更級日記「門出(東路の道の果て・あこがれ)」本文・現代語訳・品詞分解|定期テスト問題20問
本文と現代語訳を一文ずつ確認して、全文の品詞分解・予想問題20問へ
「東路の道の果て」から「人知れずうち泣かれぬ」までを、原文・現代語訳・品詞分解の順に解説します。助動詞・敬語・作者の心情と、解答・解説つき定期テスト予想問題20問まで、テスト前にまとめて確認できます。
「東路の道の果てよりも」から「人知れずうち泣かれぬ」まで。教科書によって、この章段は「門出」「東路の道の果て」「あこがれ」などと題されています。
主な読み方東路=あづまぢ/生ひ出で=おひいで/宵居=よひゐ/等身=とうしん/薬師仏=やくしぼとけ/額=ぬか
更級日記「門出」の原文・現代語訳|東路の道の果てから人知れずうち泣かれぬまで
本文を四つに分け、原文と現代語訳を一文ずつ対応させます。「見る」は、この場面では物語を「読む」という意味で訳しています。
本文表記は教科書によって「あづま路/東路」「あなる/あんなる」「造りて/作りて」「霧り渡る/霧りわたる」などの違いがあります。学校の教科書の表記もあわせて確認してください。
1.東路の道の果て・物語へのあこがれ
東路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひ始めけることにか、世の中に物語といふもののあんなるを、いかで見ばやと思ひつつ、
東国へ向かう道の果てよりも、さらに奥の方で育った私は、どれほど田舎びていたことだろう。それなのに、どうして物語を読みたいなどと思い始めたのだろうか。世の中に物語というものがあるそうなので、どうにかして読みたいと思い続けて、
2.姉や継母から聞く物語
つれづれなる昼間、宵居などに、姉、継母などやうの人々の、その物語、かの物語、光源氏のあるやうなど、ところどころ語るを聞くに、いとどゆかしさまされど、わが思ふままに、そらにいかでかおぼえ語らむ。
することもなく退屈な昼間や、夜遅くまで起きている時などに、姉や継母のような人々が、その物語、この物語、光源氏の様子などを、ところどころ話すのを聞くと、ますます読みたい気持ちは強くなる。しかし、私が望むとおりに、何も見ないで暗記だけを頼りに、どうして物語のすべてを思い出して語ることができようか。いや、できない。
3.薬師仏への祈りと九月三日の門出
いみじく心もとなきままに、等身に薬師仏を作りて、手洗ひなどして、人まにみそかに入りつつ、「京にとく上げ給ひて、物語の多く候ふなる、ある限り見せ給へ。」と、身を捨てて額をつき、祈り申すほどに、十三になる年、上らむとて、九月三日門出して、いまたちといふ所に移る。
ひどくじれったく待ち遠しいので、自分と同じ背丈の薬師仏を作り、手を洗うなどして身を清め、人のいない時にこっそり入っては、「私を早く京へ上らせてくださって、物語がたくさんございますそうなので、あるだけすべて見せてください」と、身を投げ出すようにして額を地につけ、祈り申し上げているうちに、十三歳になる年、京へ上ろうとして、九月三日に門出をし、「いまたち」という所へ移った。
4.薬師仏との別れ・人知れずうち泣かれぬ
年ごろ遊び慣れつる所を、あらはにこほち散らして、立ち騒ぎて、日の入り際の、いとすごく霧りわたるに、車に乗るとて、うち見やりたれば、人まには参りつつ、額をつきし薬師仏の立ち給へるを、見捨て奉る悲しくて、人知れずうち泣かれぬ。
長年遊び慣れた場所を、辺りが丸見えになるほど壊して散らかし、皆が慌ただしく騒いでいた。日暮れ時で、ひどくもの寂しく一面に霧が立ちこめている中、車に乗ろうとしてふと振り返って見ると、人のいない時には参っては額をついていた薬師仏が立っていらっしゃる。その仏をお見捨て申し上げることが悲しくて、人に知られないまま、自然と泣けてしまった。
更級日記「門出」の全文品詞分解
「東路の道の果てよりも」から「人知れずうち泣かれぬ」までを、本文の順に品詞分解します。助動詞は意味と活用形、敬語は種類と敬意の対象まで確認しましょう。
「いかに思ひ始めけることにか」の後には、一般に「あらむ」を補います。前後の過去表現を重視して「ありけむ」と補う説明もあります。定期テストでは学校の授業・教科書の説明を優先してください。
1.東路の道の果てよりも〜いかで見ばやと思ひつつ
| 語句 | 品詞・活用形 | 意味・文法 |
|---|---|---|
| 東路 | 名詞 | 東国へ向かう道。読みは「あづまぢ」。 |
| の | 格助詞 | 連体修飾。「東路の道」。 |
| 道 | 名詞 | — |
| の | 格助詞 | 連体修飾。「道の果て」。 |
| 果て | 名詞 | 最果て、終わり。 |
| より | 格助詞 | 比較の基準。「〜より」。 |
| も | 係助詞 | 強意を添える。 |
| なほ | 副詞 | さらに、もっと。 |
| 奥 | 名詞 | — |
| つ | 格助詞 | 「の」の意。「奥つ方」=奥の方。 |
| 方 | 名詞 | 方向、場所。 |
| に | 格助詞 | 場所を表す。 |
| 生ひ出で | ダ行下二段活用動詞「生ひ出づ」連用形 | 成長する、育つ。 |
| たる | 完了の助動詞「たり」連体形 | 「育った」。後ろの「人」を修飾する。 |
| 人 | 名詞 | 作者自身を指す。 |
| いかばかり | 副詞 | どれほど。 |
| かは | 係助詞 | 疑問・詠嘆。「けむ」が連体形で結ぶ。 |
| あやしかり | シク活用形容詞「あやし」連用形 | 田舎びている、見苦しい。 |
| けむ | 過去推量の助動詞「けむ」連体形 | 「〜ただろう」。係助詞「かは」の結び。 |
| を | 接続助詞 | 逆接。「〜のに」「それなのに」。 |
| いかに | 副詞 | どうして、どのように。 |
| 思ひ始め | マ行下二段活用動詞「思ひ始む」連用形 | 思い始める。 |
| ける | 過去の助動詞「けり」連体形 | 「〜た」。後ろの「こと」を修飾する。 |
| こと | 名詞 | — |
| に | 断定の助動詞「なり」連用形 | 「〜で」。 |
| か | 係助詞 | 疑問。後ろに「あらむ」などが省略されている。 |
| 世の中 | 名詞 | — |
| に | 格助詞 | 存在する場所。 |
| 物語 | 名詞 | — |
| と | 格助詞 | 引用。「〜という」。 |
| いふ | ハ行四段活用動詞「言ふ」連体形 | 「いう」。後ろの「もの」を修飾する。 |
| もの | 名詞 | — |
| の | 格助詞 | 主格。「ものが」。 |
| あん | ラ行変格活用動詞「あり」連体形「ある」の撥音便 | 「ある」が「あん」となった形。 |
| なる | 伝聞・推定の助動詞「なり」連体形 | 「あるそうな」。 |
| を | 格助詞 | 動作の対象。「物語を」。 |
| いかで | 副詞 | どうにかして、なんとかして。 |
| 見 | マ行上一段活用動詞「見る」未然形 | ここでは物語を読むこと。 |
| ばや | 終助詞 | 自己の願望。「〜したい」。未然形に接続する。 |
| と | 格助詞 | 引用。 |
| 思ひ | ハ行四段活用動詞「思ふ」連用形 | — |
| つつ | 接続助詞 | 反復・継続。「〜し続けて」「〜しながら」。 |
2.つれづれなる昼間〜そらにいかでかおぼえ語らむ
| 語句 | 品詞・活用形 | 意味・文法 |
|---|---|---|
| つれづれなる | ナリ活用形容動詞「つれづれなり」連体形 | することがなく退屈だ。 |
| 昼間 | 名詞 | — |
| 宵居 | 名詞 | 夜遅くまで起きていること。読みは「よひゐ」。 |
| など | 副助詞 | 例示。 |
| に | 格助詞 | 時を表す。 |
| 姉 | 名詞 | — |
| 継母 | 名詞 | 父の後妻。読みは「ままはは」。 |
| など | 副助詞 | 例示。 |
| やう | 名詞 | よう、たぐい。 |
| の | 格助詞 | 連体修飾。 |
| 人々 | 名詞 | — |
| の | 格助詞 | 主格。「人々が」。 |
| その | 連体詞 | — |
| 物語 | 名詞 | — |
| かの | 連体詞 | あの、その。 |
| 物語 | 名詞 | — |
| 光源氏 | 名詞 | 『源氏物語』の主人公。 |
| の | 格助詞 | 連体修飾。 |
| ある | ラ行変格活用動詞「あり」連体形 | — |
| やう | 名詞 | 様子、ありさま。 |
| など | 副助詞 | 例示。 |
| ところどころ | 副詞 | 部分部分、断片的に。 |
| 語る | ラ行四段活用動詞「語る」連体形 | 後ろに形式名詞「の」を補って「語るのを」と取る。 |
| を | 格助詞 | 動作の対象。 |
| 聞く | カ行四段活用動詞「聞く」連体形 | — |
| に | 接続助詞 | 順接。「〜すると」。 |
| いとど | 副詞 | ますます、いっそう。 |
| ゆかし | シク活用形容詞「ゆかし」語幹 | 見たい、知りたい、読みたい。 |
| さ | 接尾語 | 形容詞を名詞化する。「ゆかしさ」。 |
| まされ | ラ行四段活用動詞「まさる」已然形 | 増す、強くなる。 |
| ど | 接続助詞 | 逆接。「〜けれども」。 |
| わが | 代名詞「我」+格助詞「が」 | 私の。 |
| 思ふ | ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形 | — |
| まま | 名詞 | 思いどおり。 |
| に | 格助詞 | 状態を表す。 |
| そらに | 副詞 | 何も見ないで、暗記して。 |
| いかで | 副詞 | どうして。 |
| か | 係助詞 | 反語。結びを連体形にする。 |
| おぼえ | ヤ行下二段活用動詞「おぼゆ」連用形 | 思い出す、記憶する。 |
| 語ら | ラ行四段活用動詞「語る」未然形 | — |
| む | 推量の助動詞「む」連体形 | 反語と呼応し、「どうして語れようか、いや、語れない」。 |
3.いみじく心もとなきままに〜いまたちといふ所に移る
| 語句 | 品詞・活用形 | 意味・文法 |
|---|---|---|
| いみじく | シク活用形容詞「いみじ」連用形 | たいそう、ひどく。 |
| 心もとなき | ク活用形容詞「心もとなし」連体形 | じれったい、待ち遠しい。 |
| まま | 名詞 | 〜ので、〜にまかせて。 |
| に | 格助詞 | 原因・状態を表す。 |
| 等身 | 名詞 | 自分と同じ背丈。読みは「とうしん」。 |
| に | 格助詞 | 状態を表す。「等身大に」。 |
| 薬師仏 | 名詞 | 薬師如来の仏像。 |
| を | 格助詞 | 動作の対象。 |
| 作り | ラ行四段活用動詞「作る」連用形 | — |
| て | 接続助詞 | 単純接続。 |
| 手洗ひ | 名詞 | 手を洗って身を清めること。 |
| など | 副助詞 | 例示。 |
| し | サ行変格活用動詞「す」連用形 | — |
| て | 接続助詞 | 単純接続。 |
| 人ま | 名詞 | 人のいない間。 |
| に | 格助詞 | 時を表す。 |
| みそかに | ナリ活用形容動詞「みそかなり」連用形 | ひそかに、こっそり。 |
| 入り | ラ行四段活用動詞「入る」連用形 | — |
| つつ | 接続助詞 | 反復。「〜しては」。 |
| 京 | 名詞 | 京都。 |
| に | 格助詞 | 到着点。 |
| とく | ク活用形容詞「とし」連用形 | 早く。 |
| 上げ | ガ行下二段活用動詞「上ぐ」連用形 | 京へ上らせる。 |
| 給ひ | ハ行四段活用補助動詞「給ふ」連用形 | 尊敬語。作者から動作主の薬師仏への敬意。 |
| て | 接続助詞 | 単純接続。 |
| 物語 | 名詞 | — |
| の | 格助詞 | 主格。「物語が」。 |
| 多く | ク活用形容詞「多し」連用形 | たくさん。 |
| 候ふ | ハ行四段活用動詞「候ふ」終止形 | 丁寧語。「ございます」。 |
| なる | 伝聞・推定の助動詞「なり」連体形 | 「ございますそうな」。 |
| ある | ラ行変格活用動詞「あり」連体形 | — |
| 限り | 名詞 | あるだけすべて。 |
| 見せ | サ行下二段活用動詞「見す」連用形 | 見せる。ここでは物語を読ませる。 |
| 給へ | ハ行四段活用補助動詞「給ふ」命令形 | 尊敬語。薬師仏への敬意。「〜してください」。 |
| と | 格助詞 | 引用。 |
| 身 | 名詞 | — |
| を | 格助詞 | 動作の対象。 |
| 捨て | タ行下二段活用動詞「捨つ」連用形 | 身を投げ出すようにする。 |
| て | 接続助詞 | 単純接続。 |
| 額 | 名詞 | ひたい。ここでは読みは「ぬか」。 |
| を | 格助詞 | 動作の対象。 |
| つき | カ行四段活用動詞「つく」連用形 | 額を地につけて礼拝する。 |
| 祈り | ラ行四段活用動詞「祈る」連用形 | — |
| 申す | サ行四段活用補助動詞「申す」連体形 | 謙譲語。「お祈り申し上げる」。 |
| ほど | 名詞 | 間、うち。 |
| に | 格助詞 | 時を表す。「〜しているうちに」。 |
| 十三 | 名詞 | 十三歳。 |
| に | 格助詞 | 変化の結果。 |
| なる | ラ行四段活用動詞「なる」連体形 | — |
| 年 | 名詞 | — |
| 上ら | ラ行四段活用動詞「上る」未然形 | 京へ行く。 |
| む | 意志の助動詞「む」終止形 | 「〜しよう」。 |
| とて | 格助詞 | 動機・目的。「〜しようと思って」。 |
| 九月三日 | 名詞 | 門出の日。 |
| 門出し | サ行変格活用動詞「門出す」連用形 | 旅立ちのため、いったん別の場所へ移る。 |
| て | 接続助詞 | 単純接続。 |
| いまたち | 名詞 | 地名。 |
| と | 格助詞 | 引用。 |
| いふ | ハ行四段活用動詞「言ふ」連体形 | — |
| 所 | 名詞 | — |
| に | 格助詞 | 移動先。 |
| 移る | ラ行四段活用動詞「移る」終止形 | — |
4.年ごろ遊び慣れつる所〜人知れずうち泣かれぬ
| 語句 | 品詞・活用形 | 意味・文法 |
|---|---|---|
| 年ごろ | 名詞 | 長年、数年来。 |
| 遊び慣れ | ラ行下二段活用動詞「遊び慣る」連用形 | 遊び慣れる。 |
| つる | 完了の助動詞「つ」連体形 | 「〜てきた」「〜た」。後ろの「所」を修飾する。 |
| 所 | 名詞 | — |
| を | 格助詞 | 動作の対象。 |
| あらはに | ナリ活用形容動詞「あらはなり」連用形 | 丸見えになるほど、むき出しに。 |
| こほち散らし | サ行四段活用動詞「こほち散らす」連用形 | 壊して散らかす。 |
| て | 接続助詞 | 単純接続。 |
| 立ち騒ぎ | ガ行四段活用動詞「立ち騒ぐ」連用形 | 慌ただしく動き回る。 |
| て | 接続助詞 | 単純接続。 |
| 日 | 名詞 | — |
| の | 格助詞 | 連体修飾。 |
| 入り際 | 名詞 | 日暮れ時。 |
| の | 格助詞 | 同格。「日暮れ時で」。 |
| いと | 副詞 | たいそう、非常に。 |
| すごく | ク活用形容詞「すごし」連用形 | もの寂しく、不気味なほど寂しく。 |
| 霧りわたり | ラ行四段活用動詞「霧りわたる」連用形 | 一面に霧が立ちこめる。 |
| たる | 存続の助動詞「たり」連体形 | 「〜ている」。 |
| に | 格助詞 | 時を表す。「〜ている時に」。 |
| 車 | 名詞 | 牛車。 |
| に | 格助詞 | 動作の対象。 |
| 乗る | ラ行四段活用動詞「乗る」終止形 | — |
| とて | 格助詞 | 動機・目的。「乗ろうとして」。 |
| うち見やり | ラ行四段活用動詞「うち見やる」連用形 | ふと遠くを見る、振り返って見る。 |
| たれ | 完了の助動詞「たり」已然形 | 「〜た」。 |
| ば | 接続助詞 | 確定条件。「〜すると」。 |
| 人ま | 名詞 | 人のいない間。 |
| に | 格助詞 | 時を表す。 |
| は | 係助詞 | 強調。 |
| 参り | ラ行四段活用動詞「参る」連用形 | 謙譲の本動詞。作者から薬師仏への敬意。 |
| つつ | 接続助詞 | 反復。「参っては」。 |
| 額 | 名詞 | 読みは「ぬか」。 |
| を | 格助詞 | 動作の対象。 |
| つき | カ行四段活用動詞「つく」連用形 | 額を地につける。 |
| し | 過去の助動詞「き」連体形 | 「〜た」。後ろの「薬師仏」を修飾する。 |
| 薬師仏 | 名詞 | — |
| の | 格助詞 | 主格。「薬師仏が」。 |
| 立ち | タ行四段活用動詞「立つ」連用形 | — |
| 給へ | ハ行四段活用補助動詞「給ふ」已然形 | 尊敬語。作者から薬師仏への敬意。 |
| る | 存続の助動詞「り」連体形 | 「立っていらっしゃる」。四段活用の已然形「給へ」に接続。 |
| を | 格助詞 | 動作の対象。 |
| 見捨て | タ行下二段活用動詞「見捨つ」連用形 | 置き去りにする。 |
| 奉る | ラ行四段活用補助動詞「奉る」連体形 | 謙譲語。作者から薬師仏への敬意。「〜申し上げる」。 |
| 悲しく | シク活用形容詞「悲し」連用形 | 後ろに「ことが」を補って考える。 |
| て | 接続助詞 | 原因・理由。「悲しいので」。 |
| 人 | 名詞 | ほかの人。 |
| 知れ | ラ行下二段活用動詞「知る」未然形 | 知られる。 |
| ず | 打消の助動詞「ず」連用形 | 「知られないで」。 |
| うち泣か | カ行四段活用動詞「うち泣く」未然形 | 泣く。「うち」は接頭語。 |
| れ | 自発の助動詞「る」連用形 | 自然と〜される、思わず〜してしまう。 |
| ぬ | 完了の助動詞「ぬ」終止形 | 「〜てしまった」。打消の「ず」ではない。 |
更級日記「門出」のあらすじ・作者の心情
作者の菅原孝標女は、東国で育った少女時代を振り返ります。姉や継母から物語の一部分を聞くうちに、物語を自分の思うままに読みたいという願いが強まり、薬師仏に上京を祈ります。十三歳の年に門出を迎えると、長年過ごした場所と薬師仏を残して行くことが悲しくなり、人知れず泣きます。
「東路の道の果てよりも、なほ奥つ方」と述べ、都から遠く離れた場所で育ったことを強調しています。
姉や継母が物語や光源氏について部分的に語るのを聞き、作者の「ゆかしさ」はいっそう募ります。
物語を読めるよう上京させてほしいと祈った薬師仏を置いて行くことが悲しく、自然と涙がこぼれます。
「東路の道の果て」から「人知れずうち泣かれぬ」までの流れ
本文は、物語を読みたいという願いが強まる前半と、上京の門出で別れを悲しむ後半に分けて捉えると理解しやすくなります。
作者は、都から遠く離れた東国の、さらに奥の方で育った人として昔の自分を振り返ります。「いかばかりかはあやしかりけむ」には、当時の自分がどれほど田舎びて見苦しかったことだろう、という回想が表れています。
姉や継母は、さまざまな物語や「光源氏のあるやう」をところどころ語るだけで、作者が望むままに物語の全体を暗唱してくれるわけではありません。そのため、作者の「ゆかしさ」はいっそう強くなります。
作者は自分と同じ背丈の薬師仏を造り、人目のないときに「私を早く京へ上らせ、あるだけの物語を見せてください」と祈ります。十三歳の年に上京することになって門出を迎えますが、最後の場面では、薬師仏を残して行く悲しみが描かれます。
品詞分解・助動詞・敬語でよく出る表現
特に「あやしかりけむ」「あんなる」「見ばや」「上げ給ひて」「つる」「給へる」「奉る」「泣かれぬ」を、意味と活用形まで確認しましょう。
| いかばかりかはあやしかりけむ | けむは過去推量の助動詞で、係助詞「かは」の結びとなる連体形。「どれほどまあ田舎びて見苦しかったことだろう」と、昔の自分を振り返る。 |
|---|---|
| 物語といふもののあんなるを | あんなるは「あるなる」の「ある」が撥音便化した形。伝聞の助動詞「なり」が関わり、「物語というものがあるそうなのを」と訳す。 |
| いかで見ばや | いかでは「どうにかして」、終助詞ばやは自己の願望。「どうにかして見たい・読みたい」と訳す。 |
| 京にとく上げ給ひて | 上げは「上ぐ」の連用形、給ひは尊敬の補助動詞「給ふ」の連用形。薬師仏への敬意を表し、「(私を)早く京へ上らせてくださって」と訳す。 |
| 遊び慣れつる所 | つるは完了の助動詞「つ」の連体形。「長年遊び慣れてきた場所」の意。 |
| 薬師仏の立ち給へるを | 給へは尊敬の補助動詞「給ふ」の已然形、るは存続の助動詞「り」の連体形。薬師仏が立っていらっしゃることを表す。 |
| 見捨て奉る | 奉るは謙譲の補助動詞で、薬師仏への敬意を表す。「お見捨て申し上げる」と訳し、連体形の後には「こと」が省略されている。 |
| 人知れずうち泣かれぬ | れは自発、ぬは完了。「人に知られないで、自然と泣けてしまった」と訳す。 |
物語を読みたい願望は「ばや」、昔の自分を振り返る表現は「けむ」、薬師仏への敬意は「給ふ」「奉る」、別れの悲しみから自然と泣ける様子は自発の「れ」とつなげて覚えましょう。
内容理解・心情・重要語句の確認
原文と現代語訳を確認したうえで、重要語句・助動詞・敬語を本文の場面と結びつけて押さえましょう。
更級日記「門出」|あらすじ・全体の流れ
更級日記「門出」は、東国で育った作者が、少女時代の物語への強いあこがれと、上京の門出で薬師仏を残して行く悲しみを振り返る場面です。
作者は、都から遠い東国で育った昔の自分を振り返ります。姉や継母が物語や光源氏について部分的に語るのを聞き、物語を読みたい気持ちを募らせます。自分と同じ背丈の薬師仏を造って上京を祈り、十三歳の年の九月三日に門出をします。長年遊び慣れた場所を離れるとき、これまで祈ってきた薬師仏を残して行くことが悲しくなり、人知れず自然と泣けてしまいます。
| 作者 | 菅原孝標女。東国で育ち、物語への強いあこがれを抱く。 |
|---|---|
| 場所 | 「東路の道の果てよりも、なほ奥つ方」。都から非常に遠い東国で育ったことを強調する。 |
| 中心テーマ | 物語へのあこがれ、薬師仏への祈り、門出で薬師仏を残して行く悲しみ。 |
「東路の道の果て」|現代語訳・内容理解
「東路の道の果て」は、京都から東国へ向かう道の最果てを表します。本文では、作者がそこよりもさらに奥で育ったと述べ、都から非常に遠い場所で育ったことを強調しています。
| 東路 | 東国へ向かう道。都から東国方面へ向かう道筋。 |
|---|---|
| 道の果て | 道の終わりのような遠い場所。都から非常に遠い印象を与える。 |
| なほ奥つ方 | さらに奥の方。作者が田舎で育ったことを強調する。 |
| 問われやすいこと | 作者がどのような場所で育ったか。また、「あやしかりけむ」で昔の自分をどう捉えているか。 |
「いかばかりかはあやしかりけむ」は、「どれほどまあ田舎びて見苦しかったことだろう」と、成長した作者が少女時代の自分を振り返る表現です。「かは」の結びで「けむ」が連体形になっていることも確認しましょう。
物語へのあこがれ|「いかで見ばや」の意味
作者は、世の中には物語というものがあるそうだと知り、どうにかして読みたいと強く願います。ここで出る「ばや」は、自分の願望を表す終助詞です。
| いかで | どうにかして。なんとかして。 |
|---|---|
| 見ばや | 見たい。読みたい。ばやは自己の願望を表す。 |
| 作者の心情 | 姉や継母から一部分を聞くだけでなく、物語を自分の思うままに読みたいという強い願い。 |
| 現代語訳の型 | 「どうにかして見たいものだ」「なんとかして読みたい」など。 |
「どうして何も見ずに思い出して語ることができようか、いや、できない」という反語です。姉や継母の話だけでは満足できず、作者の「ゆかしさ」がいっそう増した理由を表します。
薬師仏との別れ|門出の日の心情
門出の日、作者は長年遊び慣れた場所を離れます。車に乗ろうとして振り返ると、これまで人目のないときに参って祈ってきた薬師仏が残されています。それを置いて行くことが悲しく、自然と涙がこぼれます。
| 遊び慣れつる所 | 長年遊び慣れてきた場所。つるは完了の助動詞「つ」の連体形。 |
|---|---|
| 薬師仏 | 作者が自分と同じ背丈に造り、人目のないときに上京と物語を読めることを祈っていた対象。 |
| 見捨て奉る | 薬師仏を置いて行くこと。奉るは謙譲語で、仏への敬意を表す。 |
| 人知れずうち泣かれぬ | 人に知られないで、自然と泣けてしまった。れは自発、ぬは完了。 |
この場面で直接描かれているのは、長く祈ってきた薬師仏を残して行く悲しみです。「なぜ泣いたのか」と問われたら、物語を読めるよう上京させてほしいと祈ってきた薬師仏を、置いて行かなければならないから、と本文に即して答えます。
品詞分解|テストで狙われやすい語句
| 生ひ出でたる | 「生ひ出づ」の連用形+完了の助動詞「たり」の連体形。ここでは「育った」と訳す。 |
|---|---|
| あやしかりけむ | 形容詞「あやし」の連用形+過去推量の助動詞「けむ」の連体形。「かは」の結びで連体形になる。 |
| あんなる | 「あり」の連体形「ある」が撥音便化した「あん」+伝聞の助動詞「なり」の連体形「なる」。「あるそうな」と訳す。 |
| 見ばや | 動詞「見る」の未然形「見」+願望の終助詞「ばや」。自分の願望。 |
| 上げ給ひて | 「上ぐ」の連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」の連用形。動作主である薬師仏への敬意を表す。 |
| 遊び慣れつる | 「遊び慣る」+完了の助動詞「つ」の連体形。「遊び慣れてきた」と訳す。 |
| 立ち給へる | 「立つ」+尊敬の補助動詞「給ふ」の已然形+存続の助動詞「り」の連体形。「立っていらっしゃる」と訳す。 |
| 見捨て奉る | 「見捨つ」+謙譲の補助動詞「奉る」の連体形。薬師仏への敬意を表し、後に「こと」が省略されている。 |
| 泣かれぬ | 「泣く」+自発の助動詞「る」+完了の助動詞「ぬ」。「自然と泣けてしまった」。 |
更級日記「門出」では、助動詞を意味だけで覚えるより、本文中の気持ちとつなげると強いです。けむ=昔を振り返る、ばや=読みたい願望、れ=自然と泣けるのように、場面とセットで押さえましょう。
助動詞・敬語|問われやすいポイント
| けむ | 過去推量。「〜ただろう」。作者が幼いころの自分を振り返る場面で出る。 |
|---|---|
| なり | 伝聞推定。「〜そうだ」「〜らしい」。本文では「あんなる」の形に注意。 |
| ばや | 自己の願望。「〜したい」。作者自身が物語を見たい・読みたいと願う。 |
| つ | 完了。「〜た」「〜てしまった」。連体形「つる」の形で出やすい。 |
| る | 自発・受身・尊敬・可能があるが、「泣かれぬ」の「れ」は自発。「自然と泣ける」。 |
| り | 存続。「立ち給へる」の「る」は助動詞「り」の連体形で、「立っていらっしゃる」と訳す。 |
| ぬ | 完了。「〜てしまった」。打消の「ず」と混同しない。 |
| 給ふ | 尊敬の補助動詞。「上げ給ひて」「見せ給へ」「立ち給へる」では、動作主である薬師仏への敬意。 |
| 奉る | 謙譲語。薬師仏に対して、作者側の行為をへりくだって表す。 |
「給ふ」は薬師仏の動作を高める尊敬語、「奉る」は作者の動作を低めて対象の薬師仏を高める謙譲語です。どちらも敬意の対象は薬師仏ですが、尊敬語と謙譲語では敬意の表し方が異なります。
定期テストで聞かれやすい問題
| 内容理解 | 姉や継母から物語や光源氏の話を部分的に聞き、物語を自分の思うままに読みたいという気持ちが強まったことを押さえる。 |
|---|---|
| 現代語訳 | 「いかで見ばや」「物語といふもののあんなるを」「人知れずうち泣かれぬ」など。 |
| 心情説明 | 「人知れずうち泣かれぬ」の理由を、長く祈ってきた薬師仏を残して行く悲しみと結びつける。 |
| 品詞分解 | 「あんなる」「見ばや」「遊び慣れつる」「泣かれぬ」などの助動詞・助詞。 |
| 敬語 | 「給ふ」「奉る」が誰への敬意かを確認する。 |
心情だけを想像で広げず、本文中の行動と表現を根拠にします。物語へのあこがれなら姉や継母の話・「いとどゆかしさまされど」・薬師仏への祈り、別れの悲しみなら「見捨て奉る悲しくて」を根拠に答えましょう。
仕上げの20問チェック
上の解説で本文の流れと重要語句を確認できたら、内容理解と文法を10問ずつ解いて定着を確かめましょう。
各10問・全20問更級日記「門出」定期テスト予想問題20問|解答・解説
「東路の道の果て」から「人知れずうち泣かれぬ」までを、内容理解10問と品詞分解・助動詞・敬語10問に分けて確認できます。問題文、選択肢、正解、解説をHTML本文に掲載しています。
内容理解チェック|10問
あらすじ・心情・現代語訳の芯を確認します。
Q1更級日記「門出」の冒頭で、作者が自分の育った場所を説明するときの要点として最も適切なものはどれですか。
- 「東路の道の果て」と呼ばれる京の近郊で育った
- 京都から東国へ向かう道の果てよりも、さらに奥で育った
- 東国で生まれたが、幼いころから京で育った
- 十三歳で京から東国へ下り、「いまたち」で育った
作者は「東路の道の果てよりも、なほ奥つ方」に育ったと語ります。「道の果て」そのものではなく、そこよりもさらに奥である点が重要です。
- 東路:京都から東国へ向かう道
- なほ奥つ方:さらに奥の方
- 成長した作者が、東国で育った少女時代を振り返っています。
Q2作者が物語を強く読みたいと思うようになった流れとして、最も適切なものはどれですか。
- 姉や継母から物語の全編を聞き終え、別の物語を探し始めた
- 薬師仏の前で物語を読んでもらい、自分でも暗唱したくなった
- 姉や継母が物語をところどころ語るのを聞き、全体を思うままに読みたい気持ちが強まった
- 上京が決まった後で初めて物語の存在を知り、すぐに読むことができた
姉や継母は「その物語、かの物語、光源氏のあるやう」などをところどころ語ります。作者は話の一部を聞くほど、物語を自分の思うままに読みたい気持ちを強めます。
- 物語があるそうだと知る。
- 姉や継母から一部分を聞く。
- いとどゆかしさまさる:ますます読みたい気持ちが強くなる。
Q3「いかで見ばや」の現代語訳として、最も自然なものはどれですか。
- どうにかして見たいものだ
- どうして思い出して語ることができようか、いや、できない
- どうして見たのだろうか
- もし見るならば、その内容を語って聞かせたい
「いかで」は「どうにかして」、「ばや」は自己の願望を表します。ここでは、物語をどうにかして見たい・読みたいという願いです。
- いかで:どうにかして
- ばや:自己の願望を表す終助詞
- 「見ば」を仮定条件と取らないように注意します。
Q4作者が薬師仏に祈った内容として、本文に合うものはどれですか。
- 姉や継母が、東国にある物語をすべて暗唱してくれるようにしてほしい
- 自分が東国に残ったまま、物語を書けるようにしてほしい
- 上京の旅が無事に終われば、物語は一冊だけでよい
- 自分を早く京へ上らせ、そこに多くあるそうな物語をある限り見せてほしい
作者は「京にとく上げ給ひて」「物語の多く候ふなる、ある限り見せ給へ」と祈ります。上京することと、京にある物語をできる限り読むことが願いの内容です。
- とく:早く
- 候ふなる:ございますそうな
- ある限り:あるだけ全部
Q5「十三になる年、上らむとて、九月三日門出して、いまたちといふ所に移る」の場面理解として、最も適切なものはどれですか。
- 十三歳になる年、東国へ下るため九月三日に京を出発した
- 十三歳になる年、九月三日に京へ着き、その日から宮中に仕えた
- 十三歳になる年、京へ上るため九月三日に門出をし、「いまたち」へ移った
- 十三年間祈った後、九月三日に薬師仏を京へ移した
作者は十三歳になる年、京へ上るために九月三日に門出をし、「いまたち」という所へ移ります。九月三日に京へ到着した、という意味ではありません。
- 上る:京へ行く
- 九月三日:門出の日
- いまたち:門出して移った所
Q6「わが思ふままに、そらにいかでかおぼえ語らむ」の説明として、最も適切なものはどれですか。
- 作者は物語を読んだことがないため、姉や継母に何も尋ねられなかったということ
- 姉や継母が、何も見ずに作者の望むとおり物語の全体を思い出して語ることはできないということ
- 薬師仏は京の物語を見たことがないため、作者の願いをかなえられないということ
- 作者は光源氏の話をすべて暗記したので、姉や継母の話を必要としなくなったということ
「いかでか〜む」は反語で、「どうして〜できようか、いや、できない」と訳します。姉や継母は、作者が望むままに物語の全体を暗記して語ることはできません。
- そらに:何も見ないで、暗記して
- いかでか〜む:どうして〜できようか、いや、できない
- この物足りなさが「ゆかしさ」を強めます。
Q7作者が「人知れずうち泣かれぬ」となった直接の理由として、本文に最も即しているものはどれですか。
- 人目のないときに参って祈ってきた薬師仏を、置いて行かなければならないことが悲しいから
- 長年遊び慣れた家が壊され、京へ上る計画そのものが中止になったから
- 京には物語が少ないと知り、薬師仏への祈りが無駄になったと思ったから
- 姉や継母が作者と別れて東国に残ることが決まったから
本文は「薬師仏の立ち給へるを、見捨て奉る悲しくて、人知れずうち泣かれぬ」と続きます。直接の理由は、長く祈ってきた薬師仏を残して行く悲しみです。
- 人まには参りつつ:人目のないときには参っては
- 見捨て奉る悲しくて:お見捨て申し上げることが悲しくて
- 心情説明は直前の表現を根拠にします。
Q8「いかに思ひ始めけることにか」の後に補う語句について、最も適切な説明はどれですか。
- 必ず「あるらむ」だけを補い、ほかの形は認められない
- 後ろには何も省略されておらず、「にか」だけで文が完結する
- 完了を表す「ありつる」だけを補う
- 一般には「あらむ」を補い、前後の過去表現から「ありけむ」とする説明もある
「にか」の後には「ある」の未然形「あら」+推量の助動詞「む」を補い、「どうして思い始めたことだろうか」と読むのが一般的です。一方、直前の「ける」など過去を振り返る文脈から「ありけむ」を補う説明もあります。定期テストでは学校の授業・教科書の説明を優先しましょう。
- いかに:どうして、どのように
- ことにか:ことであったのか
- あらむ/ありけむの説明差があるため、授業で用いた形を確認します。
Q9「人知れずうち泣かれぬ」の現代語訳として、最も適切なものはどれですか。
- 人々は、作者が泣いたことを知らなかった
- 人に知られないようにしたので、涙を流さなかった
- 人に知られないで、自然と泣けてしまった
- 誰にも理由を知らせず、周囲の人を泣かせた
「人知れず」は「人に知られないで」、「れ」は自発、「ぬ」は完了です。したがって「人に知られないで、自然と泣けてしまった」と訳します。
- 人知れず:人に知られないで、ひそかに
- れ:自発
- ぬ:完了
Q10更級日記「門出」全体の読みとして、最も適切なものはどれですか。
- 京で物語を読み尽くした作者が、東国へ戻る旅を記した場面
- 東国で物語へのあこがれを募らせた作者が薬師仏に上京を祈り、門出でその仏を残す悲しみに涙する場面
- 「源氏の五十余巻」を手に入れた作者が、物語に熱中する生活を振り返る場面
- 仏道に目覚めた作者が、物語への関心を捨てて東国に残ることを決める場面
この範囲では、東国で育った作者の物語へのあこがれ、薬師仏への祈り、十三歳の年の門出、薬師仏を残して行く悲しみが描かれます。「源氏の五十余巻」は別の教材範囲です。
- 東国で育った少女時代を回想する。
- 物語へのあこがれから薬師仏に祈る。
- 上京の門出で、薬師仏との別れを悲しむ。
品詞分解・助動詞チェック|10問
助動詞・敬語・古語の意味を確認します。
Q1「いかばかりかはあやしかりけむ」の「けむ」の意味と活用形の組み合わせとして、最も適切なものはどれですか。
- 現在推量・終止形
- 過去原因推量・終止形
- 過去推量・終止形
- 過去推量・連体形
「けむ」は過去推量で、係助詞「かは」の結びとなるため連体形です。形は終止形と同じ「けむ」ですが、文中での活用形は連体形と判断します。
- あやしかり:形容詞「あやし」の連用形
- けむ:過去推量の助動詞
- かはの結び:連体形
Q2「物語といふもののあんなるを」の「あんなる」の説明として、最も適切なものはどれですか。
- ラ変動詞「あり」の連体形「ある」が撥音便化した「あん」+伝聞推定の助動詞「なり」の連体形「なる」
- ラ変動詞「あり」の未然形「あら」+打消の助動詞「ず」+断定の助動詞「なり」
- ラ変動詞「あり」の終止形「あり」+断定の助動詞「なり」の連体形「なる」
- 形容動詞「あんなり」の連体形で、一語として「明らかである」の意
「あんなる」は、「あり」の連体形「ある」の撥音便「あん」+伝聞推定の助動詞「なり」の連体形「なる」です。「物語というものがあるそうなのを」と訳します。
- ある → あん:撥音便
- なる:伝聞推定「なり」の連体形
- 訳は「あるそうな」「あるそうなのを」。
Q3「いかで見ばや」の「ばや」の品詞と意味の組み合わせとして、最も適切なものはどれですか。
- 接続助詞・仮定条件
- 係助詞・疑問
- 終助詞・自己の願望
- 終助詞・他者に対する希望
「ばや」は自己の願望を表す終助詞です。「見ばや」は「見たい・読みたい」の意で、「見ば」を仮定条件と分けて考えます。
- 接続:未然形
- 意味:自分が〜したい
- いかで見ばや:どうにかして見たい。
Q4「京にとく上げ給ひて」の「給ふ」の敬語の種類と敬意の向きとして、最も適切なものはどれですか。
- 謙譲の補助動詞で、動作主である作者を低める
- 尊敬の補助動詞で、作者から動作主である薬師仏への敬意を表す
- 丁寧の補助動詞で、作者から読者への敬意を表す
- 尊敬の補助動詞で、薬師仏から作者への敬意を表す
「給ひ」は尊敬の補助動詞「給ふ」の連用形です。「(薬師仏が私を)京へ上らせてくださって」と、作者から動作主である薬師仏への敬意を表します。
- 敬語の種類:尊敬語
- 敬意を表す者:作者
- 敬意の対象:薬師仏
Q5「年ごろ遊び慣れつる所」の「つる」の説明として、最も適切なものはどれですか。
- 存続の助動詞「たり」の連体形
- 完了の助動詞「ぬ」の連体形
- 完了の助動詞「つ」の終止形
- 完了の助動詞「つ」の連体形
「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形です。「遊び慣れてきた所」「長年遊び慣れた場所」と訳すと自然です。
- 遊び慣れ:ラ行下二段活用「遊び慣る」の連用形
- つる:完了「つ」の連体形
- 後ろの名詞「所」を修飾します。
Q6「見捨て奉る」の「奉る」の敬語の種類と敬意の対象として、最も適切なものはどれですか。
- 謙譲の補助動詞・連体形で、行為の受け手である薬師仏への敬意を表す
- 尊敬の本動詞・終止形で、見捨てる作者を高める
- 謙譲の本動詞・連体形で、薬師仏に物を差し上げるという意味
- 丁寧の補助動詞・終止形で、作者から読者への敬意を表す
「奉る」は謙譲の補助動詞で、ここでは連体形です。作者側の「見捨てる」という行為を低め、行為の受け手である薬師仏への敬意を表します。後ろには形式名詞「こと」が省略されています。
- 動作主:作者
- 行為の受け手:薬師仏
- 見捨て奉る(こと)悲しくてと補います。
Q7「人知れずうち泣かれぬ」の「れ」の文法的説明として、最も適切なものはどれですか。
- 受身の助動詞「る」の連用形
- 自発の助動詞「る」の連用形
- 可能の助動詞「らる」の終止形
- 存続の助動詞「り」の連体形
「泣かれぬ」の「れ」は自発です。「自然と泣けてしまった」と訳します。悲しみで涙が出てしまう心情表現として読みます。
- うち泣か:四段活用動詞の未然形
- れ:助動詞「る」の連用形
- 心情に関わる動詞に付くため、ここでは自発です。
Q8「人知れずうち泣かれぬ」の「ぬ」の文法的説明として、最も適切なものはどれですか。
- 打消の助動詞「ず」の連体形
- 完了の助動詞「ぬ」の連体形
- 完了の助動詞「ぬ」の終止形
- 強意の助動詞「ぬ」の連体形
ここでの「ぬ」は完了の助動詞です。「泣かれぬ」は「自然と泣けてしまった」と訳します。打消の「ず」の連体形「ぬ」と混同しないようにします。
- 泣かれ:助動詞「る」の連用形
- 連用形接続のぬ:完了
- 文末にあるため終止形です。
Q9「生ひ出でたる」の「たる」の説明として、最も適切なものはどれですか。
- 断定の助動詞「たり」の連体形
- 完了の助動詞「たり」の終止形
- 存続の助動詞「たり」の已然形
- 完了の助動詞「たり」の連体形
「たる」は、動詞「生ひ出づ」の連用形に接続する完了の助動詞「たり」の連体形です。後ろの「人」を修飾し、「育った人」と訳します。
- 生ひ出で:ダ行下二段活用「生ひ出づ」の連用形
- たる:完了「たり」の連体形
- 人を修飾します。
Q10「薬師仏の立ち給へるを」の「立ち給へる」の品詞分解として、最も適切なものはどれですか。
- 「立つ」の連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」の已然形+存続の助動詞「り」の連体形
- 「立つ」の連用形+尊敬の補助動詞「給ふ」の命令形+自発の助動詞「る」の終止形
- 「立つ」の連用形+完了の助動詞「つ」+尊敬の助動詞「らる」の連体形
- 「立つ」の連体形+謙譲の補助動詞「給ふ」+完了の助動詞「り」の終止形
「立ち」は動詞「立つ」の連用形、「給へ」は尊敬の補助動詞「給ふ」の已然形、「る」は存続の助動詞「り」の連体形です。「薬師仏が立っていらっしゃるのを」と訳します。
- 給へ:四段活用「給ふ」の已然形
- サ変未然形・四段已然形に付くり
- る:存続「り」の連体形
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