男、女を連れ出す
男は長年思い続けた女を、ようやく連れ出します。
テストポイント:「え〜まじ」は不可能。「手に入れられそうにない女」という状況を押さえます。
伊勢物語の頻出章段を、スマホでまとめて確認できます。4コマ風あらすじで流れをつかみ、原文・現代語訳の対訳で本文を読み、助動詞・和歌・古文常識・主語補いなど、定期テストで問われやすいポイントまで整理します。
「芥川」は、男が思い続けた女を連れ出す場面から始まる、短いけれど展開の強い章段です。女の「白玉か何ぞ」、嵐の夜、鬼が女を食ったという不思議な結末まで、内容理解と和歌の意味がよく問われます。
男は長年思い続けた女を、ようやく連れ出します。
テストポイント:「え〜まじ」は不可能。「手に入れられそうにない女」という状況を押さえます。
女は草の上の露を見て、「白玉か何ぞ」と男に尋ねます。
テストポイント:「白玉」は真珠のような美しいもの。女の貴族らしさ・世間知らずさも読み取れます。
男は女を建物の奥に入れ、自分は外で見張ります。
テストポイント:主語が省略されるので、「男が」「女を」と補いながら読むことが大切です。
夜が明けると女は消えています。物語では「鬼が食った」と語られます。
テストポイント:最後に現実的な事情が説明されます。「鬼」とは何を表しているのかが問われやすいです。
原文昔、男ありけり。女のえ得まじかりけるを、年を経てよばひわたりけるを、からうじて盗み出でて、いと暗きに来けり。
現代語訳昔、男がいた。女で、男が手に入れることができそうになかった女を、長年求婚し続けてきたが、ようやく連れ出して、たいそう暗い中をやって来た。
テストポイント「女の」の「の」は同格の格助詞で、「女で、〜女を」と訳す。「え〜まじ」は不可能、「よばふ」は求婚する。
原文芥川といふ川を率て行きければ、草の上に置きたりける露を、「かれは何ぞ」となむ男に問ひける。
現代語訳芥川という川のそばを、女を連れて行くと、草の上に置いていた露を見て、女は「あれは何ですか」と男に尋ねた。
テストポイント「率て」は「連れて」。女は屋敷の外の自然をあまり知らない高貴な女性として描かれる。
原文行く先多く、夜も更けにければ、鬼ある所とも知らで、神さへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ、あばらなる蔵に女をば奥に押し入れて、男、弓・胡籙を負ひて戸口にをり。
現代語訳まだ行く先は遠く、夜も更けてしまったので、鬼のいる場所とも知らず、雷までひどく鳴り、雨も激しく降ったため、荒れた蔵に女を奥へ押し入れて、男は弓と矢を背負って戸口にいた。
テストポイント「神」は雷のこと。「あばらなる」は荒れ果てた様子。男は女を守ろうとしているが、状況はかなり不穏。
原文はや夜も明けなむと思ひつつ居たりけるに、鬼はや一口に食ひてけり。「あなや」と言ひけれど、神鳴る騒ぎにえ聞かざりけり。
現代語訳男が「早く夜が明けてほしい」と思いながら座っているうちに、鬼はすでに女を一口で食べてしまった。女は「ああっ」と言ったが、雷の鳴る騒ぎで男は聞くことができなかった。
テストポイント「なむ」は願望。「え聞かざりけり」は不可能。「鬼が食った」は幻想的表現だが、後で現実的な事情が説明される。
原文やうやう夜も明けゆくに、見れば、率て来し女もなし。足ずりをして泣けどもかひなし。
現代語訳しだいに夜が明けていくころ、見ると、連れて来た女はいない。男は地団駄を踏んで泣いたが、どうしようもなかった。
テストポイント「かひなし」は「どうしようもない、効果がない」。男の後悔と絶望が出る場面。
原文白玉か何ぞと人の問ひし時露と答へて消えなましものを
現代語訳あれは白玉なのですか、何なのですかとあの人が尋ねた時に、露だと答えて、私もその露のように消えてしまえばよかったのに。
テストポイント「白玉」と「露」の対比が重要。「消えなましものを」は反実仮想の気持ち。男の後悔を表す和歌として読む。
原文これは、二条の后の、いとこの女御の御もとに、仕うまつるやうにてゐ給へりけるを、かたちのいとめでたくおはしければ、盗みて負ひて出でたりけるを、御兄、堀河の大臣、太郎国経の大納言、まだ下臈にて内裏へ参り給ふに、いみじう泣く人あるを聞きつけて、とどめて取り返し給うてけり。それを、かく鬼とは言ふなりけり。
現代語訳これは、二条の后が、いとこの女御のもとに、お仕えするような形でいらっしゃったころ、容貌がたいそう美しかったので、男が盗んで背負って連れ出したところ、女の兄たちが宮中へ参上する途中で、ひどく泣いている人がいるのを聞きつけ、男を止めて女を取り返した、ということだった。それを、このように「鬼」と言ったのである。
テストポイント「仕うまつるやうにてゐ給へりける」の主語は二条の后。「仕うまつる」はいとこの女御に対する謙譲語、「給ふ」は二条の后に対する尊敬語。最後に現実の説明が入り、「鬼」は女を取り返した兄たちを表す。
「初冠」は、男が元服して大人になり、美しい姉妹を垣間見て和歌を贈る話です。平安貴族の恋愛の始まり方、垣間見、和歌を贈る意味など、古文常識がとても重要です。
男は初冠、つまり元服して大人の仲間入りをします。
テストポイント:「初冠」は成人儀礼。ここから恋の物語が始まる。
男は春日の里で、美しい姉妹を垣間見ます。
テストポイント:「垣間見る」は古文の恋愛のきっかけとして重要。
思いがけず美しい女性たちを見て、男は落ち着かなくなります。
テストポイント:「心地惑ふ」は心が乱れること。恋の始まりの表現。
男は着ていた狩衣の裾を切り、そこに歌を書いて贈ります。
テストポイント:平安貴族の恋は、和歌を贈ることで始まることが多い。
原文昔、男、初冠して、奈良の京、春日の里に、しるよしして、狩りに往にけり。
現代語訳昔、ある男が元服して、奈良の京の春日の里に、領地を持っている縁で、狩りに出かけた。
テストポイント「初冠」は元服。男が大人になった直後の出来事として読む。「往にけり」は「行った」。
原文その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。この男、垣間見てけり。
現代語訳その里に、とても若々しく美しい姉妹が住んでいた。この男は、その姉妹を物のすき間からのぞき見た。
テストポイント「はらから」は兄弟姉妹。「垣間見る」は平安物語で恋が始まる典型的な行動。
原文思ほえずふる里にいとはしたなくてありければ、心地惑ひにけり。
現代語訳思いがけず、古びた都でたいそう不釣り合いなほど美しく見えたので、男は心が乱れてしまった。
テストポイント「思ほえず」は思いがけず。「はしたなし」は場に合わない、きまりが悪いなど文脈で訳す。
原文男の着たりける狩衣の裾を切りて、歌を書きてやる。その男、しのぶずりの狩衣をなむ着たりける。
現代語訳男は着ていた狩衣の裾を切って、そこに歌を書いて贈った。その男は、しのぶずりの狩衣を着ていたのだった。
テストポイント「なむ〜ける」は係り結び。しのぶずりは、和歌の「しのぶ」と関係する。
原文春日野の若紫のすりごろもしのぶの乱れ限り知られず
現代語訳春日野の若紫で染めたすり衣の模様のように、私の忍ぶ恋の乱れは限りがありません。
テストポイント「若紫」「すりごろも」「しのぶ」がつながる。恋心の乱れを衣の模様に重ねている。
原文となむ、追ひつきて言ひやりける。ついでおもしろきことともや思ひけむ。
現代語訳と、すぐに歌を詠んで贈った。事の成り行きを趣深いことと思ったのだろうか。
テストポイント「追ひつきて」は「すぐに」。「ついで」は事の成り行き。「けむ」は過去推量。
原文陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに
といふ歌の心ばへなり。
現代語訳陸奥のしのぶもぢずりの乱れ模様のように、あなた以外の誰のために私の心が乱れ始めたというのでしょう。私のせいではないのに、という歌の趣意を取り入れたものである。
テストポイント「陸奥の〜」は『古今和歌集』所収の源融の歌。「春日野の〜」の歌は、この古歌の趣意を取り入れている。
原文昔人は、かくいちはやきみやびをなむしける。
現代語訳昔の人は、このように情熱をこめた風雅なふるまいをしたものだった。
テストポイント「いちはやきみやび」は「情熱をこめた風雅なふるまい」。ここでは、男が狩衣の裾を切り、すぐに歌を書いて贈った行動を指す。
「東下り」は、男が都を離れて東国へ旅する章段です。八橋の「かきつばた」の折句、宇津の山、隅田川の都鳥など、旅の場面ごとに和歌が出てきます。和歌と前後の状況を結びつけて読むことが重要です。
男は都にいづらくなり、東国へ行くことにします。
テストポイント:「京にはあらじ」は、都にはいまいという決意。
三河国の八橋で、かきつばたが美しく咲いています。
テストポイント:「かきつばた」の五文字を句の頭に置く折句が重要。
男が都に残した妻を思う歌を詠むと、皆が泣きます。
テストポイント:和歌はただの技巧ではなく、都への思いを表す。
隅田川で都鳥を見て、都にいる人の安否を問いかけます。
テストポイント:「名にし負はば」は、名前にふさわしいなら、という意味。
原文昔、男ありけり。その男、身をえうなきものに思ひなして、京にはあらじ、東の方に住むべき国求めにとて行きけり。
現代語訳昔、ある男がいた。その男は、自分を役に立たない者だと思い込んで、都にはいるまい、東の方に住むのにふさわしい国を探そうと思って出かけた。
テストポイント「えうなき」は役に立たない。「京にはあらじ」の「じ」は打消意志。
原文三河の国八橋といふ所に至りぬ。そこを八橋といひけるは、水ゆく河の蜘蛛手なれば、橋を八つ渡せるによりてなむ八橋といひける。
現代語訳三河国の八橋という所に着いた。そこを八橋というのは、水の流れる川が蜘蛛の手のように分かれていて、橋を八つ渡していることによって八橋と言ったのである。
テストポイント地名の由来説明。「なむ〜ける」は係り結び。
原文その沢にかきつばたいとおもしろく咲きたり。それを見て、ある人のいはく、「かきつばたといふ五文字を句の上にすゑて、旅の心を詠め」と言ひければ、詠める。
現代語訳その沢に、かきつばたがたいそう美しく咲いていた。それを見て、ある人が「かきつばたという五文字を、それぞれの句の頭に置いて、旅の心を詠みなさい」と言ったので、男は歌を詠んだ。
テストポイント「句の上にすゑて」は各句の頭に置くこと。折句の説明として超重要。
原文から衣きつつなれにしつましあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ
現代語訳着慣れた唐衣のように、長く慣れ親しんだ妻が都にいるので、はるばる来てしまったこの旅のことがしみじみと思われる。
テストポイント「か・き・つ・ば・た」が各句の頭に入る折句。「から衣」「きつつ」「なれ」「つま」は衣の縁語としても押さえる。
原文皆人、かれいひの上に涙落としてほとびにけり。
現代語訳その歌を聞いて、皆は乾飯の上に涙を落とし、乾飯はふやけてしまった。
テストポイント「かれいひ」は乾飯。「ほとぶ」は水分を含んでふやける。皆が泣いた理由は、都に残した人を思い出したから。
原文名にし負はばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと
現代語訳都という名を持っているのなら、さあ尋ねよう、都鳥よ。私の思う人は、無事でいるのか、いないのかと。
テストポイント「名にし負はば」は名前にふさわしいなら。「言問はむ」は尋ねよう。都鳥に都の人への思いを託している。
「筒井筒」は、幼なじみの男女が成長して結ばれる話です。前半は幼なじみの恋、後半は男が別の女のもとへ通うようになった後の妻の和歌が中心です。男女の心理変化を追うことが大切です。
男女は子どものころ、井戸のそばで一緒に遊んでいました。
テストポイント:「筒井筒」は井戸の囲い。幼なじみの象徴。
大人になると、二人は恥ずかしがるようになりますが、お互いを思い続けます。
テストポイント:幼い関係から恋愛関係へ変わる時間の流れを押さえる。
結婚後、男は河内の女のところへ通うようになります。
テストポイント:当時の通い婚の感覚を理解すると読みやすい。
妻が男を心配する歌を詠み、男はその心の深さに打たれます。
テストポイント:和歌が心理変化の決め手になる。妻の気持ちを読む問題が出やすい。
原文昔、田舎わたらひしける人の子ども、井のもとに出でて遊びけるを、おとなになりにければ、男も女も恥ぢかはしてありけれど、男はこの女をこそ得めと思ふ。女はこの男をと思ひつつ、親のあはすれども聞かでなむありける。
現代語訳昔、田舎を行き来して暮らしていた人の子どもたちが、井戸のそばに出て遊んでいたが、大人になると、男も女も互いに恥ずかしがるようになった。しかし男はこの女を妻にしたいと思い、女もこの男をと思い続け、親が別の相手と結婚させようとしても聞き入れなかった。
テストポイント「こそ得め」は強い意志。「聞かで」は聞き入れないで。二人が互いに思い合っていることを押さえる。
原文筒井づつの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに
現代語訳筒井筒の井戸の囲いと比べていた私の背丈は、あなたに会わない間に、もうその高さを越えてしまったらしいよ。
テストポイント男の歌。幼いころの思い出と成長を重ねている。「けらし」は過去の助動詞「けり」+推定の「らし」。
原文比べ来し振り分け髪も肩過ぎぬ君ならずして誰か上ぐべき
現代語訳あなたと比べてきた私の振り分け髪も、肩を過ぎるほど長くなりました。あなた以外の誰が、私の髪を上げる相手でしょうか。
テストポイント女の返歌。「髪を上ぐ」は結婚・成人と関わる表現。反語「誰か上ぐべき」に注意。
原文さて、年ごろ経るほどに、女、親なく、頼りなくなるままに、もろともに言ふかひなくてあらむやはとて、河内の国高安の郡に、行き通ふ所できにけり。
現代語訳そうして何年も過ぎるうちに、女は親を亡くし、頼るものがなくなっていったので、男は、このまま一緒にどうしようもない状態でいられようか、いや、いられないと思って、河内国高安郡に通う女ができてしまった。
テストポイント「あらむやは」の「やは」は反語でテスト頻出。「いられようか、いや、いられない」と読む。「行き通ふ」は通っていくこと。通い婚の古文常識も確認。
原文風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとり越ゆらむ
現代語訳風が吹くと沖の白波が立つ、その「たつ」と同じ名の竜田山を、夜中にあなたは一人で越えているのでしょうか。
テストポイント妻の歌。浮気を責めるのではなく、夜道を行く夫を心配している。男が心を打たれる理由がここにある。
原文と詠みけるを聞きて、限りなくかなしと思ひて、河内へも行かずなりにけり。
現代語訳この歌を詠むのを聞いて、男はこの上なくいとおしいと思い、河内の女のもとへも行かなくなった。
テストポイント男の心情変化が最重要。「かなし」は現代語の悲しいだけでなく、いとしい・かわいいの意味にもなる。
章段ごとに、内容理解・重要語句・助動詞・和歌・古文常識を確認できるチェック問題を出します。
伊勢物語は、ただ現代語訳を覚えるだけでは点数につながりにくい作品です。和歌がなぜその場面で詠まれたのか、誰の気持ちを表しているのか、主語が誰なのかを押さえることで、内容理解と文法問題の両方に対応しやすくなります。
LOGIQA(ロジカ)では、古文・漢文・英語・数学・理科・社会など、スマホで確認できる学習ツールを増やしています。定期テスト前の確認にも、総合型選抜・推薦入試に向けた基礎整理にも使えるように、わかりやすさと解説の丁寧さを大切にしています。