、詩業への執着が、自分・妻子・友人を損なったと語ります。

戻るポイント:才能・努力・他者・自意識・人間性を一つにつなげる。

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