枕草子「二月つごもりごろに」全文・現代語訳|品詞分解・敬語・テスト問題

LOGIQA 定期テスト対策

枕草子
「二月つごもりごろに」

「二月つごもりごろに」は、藤原公任が送った「少し春ある心地こそすれ」に、清少納言が「空寒み花にまがへて散る雪に」と即興で上の句をつけ、その教養と機転を評価された場面です。全文と現代語訳を一文ずつ対応させ、品詞分解、助動詞、敬語の種類と敬意の方向、係り結び、定期テスト問題まで確認します。

「二月つごもりごろに」で押さえること

物語の流れ

公任から届いた下の句に、清少納言がその場で上の句をつけるまでの緊張と機転を追います。

文法と敬語

ウ音便、助動詞「たり・む・らむ・じ」、係り結び、敬語の方向を確認します。

和歌の仕組み

清少納言の上の句と公任の下の句が、雪・花・春によってどう結びつくかを説明します。

「二月つごもりごろに」は一般に『枕草子』第106段として扱われますが、伝本や注釈書によって章段番号が異なります。また、「主殿司/主殿寮」「取らせて/とらせて」などの表記にも違いがあります。学校の教科書・授業プリントの表記を優先してください。

本文の流れ|何が起きたのか

春なのに雪が舞う

旧暦二月の末。季節は春ですが、強い風が吹き、暗い空から雪が少し舞っています。

公任から下の句が届く

藤原公任が「少し春ある心地こそすれ」と書いた懐紙を届け、清少納言に上の句を求めます。

清少納言が追い込まれる

公任も周囲の殿上人も教養ある人物です。中宮定子に相談しようとしますが、一条天皇が来ていてお休み中のため相談できません。

使者が返答を急かす

主殿司は「早く、早く」と催促します。清少納言は「内容が悪いうえに返事まで遅ければ、取り柄がない」と腹を決めます。

上の句を即興で返す

「空寒み花にまがへて散る雪に」と書き、雪を花に見立てて公任の下の句につなげます。

高い評価が伝えられる

清少納言は評判を聞きたい一方、悪評なら聞きたくないと揺れます。のちに、俊賢らが「帝に奏上して内侍に任命しよう」と評したことだけを聞きます。

人物関係|誰が誰に何をした?

清少納言
作者。中宮定子に仕える。公任の下の句に上の句をつける。
藤原公任
教養ある貴族。「少し春ある心地こそすれ」を送る。
中宮定子
清少納言が仕える人物。本文の「御前」。
一条天皇
本文の「上」。定子のもとに来ているため、清少納言は相談できない。

枕草子「二月つごもりごろに」全文・現代語訳

原文と現代語訳を、場面の切れ目ごとに対応させています。教科書によって表記や本文の区切りが異なる場合があります。

二月つごもりごろに、風いたう吹きて、空いみじう黒きに、雪少しうち散りたるほど
二月の末ごろ、風がひどく吹き、空がたいそう暗いうえに、雪が少し舞い散っている時。
旧暦二月は春です。「春なのに雪」という季節のずれが、後の和歌につながります。
黒戸に主殿司来て、「かうて候ふ。」と言へば、寄りたるに、「これ、公任の宰相殿の。」とてあるを、見れば、懐紙に、
黒戸に主殿司が来て、「ごめんください(こちらに控えております)。」と言うので、近寄ったところ、「これは、公任の宰相殿からのものです。」と言って差し出したものを見ると、懐紙に、
「かうて候ふ」は、来訪を知らせる「ごめんください」にあたる慣用的な挨拶です。「候ふ」はここでは丁寧語として働きます。
少し春ある心地こそすれ
少し春らしい気持ちがする。
公任が送った下の句。「こそ」の結びは已然形「すれ」です。
とあるは、げに今日の気色にいとよう合ひたるも、これが本はいかでかつくべからむ、と思ひ煩ひぬ。
と書いてあるのは、なるほど今日の空模様にたいそうよく合っているが、この下の句の上の句を、どのようにつけるのがよいだろうか、と悩んでしまった。
「本」は上の句。「今日の気色」は、春でありながら雪が舞う当日の空模様を指します。「いかでか」は疑問・困惑を表します。
「たれたれか。」と問へば、「それそれ。」と言ふ。
「公任と一緒にいるのは誰と誰か。」と尋ねると、「誰それです。」と言う。
清少納言は、公任の周囲に誰がいるのかを確かめます。返答を評価する人々の顔ぶれが気になったためです。
皆いと恥づかしき中に、宰相の御答へを、いかでかことなしびに言ひ出でむ
皆たいそう気後れするほど立派な人々である中で、宰相殿への返事を、どうして平凡に言い出せようか。
「恥づかし」は、ここでは「こちらが気後れするほど相手が立派だ」。「ことなしびに」は「何でもないように・平凡に」。
と心ひとつに苦しきを、御前に御覧ぜさせむとすれど、上のおはしまして、大殿籠りたり。
と自分一人で考えるのはつらいので、中宮様にお目にかけようとするが、天皇がいらっしゃって、お休みになっている。
「御前」は中宮定子、「上」は一条天皇。清少納言は定子に相談しようとしますが、それができない状況です。
主殿司は、「とくとく。」と言ふ。げに、遅うさへあらむは、いと取りどころなければ、さはれとて、
主殿司は、「早く、早く。」と言う。なるほど、返事の内容がよくないうえに遅くまであるようでは、まったく取り柄がないので、どうにでもなれと思って、
「遅う」はウ音便、「さへ」は添加。「さはれ」は迷いを振り切る「ままよ・どうにでもなれ」です。
空寒み花にまがへて散る雪に
空が寒いので、花と見間違えるように散る雪に。
清少納言がつけた上の句です。雪を春の花に見立てます。
わななくわななく書きてとらせて、いかに思ふらむとわびし。
震えながら書いて使者に渡し、公任はどのように思っているだろうかと心配でつらい。
「らむ」は現在推量。今ごろ相手がどう思っているかを推測しています。
これがことを聞かばやと思ふに、そしられたらば聞かじとおぼゆるを
この返答の評判を聞きたいと思う一方、悪く言われていたなら聞くまいとも思われるが。
「ばや」は自己の願望。「じ」は打消意志。評判を知りたい気持ちと怖い気持ちが並びます。
「俊賢の宰相など、『なほ内侍に奏してなさむ。』となむ、定め給ひし。」とばかりぞ、左兵衛督の中将におはせし、語り給ひし。
「俊賢の宰相などが、『やはり帝に申し上げて、清少納言を内侍に任命しよう。』とお決めになった。」とだけ、当時左兵衛督で中将でいらっしゃった方がお話しになった。
「奏す」は天皇への謙譲語。「となむ―定め給ひし」と「とばかりぞ―語り給ひし」は係り結びです。清少納言の知識と即興力が高く評価されたことが分かります。

和歌の上の句・下の句

清少納言がつけた上の句

空寒み
花にまがへて
散る雪に

空が寒いので、花と見間違えるように散る雪に。

+
藤原公任が送った下の句

少し春ある
心地こそすれ

少し春らしい気持ちがする。

説明問題の芯:春なのに雪が降る景色を、清少納言は「花のように散る雪」と捉えました。冬を感じさせる雪を春の花へ変換したため、公任の「少し春ある心地こそすれ」に自然につながります。
なぜこの返しが高く評価されたのか

公任の下の句は、白居易の漢詩「南秦雪」の「二月山寒少有春」を踏まえたものとされます。清少納言は、その直前の「三時雲冷多飛雪」に対応する発想を上の句へ取り込み、当日の雪景色にも合う表現を即興で返しました。単なる思いつきではなく、漢詩の知識、和歌の構成力、その場の判断力が重なった返答です。

一文ずつ品詞分解|用言・助動詞・助詞

定期テストで確認されやすい用言・助動詞・助詞を中心に、本文の順番で品詞分解します。名詞・固有名詞も、主語や指示内容の理解に必要なものは掲載しています。

① 二月つごもりごろに〜雪少しうち散りたるほど
語句品詞・活用意味・ポイント
二月名詞旧暦二月。季節は春。
つごもり名詞月末。
ごろ名詞〜のころ。
に格助詞時を示す。
いたう形容詞「いたし」連用形「いたく」のウ音便ひどく、たいそう。
吹きカ行四段活用「吹く」連用形風が吹いて。
て接続助詞動作・状態を次へつなぐ。
いみじう形容詞「いみじ」連用形「いみじく」のウ音便たいそう、非常に。
黒き形容詞「黒し」連体形空が暗い。
に接続助詞〜うえに、〜ところに。
少し副詞わずかに。
うち散りラ行四段活用「うち散る」連用形舞い散り。「うち」は動詞に添えられた接頭語。
たる完了・存続の助動詞「たり」連体形ここでは雪が舞っている状態を表す。
ほど名詞時、ころ。
② 黒戸に主殿司来て〜懐紙に
語句品詞・活用意味・ポイント
黒戸名詞宮中の黒戸。
に格助詞場所を示す。
主殿司名詞宮中の役所・役人。ここでは公任の使者。
来カ行変格活用「来」連用形来て。
て接続助詞動作を次へつなぐ。
かうて副詞こちらに、このようにして。
候ふハ行四段活用「候ふ」終止形おります。ここでは丁寧語。
と格助詞引用。
言へハ行四段活用「言ふ」已然形言うので。
ば接続助詞已然形に付き、原因・理由や偶然条件を表す。
寄りラ行四段活用「寄る」連用形近寄り。
たる完了の助動詞「たり」連体形近寄った。
に接続助詞〜ところ。
これ代名詞公任からの懐紙を指す。
の格助詞「もの」が省略され、公任のもの・公任からのもの。
とて格助詞「と」+接続助詞「て」〜と言って。
あるラ行変格活用「あり」連体形差し出してあるもの。
を格助詞「見る」の対象。
見れマ行上一段活用「見る」已然形見ると。
ば接続助詞偶然条件「〜すると」。
懐紙名詞懐に入れて携帯する紙。
に格助詞書かれている場所を示す。
③ 少し春ある心地こそすれ
語句品詞・活用意味・ポイント
少し副詞わずかに。
春名詞春らしさ。
あるラ行変格活用「あり」連体形春らしさがある。
心地名詞気持ち、感じ。
こそ係助詞強意。結びを已然形にする。
すれサ行変格活用「す」已然形「こそ」の結び。
④ げに今日の気色に〜と思ひ煩ひぬ
語句品詞・活用意味・ポイント
と格助詞和歌の内容を引用する。
あるラ行変格活用「あり」連体形書いてある。
は係助詞話題を示す。
げに副詞なるほど、本当に。
今日名詞公任が懐紙を送った当日。
気色名詞ここでは空模様・景色。
いと副詞たいそう。
よう形容詞「よし」連用形「よく」のウ音便よく。
合ひハ行四段活用「合ふ」連用形合って。
たる完了・存続の助動詞「たり」連体形よく合っている。
も係助詞ここでは文脈上「〜けれども」と続く。
これ代名詞公任が送った下の句を指す。
が格助詞連体修飾「これの」。
本名詞和歌の上の句。
いかで副詞どのように。
か係助詞疑問。結びを連体形にする。
つくカ行下二段活用「つく」終止形上の句をつける。
べから適当の助動詞「べし」未然形〜するのがよい。
む推量の助動詞「む」連体形「か」の結び。〜だろう。
と格助詞思考内容の引用。
思ひ煩ひハ行四段活用「思ひ煩ふ」連用形思い悩み。
ぬ完了の助動詞「ぬ」終止形悩んでしまった。
⑤ 「たれたれか。」と問へば〜「それそれ。」と言ふ
語句品詞・活用意味・ポイント
たれたれ代名詞誰と誰。
か係助詞疑問。後ろの述語が省略されている。
と格助詞引用。
問へハ行四段活用「問ふ」已然形尋ねると。
ば接続助詞偶然条件「〜すると」。
それそれ代名詞誰それ。
言ふハ行四段活用「言ふ」終止形使者が答える。
⑥ 皆いと恥づかしき中に〜心ひとつに苦しきを
語句品詞・活用意味・ポイント
皆名詞公任と同席している殿上人たち。
いと副詞たいそう。
恥づかしき形容詞「恥づかし」連体形こちらが気後れするほど立派な。
中名詞人々の中。
宰相名詞藤原公任。
御答へ名詞宰相への返事。「御」は敬意を添える接頭語。
を格助詞「言ひ出づ」の対象。
いかで副詞どうして。
か係助詞反語。結びを連体形にする。
ことなしびに副詞何でもないように、平凡に。「ことなしび」名詞+格助詞「に」とする考え方もある。
言ひ出でダ行下二段活用「言ひ出づ」未然形口に出し。
む推量の助動詞「む」連体形「か」の結び。反語とともに「言い出せようか、いやできない」。
心ひとつに名詞+格助詞自分一人で。
苦しき形容詞「苦し」連体形つらい、難しい。
を接続助詞〜ので、〜ところ。
⑦ 御前に御覧ぜさせむとすれど〜大殿籠りたり
語句品詞・活用意味・ポイント
御前名詞中宮定子を指す。
に格助詞動作の相手。
御覧ぜサ行変格活用「御覧ず」未然形御覧になる。
させ使役の助動詞「さす」未然形「御覧ぜさす」全体で、中宮にお目にかける。
む意志の助動詞「む」終止形〜しよう。
と格助詞思考内容を受ける。
すれサ行変格活用「す」已然形〜しようとする。
ど接続助詞逆接「〜けれど」。
上名詞一条天皇を指す。
おはしまし尊敬語「おはします」連用形いらっしゃって。動作主は一条天皇。
て接続助詞状態を次へつなぐ。
大殿籠りラ行四段活用「大殿籠る」連用形お休みになり。尊敬語。
たり完了・存続の助動詞「たり」終止形ここではお休みになっている状態。
⑧ 主殿司は「とくとく」と言ふ〜さはれとて
語句品詞・活用意味・ポイント
とくとく副詞早く、早く。
言ふハ行四段活用「言ふ」終止形使者が返答を催促する。
げに副詞なるほど、本当に。
遅う形容詞「遅し」連用形「遅く」のウ音便遅く。
さへ副助詞〜までも。悪い要素を追加する。
あらラ行変格活用「あり」未然形ある。
む助動詞「む」連体形仮定・婉曲「もし〜であるようなら」。
は係助詞連体形「あらむ」を受け、場合を取り立てる。
いと副詞たいそう。
取りどころ名詞取り柄、長所。
なけれ形容詞「なし」已然形ないので。
ば接続助詞原因・理由。
さはれ感動詞どうにでもなれ、ままよ。
とて格助詞「と」+接続助詞「て」〜と思って。
⑨ 空寒み花にまがへて散る雪に
語句品詞・活用意味・ポイント
空名詞原因・理由を表す「寒み」の主語。
寒み形容詞「寒し」の語幹+接尾語「み」寒いので。「名詞+形容詞語幹+み」の形。
花名詞春の花。
に格助詞見立て・比較の対象。
まがへハ行下二段活用「まがふ」連用形見間違えて、見立てて。
て接続助詞動作を次へつなぐ。
散るラ行四段活用「散る」連体形「雪」を修飾する。
雪名詞花に見立てられているもの。
に格助詞下の句「少し春ある心地こそすれ」へ続く。
⑩ わななくわななく書きて〜いかに思ふらむとわびし
語句品詞・活用意味・ポイント
わななくわななく副詞カ行四段動詞「わななく」を重ねた形。震えながら。緊張と重圧を表す。
書きカ行四段活用「書く」連用形上の句を書き。
て接続助詞動作を次へつなぐ。
とらせサ行下二段活用「とらす」連用形与える、使者に渡す。
て接続助詞動作を次へつなぐ。
いかに副詞どのように。
思ふハ行四段活用「思ふ」終止形公任が思う。
らむ現在推量の助動詞「らむ」連体形疑問語「いかに」の結び。今ごろ〜しているだろう。
と格助詞思考内容の引用。
わびしシク活用の形容詞「わびし」終止形つらい、心配だ。
⑪ これがことを聞かばや〜聞かじとおぼゆるを
語句品詞・活用意味・ポイント
これ代名詞清少納言が返した上の句を指す。
が格助詞連体修飾「これの」。
こと名詞返答についての評判。
聞かカ行四段活用「聞く」未然形聞き。
ばや終助詞自己の願望「〜たい」。
と格助詞思考内容の引用。
思ふハ行四段活用「思ふ」連体形思うところ。
に接続助詞〜ところ、〜けれど。
そしらラ行四段活用「そしる」未然形悪く言う。
れ受身の助動詞「る」連用形悪く言われ。
たら完了の助動詞「たり」未然形悪く言われていたなら。
ば接続助詞未然形に付き、仮定条件を表す。
聞かカ行四段活用「聞く」未然形聞き。
じ打消意志の助動詞「じ」終止形聞くまい。
おぼゆるヤ行下二段活用「おぼゆ」連体形自然と思われる。
を接続助詞〜けれど、〜ところ。
⑫ 俊賢の宰相など〜語り給ひし
語句品詞・活用意味・ポイント
俊賢固有名詞藤原俊賢。
など副助詞俊賢を含む複数の人々。
なほ副詞やはり。
内侍名詞宮中に仕える女官。
に格助詞任命後の立場を示す。
奏しサ行変格活用「奏す」連用形天皇に申し上げる。謙譲語。
て接続助詞動作を次へつなぐ。
なさサ行四段活用「なす」未然形任命する。
む意志の助動詞「む」終止形任命しよう。
と格助詞引用。
なむ係助詞強意。結びを連体形にする。
定めマ行下二段活用「定む」連用形決め。
給ひ尊敬の補助動詞「給ふ」連用形動作主である俊賢たちへの敬意。
し過去の助動詞「き」連体形「なむ」の結び。
ばかり副助詞〜だけ。
ぞ係助詞強意。結びを連体形にする。
に格助詞身分を示し、「中将で」。
おはせ尊敬語「おはす」未然形いらっしゃった。
し過去の助動詞「き」連体形過去「〜た」。
語りラ行四段活用「語る」連用形話し。
給ひ尊敬の補助動詞「給ふ」連用形動作主である左兵衛督の中将への敬意。
し過去の助動詞「き」連体形「ぞ」の結び。
品詞分解で特に注意:「いかでかつくべからむ」の「べし」は適当、「む」は推量で、「どのようにつけるのがよいだろうか」と考えます。「いかでかことなしびに言ひ出でむ」は反語で、「どうして平凡に言い出せようか、いやできない」です。

助動詞・敬語・係り結びを一覧で確認

重要な助動詞

「たり」|完了・存続

雪少しうち散りたる

「たる」は助動詞「たり」の連体形。ここでは雪が舞い散っている状態を表します。

「ぬ」|完了

思ひ煩ひぬ

「ぬ」は完了の助動詞「ぬ」の終止形。「思い悩んでしまった」と訳します。

「べし」+「む」

つくべからむ

「べし」は適当、「む」は推量。「どのようにつけるのがよいだろうか」と考えます。

「む」|文脈で意味を分ける

言ひ出でむは推量、御覧ぜさせむ・なさむは意志、遅うさへあらむはは仮定・婉曲です。

「らむ」|現在推量

いかに思ふらむ

その場にいない公任が、今どう思っているだろうと推測します。

「じ」|打消意志

そしられたらば聞かじ

悪評なら「聞くまい」という清少納言自身の意志です。

「る」|受身

そしられたらば

「れ」は受身の助動詞「る」の連用形。「悪く言われていたなら」と訳します。

「き」|過去

定め給ひし・語り給ひし

「し」は過去の助動詞「き」の連体形。係助詞「なむ」「ぞ」の結びにもなっています。

敬語一覧|種類・動作主・敬意の相手

本文の敬語種類動作主敬意の相手・意味
候ふ丁寧語主殿司話し相手の清少納言に丁寧に「おります」と述べる。
御前敬称―中宮定子を敬って指す。
御覧ぜさせむ尊敬語+使役御覧になるのは中宮定子中宮定子への敬意。全体で「中宮様にお目にかけよう」。
おはします尊敬語一条天皇一条天皇への敬意。「いらっしゃる」。
大殿籠る尊敬語一条天皇一条天皇への敬意。「お休みになる」。
奏す謙譲語俊賢の宰相たち申し上げる相手である一条天皇への敬意。
定め給ふ尊敬の補助動詞俊賢の宰相たち決定した俊賢たちへの敬意。
おはす尊敬語左兵衛督の中将左兵衛督の中将への敬意。「いらっしゃる」。
語り給ふ尊敬の補助動詞左兵衛督の中将語った左兵衛督の中将への敬意。

係り結び一覧|「こそ・か・なむ・ぞ」の結び

本文係助詞結び活用形
少し春ある心地こそすれこそすれサ変動詞「す」の已然形
いかでかつくべからむかむ助動詞「む」の連体形
いかでかことなしびに言ひ出でむかむ助動詞「む」の連体形
となむ、定め給ひしなむし過去の助動詞「き」の連体形
とばかりぞ、語り給ひしぞし過去の助動詞「き」の連体形
敬語問題のコツ:敬語の種類だけで終わらず、「誰の動作か」「誰への敬意か」まで本文の人物関係と結びつけて答えましょう。

「二月つごもりごろに」定期テスト頻出記述問題

選択問題だけでなく、理由や心情を自分の言葉で説明できるか確認しましょう。模範解答は、学校の指定字数に合わせて短くしてください。

問1. 「少し春ある心地こそすれ」が「今日の気色にいとよう合ひたる」とあるのはなぜですか。

模範解答:旧暦二月で暦の上では春だが、強い風が吹き、暗い空から雪が舞っていて、春らしさがわずかにしか感じられない空模様だったから。

問2. 清少納言が「たれたれか」と尋ねたのはなぜですか。

模範解答:公任と一緒にいる人々が誰なのかを知り、自分の返答をどのような教養ある人々に評価されるのか確かめたかったから。

問3. 清少納言が「思ひ煩ひぬ」となった理由を説明しなさい。

模範解答:公任の下の句と当日の景色に合う上の句を、その場で平凡ではない形につけ、教養ある殿上人たちへ返さなければならなかったから。

問4. 「わななくわななく」から、清少納言のどのような心情が読み取れますか。

模範解答:自分の即興の返答が公任や殿上人たちにどう評価されるか分からず、強い緊張と不安を感じている心情。

問5. 清少納言の上の句が高く評価された理由を説明しなさい。

模範解答:公任の下の句が踏まえた白居易の漢詩を理解し、当日の雪を春の花に見立てることで、景色と下の句の両方に合う上の句を即興でつけたから。

問6. 「なほ内侍に奏してなさむ」という発言から分かることを説明しなさい。

模範解答:俊賢たちが清少納言の漢詩の知識、和歌の構成力、即興の判断力を高く評価し、宮中で重要な役目を担うにふさわしいと考えたこと。

定期テスト直前ランダム問題

下の「問題・選択肢・解説一覧」に掲載した問題を、分野別または全範囲でランダム出題します。

モード:全範囲
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問題・選択肢・解説一覧

問題文、選択肢、正解、解説をHTML本文に掲載しています。ランダム問題で間違えた分野は、こちらでまとめて復習できます。

Q1. 『枕草子』の作者は誰か。

  1. 紫式部
  2. 清少納言
  3. 藤原公任
  4. 紀貫之
答え・解説を見る
正解:B

『枕草子』の作者は清少納言です。この段では、公任から出された即興の課題に応じる機転と教養が描かれます。

Q2. 清少納言に下の句を送った人物は誰か。

  1. 藤原公任
  2. 一条天皇
  3. 藤原俊賢
  4. 左兵衛督
答え・解説を見る
正解:A

藤原公任が『少し春ある心地こそすれ』という下の句を送り、上の句を求めました。

Q3. 清少納言が仕えていた人物は誰か。

  1. 中宮定子
  2. 紫式部
  3. 彰子
  4. 弘徽殿女御
答え・解説を見る
正解:A

清少納言は中宮定子に仕えていました。本文の『御前』は中宮定子を指します。

Q4. 旧暦二月の末について正しい説明はどれか。

  1. 季節は春だが、雪や寒さが残ることがある
  2. 真夏の終わりである
  3. 秋の初めである
  4. 冬になる直前である
答え・解説を見る
正解:A

旧暦では一月から三月が春です。春でありながら雪が降るというずれが、和歌の発想につながります。

Q5. 『つごもり』の意味はどれか。

  1. 月の初め
  2. 月の半ば
  3. 月末
  4. 夜明け
答え・解説を見る
正解:C

『つごもり』は月末の意味です。『二月つごもりごろ』は二月の終わりごろ。

Q6. 『風いたう吹きて』の意味として最も近いものはどれか。

  1. 風が少し吹いて
  2. 風がひどく吹いて
  3. 風がやんで
  4. 風が暖かく吹いて
答え・解説を見る
正解:B

『いたう』は『いたく』のウ音便で、『ひどく・たいそう』という意味です。

Q7. 『げに』の意味として最も近いものはどれか。

  1. なるほど、本当に
  2. まったく〜ない
  3. たまたま
  4. 急いで
答え・解説を見る
正解:A

『げに』は『なるほど』『本当に』という意味の副詞です。

Q8. 『これが本はいかでかつくべからむ』の『本』は何を指すか。

  1. 和歌の上の句
  2. 和歌の下の句
  3. 手紙の署名
  4. 漢詩の題名
答え・解説を見る
正解:A

ここでの『本』は、すでに示された下の句に先立つ上の句を指します。

Q9. 『いかでかつくべからむ』の意味として最も近いものはどれか。

  1. この上の句をどのようにつけるのがよいだろうか
  2. 必ずこの上の句をつけよう
  3. この上の句をつけてはいけない
  4. 誰かにこの上の句をつけさせよう
答え・解説を見る
正解:A

ここでは「いかでか」が方法への疑問、「べし」が適当、「む」が推量を表し、「どのようにつけるのがよいだろうか」となります。

Q10. 清少納言が返答に強い重圧を感じた理由として最も適切なものはどれか。

  1. 教養ある殿上人たちが見ており、公任への返答を平凡にできないから
  2. 雪が激しく帰れないから
  3. 中宮定子に叱られたから
  4. 公任が怒っていたから
答え・解説を見る
正解:A

公任も周囲の殿上人も教養ある人々です。即興で気の利いた返答をする必要がありました。

Q11. 『御前』が指す人物は誰か。

  1. 中宮定子
  2. 一条天皇
  3. 藤原公任
  4. 主殿司
答え・解説を見る
正解:A

『御前』は清少納言が仕える中宮定子を指します。

Q12. 『上のおはしまして』の『上』が指す人物は誰か。

  1. 一条天皇
  2. 中宮定子
  3. 清少納言
  4. 藤原公任
答え・解説を見る
正解:A

この場面の『上』は一条天皇です。『おはします』は『来る・いる』の尊敬語。

Q13. 『大殿籠りたり』の『大殿籠る』の意味はどれか。

  1. お休みになる
  2. お出かけになる
  3. お読みになる
  4. お召し上がりになる
答え・解説を見る
正解:A

『大殿籠る』は『寝る』の尊敬語で、『お休みになる』という意味です。

Q14. 主殿司の『とくとく』は何を求めているか。

  1. 早く返事を書いてほしい
  2. 早く雪を片づけてほしい
  3. 早く中宮を起こしてほしい
  4. 早く公任を呼んでほしい
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正解:A

『とく』は『早く』。使者は清少納言に返答を急がせています。

Q15. 『遅う』で起きている音便はどれか。

  1. イ音便
  2. ウ音便
  3. 撥音便
  4. 促音便
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正解:B

形容詞『遅し』の連用形『遅く』が『遅う』となったウ音便です。

Q16. 『遅うさへあらむ』の『さへ』の意味はどれか。

  1. 〜までも
  2. 〜だけ
  3. 〜から
  4. 〜より
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正解:A

『さへ』は添加を表し、『歌がよくないうえに、返事まで遅い』という重なりを示します。

Q17. 『遅うさへあらむは』の『む』の意味として最も適切なものはどれか。

  1. 仮定・婉曲
  2. 打消
  3. 過去
  4. 尊敬
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正解:A

連体形で『もし返事まで遅いようであるなら』という仮定・婉曲を表します。

Q18. 『さはれ』の意味として最も近いものはどれか。

  1. どうにでもなれ・ままよ
  2. なるほど
  3. 静かにせよ
  4. 春になれ
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正解:A

『さはれ』は、迷いを振り切る『どうにでもなれ』『ままよ』という気持ちを表します。

Q19. 清少納言がつけた上の句はどれか。

  1. 空寒み花にまがへて散る雪に
  2. 少し春ある心地こそすれ
  3. 春過ぎて夏来にけらし
  4. 雪のうちに春は来にけり
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正解:A

清少納言の上の句は『空寒み花にまがへて散る雪に』です。

Q20. 公任が送った下の句はどれか。

  1. 少し春ある心地こそすれ
  2. 空寒み花にまがへて散る雪に
  3. ひさかたの光のどけき春の日に
  4. 花の色はうつりにけりな
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正解:A

公任が送ったのは『少し春ある心地こそすれ』という下の句です。

Q21. 清少納言の上の句では、雪を何に見立てているか。

  1. 花
  2. 月
  3. 鳥
  4. 雲
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正解:A

雪を春の花に見立てることで、冬のような天候と『少し春ある』という下の句をつなげています。

Q22. 『空寒み』の説明として正しいものはどれか。

  1. 名詞+形容詞語幹+みで原因・理由を表す
  2. 形容詞の命令形である
  3. 打消の助動詞がついている
  4. 尊敬語である
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正解:A

『空寒み』は『空が寒いので』。名詞+形容詞語幹+接尾語『み』で原因・理由を表します。

Q23. 『花にまがへて』の『まがへ』の意味はどれか。

  1. 見間違えて・見立てて
  2. 曲げて
  3. 隠して
  4. 集めて
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正解:A

『まがふ』は『見分けがつかない・見間違える』。ここでは雪を花に見立てる表現です。

Q24. 『少し春ある心地こそすれ』の係り結びはどれか。

  1. こそ―已然形
  2. ぞ―連体形
  3. なむ―連体形
  4. や―終止形
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正解:A

係助詞『こそ』の結びは已然形です。

Q25. 『こそ』の結びとなる『すれ』の活用形はどれか。

  1. 已然形
  2. 連体形
  3. 未然形
  4. 命令形
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正解:A

『すれ』はサ変動詞『す』の已然形です。

Q26. 『雪少しうち散りたる』の『たる』は何か。

  1. 完了・存続の助動詞『たり』の連体形
  2. 断定の助動詞『たり』の終止形
  3. 打消の助動詞『ず』の連体形
  4. 推量の助動詞『む』の連体形
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正解:A

『散りたる』は、雪が舞い散っている状態を表す完了・存続の助動詞『たり』の連体形です。

Q27. 『わななくわななく書きて』から読み取れる清少納言の様子はどれか。

  1. 緊張と重圧で震えながら書く様子
  2. 寒さだけで震える様子
  3. 怒りで震える様子
  4. 喜んで踊る様子
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正解:A

公任と殿上人から評価される場面なので、清少納言は強い緊張の中で上の句を書きました。

Q28. 『いかに思ふらむ』の『らむ』の意味はどれか。

  1. 現在推量
  2. 過去推量
  3. 打消意志
  4. 完了
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正解:A

その場にいない公任が今どう思っているだろう、と推測する現在推量です。

Q29. 『これがことを聞かばや』の『ばや』の意味はどれか。

  1. 〜たいものだ
  2. 〜してほしい
  3. 〜するな
  4. 〜だろう
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正解:A

未然形に接続する終助詞『ばや』は、話し手自身の願望『〜たい』を表します。

Q30. 『そしられたらば聞かじ』の『じ』の意味はどれか。

  1. 打消意志
  2. 打消推量
  3. 過去
  4. 可能
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正解:A

『悪く言われていたなら聞くまい』という、清少納言自身の打消意志です。

Q31. 『奏して』の敬語の種類と敬意の相手はどれか。

  1. 謙譲語・天皇への敬意
  2. 尊敬語・公任への敬意
  3. 丁寧語・読者への敬意
  4. 謙譲語・主殿司への敬意
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正解:A

『奏す』は天皇・上皇に申し上げる謙譲語で、ここでは一条天皇への敬意を表します。

Q32. 『なほ内侍に奏してなさむ』の意味として最も近いものはどれか。

  1. やはり帝に奏上して、清少納言を内侍に任命しよう
  2. 清少納言に歌をやめさせよう
  3. 公任を内侍にしよう
  4. 中宮定子を起こそう
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正解:A

俊賢らが清少納言の才を高く評価し、帝に申し上げて内侍に任命しよう、と評した言葉です。

Q33. この段で清少納言の才能が高く評価された最大の理由はどれか。

  1. 公任の下の句と当日の雪景色に合う上の句を、短時間でつけたから
  2. 長い和歌を暗記していたから
  3. 中宮定子に答えを教わったから
  4. 公任の歌を批判したから
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正解:A

天候・季節・公任の下の句を一つにつなぎ、即興で上の句を返した知識と機転が評価されました。

Q34. 説明問題で必ず触れたい和歌の工夫はどれか。

  1. 雪を花に見立て、冬の景色の中に春を感じさせたこと
  2. 月を鏡に見立てたこと
  3. 鳥の声で秋を表したこと
  4. 雨を涙に見立てたこと
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正解:A

雪を花に見立てることで、『少し春ある心地』という下の句に自然につながります。