項王自刎(項王の最期)の現代語訳・書き下し文・テスト対策

高校漢文 · 史記 · 項羽本紀

項王自刎

現代語訳・書き下し文・定期テスト対策

「項王自刎」は「こうおうじふん」と読みます。『史記』項羽本紀に描かれた、項羽が烏江を渡らずに最期を迎える場面です。なぜ逃げ道を選ばなかったのかを、原文・書き下し文・現代語訳を照らし合わせて読み、反語や心情説明の問題で確かめましょう。

原文と訳を見比べる記述問題・解答例20問チェック
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項王自刎のあらすじと登場人物

  1. 四面楚歌の場面の後、項羽は包囲を突破して南へ逃れ、追撃を受けながら烏江にたどり着きます。このページの本文は、東へ渡ろうとするところから始まります。
  2. 烏江亭長は船を用意し、江東には王として立ち直れる土地と人々がいるから、急いで渡るよう勧めます。
  3. 項羽は敗北を天命と捉え、さらに江東から連れ出した八千人を帰せなかったことを語ります。父兄に合わせる顔がなく、自分の心にも恥じるため、渡江を拒みます。
  4. 亭長に愛馬を譲った項羽は、兵士とともに馬を下りて戦います。負傷後、旧知の呂馬童を見つけ、自分の首に懸かった賞を与えるつもりで「吾為若徳」と告げ、自刎します。

登場人物・重要な名前

項王・項羽・籍(せき)

同一人物です。項は姓、籍は名、羽は字。「籍」は発言の中で自分を名で指しています。劉邦と争った楚の指導者で、この場面では追撃を受けています。

烏江亭長(うこうていちょう)

烏江の亭を管理する役人。船を用意して項羽の渡江を勧め、のちに馬を託されます。「長者」は、ここでは人柄が立派で信頼できる人という意味です。

江東の父兄・子弟

江東の子弟は項羽とともに出征した若者たち。父兄はその故郷の父や兄たちを指し、項羽が面目や恥を意識する相手です。

呂馬童(りょばどう)

漢の騎兵を率いる武官で、項羽の昔なじみ。項羽から「若非吾故人乎」と呼びかけられます。「故人」は亡くなった人という意味ではありません。

王翳(おうえい)

漢軍側の人物。呂馬童から、目の前の人物が項王であることを示されます。このページの範囲の直後には、項王の首を取ったことが記されています。

項王自刎の原文・書き下し文・現代語訳

このページでは『史記』巻七・項羽本紀の「於是項王乃欲東渡烏江」から「乃自刎而死」までを扱います。「項王の最期」「項羽の最期」など、教科書によって題名や収録範囲、字形・句読点・訓読が異なります。原文は公開原典を確認し、一部の旧字体を通行の字体に改めています。書き下し文・現代語訳は学習用に作成したものです。定期テストでは学校で指定された本文・訓読も確認してください。

01烏江亭長が再起を勧める

原文

於是項王乃欲東渡烏江。烏江亭長艤船待、謂項王曰、『江東雖小、地方千里、衆数十万人、亦足王也。』

書き下し文

是に於いて項王乃ち東のかた烏江を渡らんと欲す。烏江の亭長、船を艤して待ち、項王に謂ひて曰はく、『江東小なりと雖も、地は方千里、衆は数十万人、亦た王たるに足るなり。』と。

現代語訳

そこで項王は、東へ向かって烏江を渡ろうとした。烏江の亭長は船を岸につけて待ち、項王にこう言った。「江東は小さいとはいえ、土地は千里四方あり、人々は数十万人おります。王として立つには十分です。」

読み方のポイント:「艤(ぎ)す」は船を岸につけて用意すること。原典には「檥」の字も使われます。「地方」は現代語の一語ではなく「地は方千里」と切ります。「王」は動詞的に用いられ、王となる・王として治めるという意味です。

02今なら漢軍を振り切れる

原文

『願大王急渡。今独臣有船、漢軍至、無以渡。』

書き下し文

『願はくは大王急ぎ渡れ。今独り臣のみ船有り、漢軍至るも、以て渡る無し。』と。

現代語訳

「どうか大王、急いでお渡りください。今、船を持っているのは私だけです。漢軍がやって来ても、渡る手立てはありません。」

読み方のポイント:「臣」は亭長がへりくだって自分を指す語です。「無以〜」は「〜する手段がない」。亭長は、江東で再起できる条件だけでなく、漢軍がすぐには追って渡れないことも説いています。

03天命と、帰らぬ八千人

原文

項王笑曰、『天之亡我、我何渡為。且籍与江東子弟八千人渡江而西、今無一人還。』

書き下し文

項王笑ひて曰はく、『天の我を亡ぼすに、我何ぞ渡るを為さん。且つ籍、江東の子弟八千人と江を渡りて西せしも、今一人の還る無し。』と。

現代語訳

項王は笑って言った。「天が私を滅ぼそうとしているのに、どうして川を渡る必要があろうか。しかも、この私は江東の若者八千人と川を渡って西へ向かったが、今、帰る者は一人もいない。」

読み方のポイント:「何〜為」は反語で、渡る必要を否定します。「天之亡我」は項羽自身の説明であり、作者が敗因を天命と認定した文章ではありません。「笑」も、単に楽しい・余裕があると決めつけず、発言全体から読みます。

04父兄への面目と、自分の心の恥

原文

『縦江東父兄憐而王我、我何面目見之。縦彼不言、籍独不愧於心乎。』

書き下し文

『縦ひ江東の父兄憐れみて我を王とするも、我何の面目ありてか之に見えん。縦ひ彼言はずとも、籍独り心に愧ぢざらんや。』と。

現代語訳

「たとえ江東の父や兄たちが私を気の毒に思い、再び王にしてくれるとしても、私はどの面を下げて彼らに会えるだろうか。たとえ彼らが何も言わなくても、この私が心に恥じずにいられるだろうか。いや、恥じずにはいられない。」

読み方のポイント:「縦」は「たとひ」、「独り」は、ここでは反語を強める働きとして捉えます。ここは「私だけは恥じない」という意味ではありません。「之」「彼」はともに江東の父兄。前半は他者に会う面目、後半は他者に責められなくても残る内心の恥を述べています。

05愛馬を亭長に託す

原文

乃謂亭長曰、『吾知公長者。吾騎此馬五歳、所当無敵、嘗一日行千里、不忍殺之、以賜公。』

書き下し文

乃ち亭長に謂ひて曰はく、『吾、公の長者たるを知る。吾此の馬に騎ること五歳、当たる所敵無し。嘗て一日に千里を行けり。之を殺すに忍びず、以て公に賜ふ。』と。

現代語訳

そこで亭長に言った。「私は、あなたが立派な人だと分かっている。私はこの馬に五年乗り、向かうところに敵はなかった。かつては一日に千里を走ったこともある。この馬を殺すには忍びないので、あなたに与えよう。」

読み方のポイント:「五歳」はここでは五年間。「公」は相手への敬称で、亭長を指します。「之」は馬です。自分は渡らないと決めながら、馬は生かそうとする態度が描かれます。この範囲では馬名は出ませんが、前段に愛馬「騅(すい)」が登場します。

06馬を下りて最後の戦いへ

原文

乃令騎皆下馬歩行、持短兵接戦。独籍所殺漢軍数百人。項王身亦被十余創。

書き下し文

乃ち騎をして皆馬より下りて歩行し、短兵を持ちて接戦せしむ。独り籍の殺す所の漢軍数百人。項王の身も亦た十余創を被る。

現代語訳

そこで騎兵たちに、みな馬から下りて徒歩で進み、短い武器を持って接近して戦うよう命じた。項羽一人が討ち取った漢の兵だけでも数百人にのぼった。項王自身も十か所余りの傷を負った。

読み方のポイント:「令〜」は使役。「騎」はここでは馬に乗る兵士です。「短兵」は刀剣など接近戦に使う短い武器で、少数の兵士という意味ではありません。「被」は「こうむる」、「創」は傷のことです。

07敵軍に昔なじみを見つける

原文

顧見漢騎司馬呂馬童、曰、『若非吾故人乎。』馬童面之、指王翳曰、『此項王也。』

書き下し文

顧みて漢の騎司馬呂馬童を見て、曰はく、『若は吾が故人に非ずや。』と。馬童之に面し、王翳に指して曰はく、『此れ項王なり。』と。

現代語訳

振り返ると、漢の騎司馬である呂馬童が目に入ったので、「お前は私の昔なじみではないか」と言った。馬童は項王から顔をそむけ、王翳に項王を指し示して、「この人が項王だ」と言った。

読み方のポイント:「若」は二人称で「なんぢ」。「故人」は昔からの知り合い。「面之」は、古い注釈に基づき「顔をそむける」とする読みを採用しています。顔を向けると解する説もあるため、学校の注を確認しましょう。「指王翳」は王翳を指さすのではなく、王翳に項王を指し示すことです。

08「吾為若徳」と告げ、自刎する

原文

項王乃曰、『吾聞漢購我頭千金、邑万戸、吾為若徳。』乃自刎而死。

書き下し文

項王乃ち曰はく、『吾聞く、漢我が頭を千金、邑万戸に購ふと。吾若が為に徳せん。』と。乃ち自刎して死す。

現代語訳

項王はそこで言った。「聞くところによると、漢は私の首に千金と一万戸の領地という賞を懸けているそうだ。お前のために恩恵を施してやろう。」そうして自ら首を切って命を絶った。

読み方のポイント:「購」は賞金・賞品を示して求めること。「千金」は当時の貨幣・重量に関わる表現で、現代の千円ではありません。「邑万戸」は一万戸を含む領地。「為若」は「若が為に」、「徳」は恩恵を施すという動詞です。自分の首を功績として賞を得られるようにする、という意図を読み取ります。

テスト前に確認したい句形・語句

江東雖小

読み:江東小なりと雖も

江東は小さいとはいえ

「雖〜」は逆接。小さくても、続く土地と人口の条件から再起は可能だと亭長は説きます。

地方千里

読み:地は方千里

土地は千里四方である

「地方」で一語と捉えず、「地/方千里」に分けます。本文の「里」を現代日本の里と同じ距離として計算しないようにしましょう。

無以渡

読み:以て渡る無し

渡る手段がない

「無以+動詞」は、その行為の手段がないこと。「以て」の後ろには手段としての船が意識されています。主語は追って来る漢軍です。

天之亡我

読み:天の我を亡ぼすに

天が私を滅ぼそうとしているのに

「之」はここでは主語と述語を結びます。「之=これ」と置き換えません。天が主語、我が目的語です。

我何渡為

読み:我何ぞ渡るを為さん

どうして渡る必要があろうか、いやない

「何〜為」の反語。「為」は反語の語気を添えます。場所を尋ねる疑問文ではありません。

縦江東父兄憐而王我

読み:縦ひ江東の父兄憐れみて我を王とするも

たとえ江東の父兄が憐れんで私を王にしてくれても

「縦〜」は譲歩の仮定。「王我」の「王」は名詞を動詞的に用いたもので、私を王にするという意味です。

我何面目見之

読み:我何の面目ありてか之に見えん

どの面を下げて彼らに会えようか、いや会えない

疑問の形で、合わせる顔がないと述べる反語。「之」は江東の父兄を指します。

籍独不愧於心乎

読み:籍独り心に愧ぢざらんや

私が心に恥じずにいられようか、いやいられない

「独り」は反語を強める働きとして捉え、文全体で「どうして心に恥じずにいられようか」と読み取ります。否定の「不」を含むため、結果として「心に恥じる」を強く肯定します。「私だけは恥じない」という意味ではありません。

不忍殺之

読み:之を殺すに忍びず

この馬を殺すには忍びない

「忍」は我慢する・耐える。「之」の指示内容は直前の「此馬」です。人を指すと決めつけないこと。

令騎皆下馬歩行

読み:騎をして皆馬より下りて歩行せしむ

騎兵たちをみな下馬させ、徒歩で進ませる

「令+人+動作」は「人をして〜せしむ」という使役の形。命令する側は項王、命令される側は騎兵です。

若非吾故人乎

読み:若は吾が故人に非ずや

お前は私の昔なじみではないか

「若」は「なんぢ」と読み、呂馬童を指します。「若し〜」という仮定ではなく、相手を指す代名詞です。

吾為若徳

読み:吾若が為に徳せん

私はお前のために恩恵を施そう

語順は「吾/為若/徳」。誰のために何をするのかを区切ると読めます。恩恵の具体的内容は、自分の首を取った功績として賞を得られるようにすることです。

項王自刎の記述問題・解答例

まず自分の言葉で答え、本文のどこを根拠にしたかを確認してから解答例を開きましょう。

問1. 烏江亭長が項王に渡江を勧めた理由を、江東の状況と追って来る漢軍の状況の両方に触れて説明しなさい。

解答例と説明を見る

解答例

江東には王として再起するのに十分な土地と人々があり、船を持つのは亭長だけなので、漢軍が来てもすぐには追って渡れないと考えたため。

答えるときの注意

「地方千里、衆数十万人」と「独臣有船、漢軍至、無以渡」の二か所を根拠にします。「逃げられるから」だけでは、再起の条件が抜けます。

問2. 項王が烏江を渡らない理由を、本人の言葉に即して説明しなさい。

解答例と説明を見る

解答例

自分の滅亡を天命と考えて渡っても意味がないと思い、さらに江東の子弟八千人を一人も帰せず、父兄に合わせる顔がなく、自分の心にも恥じると考えたため。

答えるときの注意

天命の考えと、父兄への面目・自分の心の恥を区別して述べます。「責任を取るため」「勇敢だから」とだけ答えると、本文の複数の理由を捉えきれません。

問3. 「我何面目見之」と「籍独不愧於心乎」では、項王の恥の意識がどのように深められていますか。

解答例と説明を見る

解答例

前者では江東の父兄に会う面目がないと述べ、後者では父兄が自分を責めなくても、自分の心の中には恥が残ると述べている。

答えるときの注意

「他者との関係」から「自分の内心」へ説明が進むことを捉えます。「彼不言」を根拠に、恥が他人の非難だけで生まれるわけではないと説明しましょう。

問4. 項王が亭長に馬を与える理由を、本文に即して説明しなさい。

解答例と説明を見る

解答例

長年ともに戦ってきた馬を殺すには忍びず、亭長を立派で信頼できる人物だと認め、馬を託そうとしたため。

答えるときの注意

「吾知公長者」と「不忍殺之」の両方を使います。亭長に江東再建を任せた、など本文にない目的は付け加えません。

問5. 「吾為若徳」とは、具体的に何をしようという意味ですか。

解答例と説明を見る

解答例

自ら命を絶って自分の首を与え、昔なじみの呂馬童が、漢の懸けた千金と一万戸の領地という賞を得られるようにしようという意味。

答えるときの注意

「若」は呂馬童。「恩を施す」と言い換えるだけでは具体的説明になりません。なお、本文の続きでは首を取るのは王翳で、功績による領地は五人に分けられます。ここでは項羽がこの言葉で示した意図を答えます。

項王自刎の20問チェック

10問ずつ、全20問です。選択肢を押すと正解と解説が表示されます。結果画面では、間違えた問題だけを解き直せます。

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Q1. 「項王自刎」の読み方と意味の組み合わせはどれですか。

  1. こうおうじふん/項王が自ら首を切って命を絶つ
  2. こうおうじぶん/項王が自分の領地を分ける
  3. こうおうじけつ/項王が敵を処罰する
  4. こうおうしふん/項王が戦いの順序を決める
正解と解説

正解:1. こうおうじふん/項王が自ら首を切って命を絶つ

「自刎」は「じふん」。刃物で自ら首を切って命を絶つことです。「項王」は項羽を指します。

Q2. 項王の発言に出てくる「籍」は、誰を指していますか。

  1. 烏江亭長
  2. 項羽自身
  3. 呂馬童
  4. 江東の父兄
正解と解説

正解:2. 項羽自身

「籍」は項羽の名です。項王・項羽・籍は、この場面では同一人物を指しています。

Q3. 「地方千里」は、どのように意味を取りますか。

  1. 遠く離れた地方まで千里ある
  2. 地面から千里の高さがある
  3. 土地は千里四方ある
  4. 江東から故郷まで千里ある
正解と解説

正解:3. 土地は千里四方ある

「地/方千里」と切ります。「地は方千里」で、土地の広がりを述べています。現代語の「地方」という一語ではありません。

Q4. 亭長が江東の広さや人口を挙げた目的は何ですか。

  1. 項王に江東を捨てさせるため
  2. 江東もすでに漢軍に奪われたと知らせるため
  3. 江東の人々を船に乗せるため
  4. 項王が王として再起できると説くため
正解と解説

正解:4. 項王が王として再起できると説くため

「亦足王也」と続きます。亭長は、江東には王として立ち直るのに十分な土地と人々がいると考えています。

Q5. 「漢軍至、無以渡」の意味として適切なものはどれですか。

  1. 漢軍が来ても、渡る手段がない
  2. 漢軍が来る前に、全員が渡った
  3. 漢軍は渡る必要がない
  4. 漢軍が来れば、項王も渡れる
正解と解説

正解:1. 漢軍が来ても、渡る手段がない

「無以〜」は「〜する手段がない」。今は亭長だけが船を持っている、という直前の説明につながります。

Q6. 「我何渡為」で、項王が言おうとしていることはどれですか。

  1. どの船に乗ればよいか教えてほしい
  2. 川を渡る必要はない
  3. 何人まで川を渡れるのか知りたい
  4. すぐに川を渡らなければならない
正解と解説

正解:2. 川を渡る必要はない

「何〜為」は反語です。「どうして渡る必要があろうか」と問いかける形で、渡る意味・必要を否定します。

Q7. 「天之亡我」を読むうえで適切な説明はどれですか。

  1. 司馬遷が地の文で敗因を天命と認定している
  2. 亭長が項王の責任を非難している
  3. 項王自身が、自分の滅亡を天命として説明している
  4. 呂馬童が天候の悪化を知らせている
正解と解説

正解:3. 項王自身が、自分の滅亡を天命として説明している

「天之亡我」は項王の発言の一部です。人物の考えと、作者の評価を分けて読みましょう。

Q8. 「縦江東父兄憐而王我」の「縦」は、どのような意味ですか。

  1. すでに
  2. なぜなら
  3. 決して
  4. たとえ〜であっても
正解と解説

正解:4. たとえ〜であっても

「縦」は「たとひ」と読み、譲歩の仮定を表します。父兄が王にしてくれる場合を仮定しても、戻れないと述べています。

Q9. 「我何面目見之」の「之」は、何を指しますか。

  1. 江東の父兄
  2. 自分に懸けられた賞金
  3. 烏江亭長の船
  4. 漢軍の兵士
正解と解説

正解:1. 江東の父兄

直前の「江東父兄」を指します。連れてきた若者たちを帰せず、その父や兄たちに会う顔がないと述べています。

Q10. 「籍独不愧於心乎」の意味として適切なものはどれですか。

  1. 私一人だけは、まったく恥じていない
  2. この私が心に恥じずにいられようか、いやいられない
  3. 父兄だけが恥じ、私は何も感じない
  4. 私は一人になれば恥を忘れられる
正解と解説

正解:2. この私が心に恥じずにいられようか、いやいられない

「独り」は反語を強める働きとして捉えます。「不」を含む問いかけによって、「心に恥じずにはいられない」と強く述べています。

Q11. 「縦彼不言」が示す項王の考えとして適切なものはどれですか。

  1. 父兄が何も言わなければ、恥はなくなる
  2. 江東の人々は言葉を話せない
  3. 他人に責められなくても、自分の内心の恥は残る
  4. 父兄が王にしてくれるなら、すぐに戻る
正解と解説

正解:3. 他人に責められなくても、自分の内心の恥は残る

「たとえ彼らが何も言わなくても」と仮定したうえで、「心に愧ぢざらんや」と続けています。恥は他者の非難だけによるものではありません。

Q12. 「吾知公長者」の「長者」は、亭長をどのような人だと評していますか。

  1. 非常に長い距離を走れる人
  2. 多くの馬を持つ人
  3. 必ず年齢が最も高い人
  4. 人柄が立派で信頼できる人
正解と解説

正解:4. 人柄が立派で信頼できる人

ここでの「長者」は徳のある立派な人。年長者という意味だけで訳すと、馬を託す場面とのつながりを捉えにくくなります。

Q13. 「不忍殺之」の「之」が指すものはどれですか。

  1. 項王が五年間乗ってきた馬
  2. 追って来る漢軍の兵士
  3. 江東の父兄
  4. 烏江亭長
正解と解説

正解:1. 項王が五年間乗ってきた馬

直前の「此馬」を指します。項王は長年乗ってきた馬を殺すには忍びず、亭長に与えます。

Q14. 「乃令騎皆下馬歩行」の動作関係として正しいものはどれですか。

  1. 騎兵が亭長を下馬させる
  2. 項王が騎兵たちに下馬して歩くよう命じる
  3. 漢軍が項王を船に乗せる
  4. 亭長が馬に漢軍を追わせる
正解と解説

正解:2. 項王が騎兵たちに下馬して歩くよう命じる

「令+人+動作」は使役です。「騎」は騎兵で、項王が下馬・徒歩での戦いを命じています。

Q15. 「持短兵接戦」の「短兵」は、何を指しますか。

  1. 背の低い兵士
  2. 戦闘経験の短い兵士
  3. 刀剣など接近戦に使う短い武器
  4. 短い時間だけ戦う軍隊
正解と解説

正解:3. 刀剣など接近戦に使う短い武器

「兵」は武器の意味でも使われます。馬を下り、短い武器を持って相手に近づいて戦う場面です。

Q16. 「項王身亦被十余創」の意味として正しいものはどれですか。

  1. 項王は十人余りの兵を新しく集めた
  2. 項王は十回余り敵の攻撃を避けた
  3. 項王は十着余りの衣服を着た
  4. 項王自身も十か所余りの傷を負った
正解と解説

正解:4. 項王自身も十か所余りの傷を負った

「被」は「こうむる」、「創」は傷です。項王の武勇を描く文に続いて、本人も負傷したことが示されます。

Q17. 「若非吾故人乎」の「若」と「故人」の意味はどれですか。

  1. 若=お前/故人=昔なじみ
  2. 若=もし/故人=死んだ人
  3. 若=若者/故人=故郷の人全員
  4. 若=私/故人=古代の王
正解と解説

正解:1. 若=お前/故人=昔なじみ

「若」は二人称の「なんぢ」で、ここでは呂馬童。「故人」は昔からの知り合いで、現代日本語の「亡くなった人」とは異なります。

Q18. 項王が聞いていた、自分の首に対する漢の賞はどれですか。

  1. 現代のお金で千円と、一万頭の馬
  2. 千金と、一万戸を含む領地
  3. 千人の兵士と、一万艘の船
  4. 千里の街道と、一万人の捕虜
正解と解説

正解:2. 千金と、一万戸を含む領地

本文は「千金、邑万戸」。千金は当時の表現、邑万戸は一万戸の領地です。現代の円にそのまま置き換えません。

Q19. 「吾為若徳」の具体的な内容として適切なものはどれですか。

  1. 呂馬童を自分の後継者にする
  2. 亭長に漢軍の賞金を渡す
  3. 自分の首を功績として呂馬童が賞を得られるようにする
  4. 江東の父兄に軍資金を返す
正解と解説

正解:3. 自分の首を功績として呂馬童が賞を得られるようにする

「若」は呂馬童です。自分の首に賞が懸かっていることを踏まえ、昔なじみに恩恵を施すという意図を示しています。

Q20. この本文の出来事を正しい順に並べたものはどれですか。

  1. 亭長に馬を与える→渡江を勧められる→呂馬童に会う→徒歩で戦う
  2. 呂馬童に会う→渡江する→亭長に馬を与える→自刎する
  3. 自刎する→亭長に渡江を勧められる→徒歩で戦う→馬を与える
  4. 渡江を勧められる→渡江を拒み馬を与える→徒歩で戦う→呂馬童に語り自刎する
正解と解説

正解:4. 渡江を勧められる→渡江を拒み馬を与える→徒歩で戦う→呂馬童に語り自刎する

渡江を勧められた項王は、天命・面目・内心の恥を語って拒みます。その後、馬を託し、下馬して戦い、旧知の呂馬童への言葉を残します。

項羽の生き方への関心を、大学での学びへ

項羽が川を渡らなかった理由を考えると、人物の誇りや責任、物語の描き方にも目が向きます。『史記』をもっと読みたいと思ったら、中国文学や思想を学べる学科を調べ、授業での関心を大学選びにつなげてみましょう。

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出典・本文について

出典は司馬遷『史記』項羽本紀です。古典原文を参照し、書き下し文・現代語訳・設問を学習用に作成しています。授業で指定された字体・訓読・解釈がある場合は、それを優先してください。